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生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活する 三橋貴明

先日逮捕されてしまった方がですが、その考え方は間違っていない
と思います。非常に論理が明快ですし、説得力があります。

政府の目的は経世済民である。
個人や企業といったミクロな経済主体はともかく、国民経済という
視点から見ると、お金はそれほど重要な存在ではない。
中央銀行は現金紙幣や日銀当座預金といったお金を発行する
ことができる。政府が国債を発行し、支出を増やしたとしても、供給
能力(=経済力)が十分あれば、インフレになりようがない。

インフレにならない以上、政府の国債発行と中央銀行の国債買取
を組み合わせ、国民所得拡大のために支出すればいいのだ。
政府の国債残高や財政赤字、中央銀行の通貨発行(国債買取)は
問題にならない。理由は政府は自己利益を求める組織ではないか
らである。

政府が銀行預金を借りている。国民の預金がなくなれば、政府は
国債を発行できなくなる。これは違う。銀行から日銀当座預金を
借りている。政府が小切手支払いをして、企業が小切手を銀行へ
持ち込むと銀行預金というお金が増える。政府が国債を発行する
たびに銀行預金というお金がこの世に誕生する。
政府が国債を発行することで、民間に銀行預金という資産が生
まれるのだ。国債発行が銀行預金を生み出している以上、国民
の預金がなくなれば国債発行できないという論理は成り立たない。
ここが家計や企業といった経済主体と決定的に違うところだ。
だから財政破綻を家計と同じに捉えるなというのはそういうこと
である。

より問題となるのは生産性である。厳密には生産性が高い供給
能力(経済力)を維持しているかどうかである。生産性の違いこそ
が先進国と発展途上国との差である。生産性こそが豊かさを決定
づける。発展途上国が貧しいのはお金がないためではない。
生産性が低いからだ。生産性は豊かさを決定する。
生産性は国際競争力にも多大な影響を与える。国際競争力とは
グローバル市場における価格競争力のことである。
生産性を高めるとは生産者一人当たりの生産量を増やす。
国内での生産性向上のための投資を蓄積し、単位労働コストを引き
下げるしかない。生産性をあげることで余剰を生むことで文明は
発展していく。余剰が少なければ文化・文明は衰退していく。

少子高齢化というと日本経済の衰退をイメージする。
しかしながら、著者はこれをチャンスとしている。理由は生産性を
あげればいい。つまり生産性向上のために人・技術・設備・公共投資
をしていくことである。そうして生産性をあげても他国で起こるような
技術的失業の問題が起こらないということである。
現に人手不足の建設業界などではこのような投資が積極的に
行われて新しい技術が次々と生まれている。
日本はむしろ新しい産業革命を起こすチャンスが来ている。
これは実際成長しているソフトウェア会社の社長もそう捉えている
という記事を読んだことがあります。
更には人手不足によって実質賃金も上昇する。
なので、外国人労働者の受け入れはむしろ生産性向上のための
技術革新を阻害しかねない。

生産性向上させる投資とはどういったものなのか。2つあり民間
設備投資と政府の公共投資である。経済力の三要素は資本、労働
技術である。労働という経済力を強化する人材投資である。
労働者数を増やすのではなく、生産者一人当たりの生産=所得を
増やすということである。慣れない仕事で役立たずだった若者が
経験を蓄積して生産性の高い人材に育つ。技術への投資とは
研究開発も意味する。設備投資、公共投資、人材投資、技術投資
が資本、技術、労働という三要素を強化する。

デフレの国では物価が下がる。デフレの本質は物価下落ではなく
販売数量の減少である。販売数量の減少はすなわち需要が減る
ということである。物価下落以上に所得が減り、実質賃金が低迷
していく。所得の合計がGDPである。所得が縮小するという特質
を持つデフレの国がGDPを成長させるのは不可能である。
朝日新聞の原真人や東京大学の上野千鶴子は日本はもう経済
成長はしない、経済成長する必要はないという論文を発表した。
むかしから朝日の原記者は言っていることがズレているんだけど・・・

彼らはGDPこそが税収の源泉であることがわかっていない。
ましてや彼らは日本経済の成長の恩恵を受けて快適に暮らして
きた方々である。その恩恵を受けながら若者には快適な暮らしを
するなという。彼らのいう人口減少も成熟も経済成長の阻害要因
にはならない。繰り返すが経済力とは資本、労働、技術の強さだ。
モノやサービスを生産する力のことである。生産されなければ消費
投資されることはなく、所得も生まれない。経済成長とは資本、労働
技術の三要素を強化することである。設備投資、公共投資で資本を
強化し、人材投資で労働者の質を高める。技術投資で技術を蓄積
する。経済成長のためには生産を強化する投資が必要なのだ。
生産がなされないかぎり、消費は投資は起きようがない。

経済には二つの局面がある。供給能力(経済力・潜在GDP)が不足
するインフレギャップと需要(名目GDP)が不足するデフレギャップで
ある。経済は普通はインフレギャップの状況が続く。デフレギャップは
政府が政府最終消費支出と公的固定資本形成という需要を拡大する
ことで埋められる。デフレギャップを抱えている国は民間が消費投資を
減らし、貯蓄に励むことが合理的になるので経済成長することはでき
ない。

生産性向上は実質賃金の上昇につながる。所得の拡大によって
経済成長が上昇する。名目GDPの消費や投資という需要を増やし
インフレギャップが拡大する。そのインフレギャップを生産性向上
により埋めるための投資が起こる。これが経済成長の黄金循環
なのである。

三橋氏の理論は具体的で説得力がある。
日本の政策当局もその根本に経世済民の思想を持つべきであり
そういった政策がなされるべきである。
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日本経済ここだけの話

ぐっちーさん 日本経済ここだけの話ぐっちーさん 日本経済ここだけの話
(2013/07/05)
山口正洋

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実際に金融の現場で仕事されている方の本です。
その視点が勉強になります。

著者はまず、メディアも評論家も嘘つきだらけという
問題提起をしている。例えば財政破綻論。
後世に重荷を残さないために財政再建が必要だ
だから消費増税が必要だと新聞が書く。
そういいながら、無駄な支出に関しては放置。
国の借金は1千兆円を超える。だけど、日本の政府
資産はいくらになるか?といったところまで切り込まない。

消費増税法案を通したのは民主党政権だった。
かつて、ナチスドイツは約束はした。しかし、その約束を
実行することは約束していないという論理を国民に発した。
民主党政権は消費税はあげないと約束した。
しかし上げないことを実行することは約束していないという
全く同じ論理で野田佳彦総理は増税を強行した。
消費増税はGDPの6割を占める個人消費の支出を痛めつける。

メディアも政府もひどいもんです。

日本の財政は破綻する。
日本の債務がGDPの190%にも達している。
先進国は軒並み70%で、あのイタリアでさえ120%。
債務がGDP比で増えれば増えるほど国が破綻するのなら
正比例があるはず。逆にGDP比で少なければ破綻しないはず。
ところが、第二次大戦中のイギリスの債務比率はGDP270%
に達していましたが、破綻しなかった。反対にアジア通貨危機
で破綻した韓国、タイはそれぞれ20~30%に過ぎなかった。

政府債務985兆円は短期債務を含めている。
通常は金融機関の資金繰りなので除く。また政府資産は推定
600兆円あるので、通常はこれを差し引くのですが、これを加えて
発表している。そうなるとGDP比で80%程度になる。

自分の見方と違って面白かったのは。

財政破綻論と並んでおかしいのは円高悪玉論だと著者は
言います。日本の輸出依存度は14.1%(10年)。
残り80%以上が内需頼りの非製造業で成り立っている。
会社四季報に出てくる3800社のうち海外売上比率が50%
を超える輸出型企業は286社(10年)でしかない。
製造業53万社に対してサービス業530万社である。
売上も製造業120兆円に対して非製造業は500兆円。

日銀に景気悪化の責任を押し付けるが、日銀の任務は
通貨価値を守ること、景気に関しては予算を司る財務省の
専権事項だとしています。

デフレ解消のため、物価上昇を目標にするのはおかしい。
経済成長の結果物価(賃金)上昇はあるが、物価上昇に
よって、経済成長を達成できるわけではないし、まして
雇用が増え、給与所得が増えるどころか可処分所得が減り
国民生活は困窮するとしています。
確かに現時点で見ると、大多数は物価が上昇するだけで
恩恵を受けているとは言い難いです。

金融市場で最も肝要な指標は何かと言われれば、株式でも
なく、為替でもなく、国債である。その国の信用力。ひいては
資金調達力を決め、その国の企業の資金調達のレートまで
左右する。国債の金利は将来返ってくるかどうかのリスク
プレミアム(国の信用度)と、将来どれくらいインフレになるか
(どれだけ貨幣価値が下がるか)という期待インフレの合成
である。償還された時点で貨幣価値が下がって実質的な
受取額が減るかもしれないと考えたりすれば、リスクに
応じた金利が市場に要求される。

通貨の価値は経常収支や財政収支だけで決まるものではない。
軍事力も含めてアメリカという国の国力が通貨価値に直結している。
世界中の人々がドルで持っているのが安心だという選択の結果が
基軸通貨としてのドルの地位を保っている。

1971年のニクソン・ショックは、金との兌換性をきつく縛られたドルを
解き放ち、量的制限を超越した信用創造を可能にしたために、現在
の高度に発展した資本主義社会の成立をもたらした。
いつまでも1対1の物々交換、信用創造の世界であればいまの世界
は成り立たない。それではどこまで金から乖離できるのか?
いま起きている金融危機とは、膨張し続ける信用経済がその膨張に
耐え切れずツケを払い始めている。
1億円の担保に30億円は貸しすぎだが10億円ならいいのではないか。
ROE(自己資本比率)の考え方に近い。

円を強くする特殊性は、安全であること、宗教的に差別されることがない。
通貨交換も自由自在、首都東京では超一流のオペラから歌舞伎まで
見ることができる。何より、世界の人々が必要としている価値、価値観を
生み出し続けている国だから。

通貨価値が高いのはその国の信用度が高いということ。
日本はびた一文借金をしていない国である。また借金を踏み倒したこと
がない。だから信用される。

円高は、この為替水準では国際的に競合できない国内構造を見直し。
競争力がないものは諦め、将来の少子高齢化に備えた投資をする
絶好のチャンスである。自国通貨が安くなりすぎて破綻した国は数
しれずですが、自国通貨が高くなりすぎて破綻した国はない。

日本は民間の個人金融資産が1500兆円。そのほとんどが国債購入
に回り、国債の95兆円は国内で消化している。
国民が一斉にアメリカへ逃亡しない限りは国債市場は磐石である。

財務省は財政を家計で例えるが、家計の借金は長くて30年。
国は永遠に続くという前提のもとに金利の支払い能力があるか
ないかが問われる。支払い能力に疑問符がつくならあがり、問題が
なければ下がる。さらに元本返済能力の変数は、その通貨価値。
将来のインフレによる目減りが参入される。
国の借金は家計と違い元本返済を前提としない。
期中利払いなど国債費に対するサスティナビリティーによって
その価値が決定される。

税収を増やす最強の方法は、大幅減税を行って消費意欲を喚起し
企業、特に起業への投資を優遇すること。サラリーマンを経営者
として自立させる職業移転をはかった。
わずか10億ドル規模のベンチャーファンドが次々と投資をはじめ
その結果として、マイクロソフト、アップル、インテルなど屋台骨に
なる企業が誕生した。

売国経済

売国経済売国経済
(2014/04/16)
渡邉哲也

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商売はできるだけ高く売ることが基本です。
日本は日本が持つ技術や能力を安売りしすぎていました。
これが失われた20年の原因であり、結果でもある。
政治が国の安売りを率先して行ってきた部分もあります。
無意味な技術供与や資金援助、その原資は国民の血税であり
国民の知恵と努力の結晶でした。
これを改めて見直し、もう一度値付けし直すことこそが、日本に
最も重要なことなのです。

韓国サムスンの売上はGDPの20%である。日本のトヨタの売上
はサムスンと同等ながら4.5%ほどになっている。
韓国は財閥偏重社会です。サムスンを筆頭に10大財閥でGDP
の76.5%を占めている。それは多くの韓国企業がモノをゼロから
つくることなく、あくまですでに作られた部品を組立てることに
特化しているからです。キーパーツのほとんどが日本からの
輸入に頼っている。

国家の健全な産業構造は大手メーカーの下に1次サプライヤー
と呼ばれる1次供給源があり、その下に2次サプライヤーがあり
3次サプライヤーがある。このサプライチェーンに沿ってモノが
組み立てられていって最終的に製品が組立られるのが正しい
工業国家のあり方です。

日本において系列がしっかりしていたときは、そうした優秀な
下請け会社によって生産された部品を全て親会社が買い取る
ことで、他所に重要部品が流れない構造があったのですが
バブル崩壊により、相互持ち株の廃止、銀行の統廃合によって
系列の維持が困難になり、それぞれのサプライヤーが系列外
へ部品を出荷するようになってしまった。そこで力を伸ばして
きてきたのが韓国企業だった。

韓国においては1企業1業種の究極の選択と集中が行われて
国内で高く売り、国外で安く売るという構造になっている。
収益の8割は国内からということが起こっている。これは
グローバル企業の究極の姿であると著者は指摘している。

韓国の金融業界は外資に乗っ取られている。
外資支配された銀行は資本の内部留保を許さず、高い配当と
株価の引き上げを要求し続けます。銀行ですら売却の対象と
なり、利益が出なければ売却の対象になってしまう。
銀行はインフラの一部であり、市中(企業や個人)に資金を
循環させる心臓の役割を担っている。

民族のアイデンティティが生まれるためにはインフラの確立
が重要だ。インフラが整備されることで地域のアイデンティティ
が確立される。城郭が築かれ、それを中心に街が生まれ、そこ
から街道が整備されていく。ところが韓国には日本統治時代
までまともにインフラが整備されていなかった。
日本によって整備されたインフラが朝鮮戦争で破壊され、国民
の不満が高まった時にその不満を日本に押し付けたことが
今日の一連の反日につながっている。

日本は世界でも稀にみる民族国境、地理国境、政治国境を
ひとつとする国家であり、なおかつ海洋国家です。
海洋国家においては国境線が明確であり、その中で独立した
経済構造、内循環型の経済構造をつくりやすくなります。
それに対して大陸においては国境は線でしかない。
このことは貯蓄や蓄積に対する考え方にも大きな影響を
与える。海洋国家は蓄積は国家の礎になると考えるが
大陸は富を持つ、蓄積は侵略要因になることを意味する。
この基本思考の違いを全く無視しては韓国を語ることはできない。

韓国はサムスンとアップル、新日鉄とポスコ、ハイニックスと東芝
などで大型の特許紛争が多発している。そして、日本は積極的に
知的財産権の保護に動いている。その筆頭がACTAと呼ばれる
偽造品取引防止に関する世界的な枠組み協定です。
このルールに入ってる国全てが偽造品と認定された場合は自国
に入れられなくなります。日本が03年知的財産戦略本部によって
提唱され、中心となってまとめられたものです。
韓国は米韓FTAなどの絡みで加入することになった。
ちなみに中国は未加入です。

サムスンのビジネス手法を焼畑工業モデルといいます。
知的財産権侵害するコピー製品をつくり、実際に訴訟が解決
するまでに商品を売りつくすという手法です。
販売差し止めになる頃には新しい製品を出す。
ただしこの手法は研究開発費にお金をかけなくなるということだ。
どうせどこかに模倣されてしまうから無駄だということになって
しまうと、世界中の本来持つべき技術革新の種が全部奪われて
しまう。だからこそ、これからは世界において知的財産権保護が
重視される。

日本経済停滞原因の一つがマスコミの日本ダメだ論の報道です。
極端な悲観論は日本人の自信を喪失させてきた。
また切り取り報道や切り貼り報道など自分たちの論説に合うように
記事を作る。政治家の問題発言などもこれによるところが多く
多くの誤解を海外に発信して国益を損なってきた。

更に日本人はグローバルスタンダードという言葉に騙され続けて
きた。その名のもと規制緩和をして日本のローカルルールを変えて
まで外資を参入させてよかったのか。商売をする場合、お客のニーズ
や環境に合わせて商売します。それが販売側の都合に合わせて
あれこれ変えるというのは商売の原則に当てはまらない。

戦後日本は敗者の論理で物事を考えるようになった。
交渉や勝負事は勝つことを前提に挑まなければ、勝てるものも勝て
なくなります。日本人の多くは最初から負けるかもと考える。
弱い立場から思考しがちです。そこから脱することがまさしく戦後
レジームからの脱却なのです。

ゼロから学ぶ経済政策

ゼロから学ぶ経済政策  日本を幸福にする経済政策のつくり方 (角川oneテーマ21)ゼロから学ぶ経済政策 日本を幸福にする経済政策のつくり方 (角川oneテーマ21)
(2010/11/10)
飯田 泰之

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経済政策に限らず全ての政策は国民を幸福にするためにある。
幸福とは主観的な幸福と客観的な幸福。誰も反対できないパレートの改善と
呼ばれる状態の幸福とがある。国民の平均所得の向上による幸福の上昇を
意図した政策が求められる。もっといえばひとりあたりのGDPの上昇を
ねらった政策である。経済的な豊かさは私たちの幸福を左右する。
平均的な国民所得・収入を長期的にあげていきましょうというのが経済政策の目標である。

経済政策の3つ柱

1.成長政策

①日本により多くの設備・機械・経営資源といった生産要素が集中すること。

②生産要素を組み合わせる技術が進歩すること。

③技術の進歩とも密接に関わることですが、効率的に資源を運用すること。

2.安定化政策

潜在のGDP・・・日本国内に現在存在している資本や工場設備、労働者そしてそれらを
         組み合わせた技術が、無理なく、無駄なく利用された時に達成される
         仮想的なGDP。潜在GDPというのは日本経済の実力を表すもの。

潜在GDPよりも現実のGDPが低い場合は、利用されていない労働力がある。
実力以下のレコードしか出せない場合は不況ということになる。
反対に実力以上に結果が出た。潜在GDPを現実のGDPが上回る場合は好況ということ
になる。

現実のGDPが潜在GDPを下回っている場合、潜在GDPと現実GDPの差を最小化
しなければならない。この最小化を目指すのが、安定化政策です。
その具体的な手段は財政政策と金融政策になる。

成長政策が経済の本当の実力である潜在GDPを長期的に伸ばしていくことを目的とする
のに対して、安定化政策は経済の実力をちゃんと発動させる政策といえます。

3.再分配政策

人生にはアクシデントがつきものです。
それは自己責任では避けられるものではありません。
避けられないアクシデントに対処として通常考慮されるのが保険です。
安定化政策、成長政策をサポートする役割もある。
不慮の不幸をカバーし、人々が安心して幸福を追求していけるような社会全体としての
土壌をつくるための保険である。

成長政策や安定化政策が幸福を増やしていく政策ならば、再分配政策は不幸を減らす
政策になる。

◎経済政策を考えるための出発点

政策を組み合わせて運用していくうえで、経済政策のティンバーゲンの定理を押さえる
必要がある。

ティンバーゲンの定理とはN個の独立した政策目標を達成するためには、N個の独立した
政策手段が必要である。政策目標が成長と安定化と再分配なら、それぞれ大きな政策手段
が3つ必要になる。全てを同時に解決できる魔法の杖はない。

ひとつの政策手段は必ず複数の政策目標に好悪両面で影響を与えてしまう。
経済政策の運用の場面では副作用をコントロールしていくことも考えていかなければ
ならない。(マンデルの定理)

マンデルの定理とはある政策目標があった場合は、いったん副作用への懸念を切り離して
その目標を達成するのに最も安上がりな手段を用いるべき。副作用は別の手段で抑え込む
という考え方。

政策が失敗した時に対応策があるのか、後戻りできるのかが政策評価の観点である。
コンティンジェンシープランの存在。コンティンジェンシープランとはもともと軍事用語
で、ある時点で兵力の何%を失ったら撤退開始というように、あらかじめ作戦失敗の範囲
を定義しておき、ネガティブな結果が出た場合の行動計画を立てておくということ。

日本の経済政策は三大経済政策目標のうち一つないし二つだけを重視してきたために
3本柱が揃わない状況が続いた。

1.成長政策の基本

政策3本柱のうち軸となるのが成長政策です。
成長政策として国がやるべきものの代表として、投資税制の優遇や規制緩和などが挙げられる。
何が成長分野なのかは事前にわからない。あくまでどの分野に資金を投下するかは市場の判断に
任せるべきだ。

◎GDP成長をもたらす三つの要素

潜在GDPを伸ばしていくのが成長政策である。
GDPとは資本・労働力・技術の三要素が稼働することによってもたらされるものである。
例えば資本と労働がかみあって付加価値を生み出す。

潜在GDPとは資本や労働が無理なく、無駄なく使われている状態で達成されるGDPの
水準のことである。キャパシティ通りに稼働した場合に生み出される付加価値の総和。

日本国内にそもそも存在する資本・労働力・あるいは両者を結びつける技術の水準を高めて
いかなければならない。

成長政策というのは労働者・資本・技術の3つの要素のどれに注目するかによって
3つのルートが考えられます。

一番古典的なのが労働力を増やすという考え方。
高度成長期に農村から都市へ集団就職をしたなどの例がある。

二番目は資本を増やすというルートです。
経済学における資本は機械設備・土地・建物など様々な生産設備のことを指している。

資本、特にひとりあたりの資本を増やすためにはどうすればいいのか?
2つのロールモデルがある。一つが内国モデルと呼ばれるもの。

内国モデルは国内の貯蓄が国内の銀行を通して、国内企業に貸し出されることにより
様々な機械や土地や建物などの設備に投資されていき、ひとりあたりの資本量が増えて
いく成長の姿です。

もう一つが外資モデル。外国資本を国内向けに投資してもらうというのが、これから重要な
目標になっていく。中国が外資を誘致して工場を立てたようなものが例である。

GDPは労働・資本・技術によって決定されます。
前近代部門から近代部門への人口移動という労働増加による成長が不可能になったならば
国内投資が増えるような環境を整えることで資本の増加による成長を目指す必要がある。

投入する資本や労働力が同じでも、それまで以上の付加価値をアウトプットできるよう
資本と労働力の組合せを工夫して、費用対効果の効率をあげるしかありません。
資本と労働力の組合せ方を左右するのが経済成長の第三要素である技術である。

経済成長理論における技術は単純に科学技術に投資をするということのみではなく
現場がちょっと工夫したら得になる。楽になる。快適になるような目に見えないような
小さな発見と練磨が何万、何百万、何千万と日本全体で集まって達成されるもの。
労働者の腕や経営者としてのマネジメント能力、生産現場で付加価値を生み出すために
必要とされるあらゆる営み全てを指す。

結局は個々人が自分の努力で勝手に才能が伸びていくような社会環境を作っていかなければ
ならない。加えて技術にとって重要なのが、手持ちの資本と労働力をいかに効率的に組合せ
るかという考え方になる。それができるのが競争市場です。

◎市場機能と競争政策

ここの経済主体が手持ちの労働力と資本を効率的に組み合わせていくための技術をいかに
高めていけるような環境を用意できるかに行き着く。

最小規制、最小課税が技術向上のためには大きな力を発揮する。

市場の持つ効率的で厚生促進的な性質が阻まれるケースは3つある。

1.不完全競争・・・市場が自由で競争的ではない。

①独占

②カルテル

2.市場の失敗 

①費用逓減産業・・・発電事業・鉄道・電話・ガス・水道 

②外部性・・・ある経済主体の行動が市場を通じないで他の主体へ影響すること。
 技術的外部性・・・工場の排水・騒音(外部不経済)
 マーシャルの外部性・・・ネットワーク外部性(みんなが字が読めれば手紙がかける)
 公共財

③情報の非対称・・・当事者間の情報が対称ではない。だから政府が介入する。

3.価格硬直性

☆安定化政策

経済学における長期とは、ある時点で経済が最もよいパフォーマンスを発揮したときの
経済状態のこと。経済の実力・体力のようなものを指す。
長期の問題を取り扱う成長政策とは基礎体力の向上を目指す政策である。

・景気と成長を巡る二つの思考法

ネオ・シュンペーテリアン解釈。
景気が良くなったり、悪くなったりを繰り返す周期的な景気循環が長期的な経済成長を
促進する。制度的に硬直化していることで業績悪化している企業は不況で淘汰され、倒産
によってその企業が抱え込んでいた労働力や資本が新しい産業へ移っていき、それが効率的
に運用されることで、次の好景気がうまれてくるという考え方。

ニューケインジアン的な解釈。
景気の善し悪しはなるべく均していったほうが長期的な経済成長につながるといった考え方。

創造的な破壊の議論とは裏腹に不景気の状態では新しい産業の芽は摘まれてしまう。

◎セイの法則と有効需要の原理

セイの法則・・・供給は自らの需要を創造するという考え方

セイの法則とは潜在GDPが高ければ現実のGDPも引っ張られてこれについてくるという
考え方である。成長政策こそが華であるという考え方。

有効需要の原理とは需要に対して供給が行われるという考え方。
供給側は売れるからつくるのであって、作ってから売れるのかどうかを考えるわけではない。
潜在GDPがあったとしても、需要がなければ現実に実力を発揮する経済活動は行われない
ことになる。

GDPを潜在GDPに近づける。需要不足、デフレギャップがある状態では有効需要を
増やさなければならない。国内の需要を消費需要・投資需要・公的需要に分けられる。
(実際はこれに輸出需要が加わる)

有効需要の原理は消費+投資+政府支出がGDPを決めるという形になる。

有効需要の中で最も動かしやすいのは政府支出になる。

政府支出の規模を決め、政策的に操作することで景気の安定化を図ろうとするのが
財政政策と総称される政策です。

財政政策は3つの機能を持っている。
①経済安定化機能 ②資源配分機能 ③所得再分配機能

財政政策が持つ経済安定化機能は2つある。

①ビルトインスタビライザー・・・財政制度が持っている自動的な安定化機能。 

②フィスカルポリシー・・・政策担当者が人為的な景気判断によって政策を投入していくこと。

◎金融政策

金融政策が作用する3つのルート

自由な政策によって左右される現在から将来にかけての貨幣の量によって物価は変動する。
物価は実体経済に大きな影響を与える。直接・間接に貨幣の量を調整することで物価を
コントロールし、それによって実体経済に影響を与えることが金融政策の仕事になる。

将来、貨幣の量を増加させることで貨幣の価値を低下させる。
(物価を上昇させるインフレを起こす)金融政策の緩和。
逆を金融の引き締めと呼んでいる。

物価が実体経済に影響を与える経路は3つある。
①労働市場 ②金融市場 ③資産市場

実体経済は物価の変動によって左右される。
銀行による信用創造というプロセスが重要になる。
信用創造とは預金が貸し出され、その貸出がが新たな預金を作ることによって預金という
貨幣が生まれることを信用創造といいます。
貨幣の量がこの信用創造によって決まる。



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