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2018年戦争へ向かう世界 三橋貴明

安倍政権への批判で的を射た批判は保守派からの批判
ですね。具体的な点を指摘し、どうすればいいかというの
をはっきり提示している。

ナショナリズムとは国民同士の助け合いの気持ちである。
私たちは生きていくうえで何らかの共同体に属さなければ
ならない。共同体の最小のものが家族であり、最大のもの
が国家である。朝日新聞を中心にナショナリズムを軍事
防衛安全保障と短絡的に結び付けようとする傾向があるが
これは危険である。本来、安全保障とは国民の豊かで安全
な生活の継続を保障するという意味である。

そもそも現在の日本国憲法は日本が主権を持っていない
米軍占領下で制定されたものである。それを憲法として
認めている時点で日本国民も異常である。

著者は安倍政権ほど移民を受け入れた政権は過去にない
としている。移民の定義は出生地、市民権のある国に12
か月以上いる人と規定している。2012年に68万2000人だった
外国人雇用者数は2016年に108万4000人にたっした。
4年間で1.6倍である。そして日本においては保守も革新も
移民受け入れに賛成している。理由の1つ目が日本国民の
実質賃金を引き上げたくない経済界の意向である。
2つ目は我が国の右も左もグローバリズムが浸透し、国民
主権国家の政治基盤であるナショナリズム(国民意識)が
喪失しているからである。

大規模な自然災害や外敵の侵略など、日本国民が苦痛を
受けている際に、カネや利益と無関係に救わなければなら
ないという気持ちがナショナリズムの原点である。
安倍政権の緊縮財政で防衛や公共投資など安全保障関連
の予算を削る。規制緩和により農協や農業を痛めつけ、発電
分野に外資規制なしに誰でも参入できる。保険適用ではなく
自由診療を増やし、医療をビジネスと化す。外国との自由貿易
で国内の生産者を痛めつけ、各種の安全保障を危険にさらす。
とくに食糧安全保障。

緊縮財政、規制緩和、自由貿易というグローバリズムのトリニティ
は安全保障関連のサービスの供給体制を壊すと同時に、ナショナ
リズムまで毀損していくのである。欧米では反グローバリズムの
勢力が増している中、日本では保守的反グローバリズムが存在
していない。

税金の役割は公的サービスの財源、所得の再分配、景気変動
を抑制するビルトインスタビライザー(埋め込まれた安定化装置)
である。景気のいい時に高額所得者から税金をとり、不景気の
ときに負け組である失業者や赤字企業の税負担を減らす。
そういう意味では消費増税は所得が高い層に軽く、低い層に
重い、格差拡大をもたらす逆累進課税である。ビルトイン
スタビライザーが働かないのだから、欠陥のある税金である。

需要がない状況で生産性向上の投資に踏み切る経営者は
いない。何もしなくても条件なしの法人税減税で純利益が増える
といったありさまでは企業経営者は税金が増える以上、売り上げ
や粗利益を拡大する生産性向上に踏み切らなければならない
といった強迫観念にはかられない。
安倍政権の財政政策の誤りは生産性向上をもたらす需要拡大
に踏み切らず、緊縮財政をとったこと。企業経営者の投資への
モチベーションを引き下げる無条件の法人税減税を強行したこと
結果的に日本国民の実質賃金は12年から16年にかけて5%も
下がった。

国力はモノやサービスの生産力で決まる。
資源、生産、市場の3つが経済の基本要素である。
生産は資本、労働、技術の3つに分解可能である。
生産能力は投資により強化されていき、収穫逓増の法則に
より、国内の市場と資源のみでは不足する状況になっていく。
というわけで、アジア、アフリカへ資源と市場を求めて軍事力
など国力を行使していったのが帝国主義である。

ポピュリズムとは
①直接民主主義的手法を用いた政治 反議会、親マスメディア
②エリート主義と対立する民衆主義 反エスタブリッシュメント
                       (反議会、反マスメディア)

第二次安倍政権発足以降の就業者の増加は、正規雇用より
パート・アルバイト、派遣社員。生産年齢人口の男性ではなく
高齢者、女性の雇用拡大により実現した。実質賃金が低迷
しているのは、生産が拡大していないことに加え、企業が
労働分配率を引き下げているからである。労働分配率が
下がったのはグローバル株主資本主義による利益偏重経営
労働組合の弱体化、デフレによる人手過剰である。
この現実を踏まえ、政府が財政出動により、安定的に生産
(需要)が拡大する環境を構築し、更に労働分配率を引き上げる
規制強化を推進しない限り、安定的に実質賃金が上昇する
ことはない。

我が国では主権を意識した政治が行われていない。
主権、デフレ、ナショナリズム、安全保障、資本主義、生産性向上
といった概念を理解している政党や政治家は存在しない。
日本には2つの壁がある。1つ目が日本国憲法9条2項である。
2つ目は財政構造改革法(プライマリーバランスの黒字化目標)
である。このままいけば、待ち構えている未来は発展途上国が
いいところである。日本は滅びるということである。
実質賃金の異様な長期低迷、インフラの老朽化、自然災害への
脆弱化、防衛力の相対的な低下、科学技術力の凋落、教育
レベルの低下、地方経済の衰退、医療介護サービスの供給能力
の低下、少子化などである。これらは政府が予算を使うことで
解決する。使わなければ解決しない。

憲法9条2項とプライマリーバランスの黒字化の破棄こそが
日本の繁栄の道である。
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こうして突破できる日本経済 宮崎正弘 渡邉哲也

アジアインフラ投資銀行の狙い

①中国が目指すアジアインフラ投資銀行なるものは、国際金融機関ではなく中国共産党の
  世界戦略に基づく政治工作機関である。

②あわよくば米国主導のブレトンウッズ体制(世界銀行・IMF体制)に代わる中国主導の金融
 秩序の構築をという中国の野心。ドル基軸体制に真っ向から挑戦し、人民元基軸体制を
 アジアに構築しようという壮大な戦略に基づく大風呂敷の構想である。

③この銀行を設立することは中国経済のひずみを解決するための出口でもある。
  諸外国へのプロジェクト融資を持ちかけることによって中国国内の余剰生産のツケを一掃
  することだ。鉄鋼、セメント、建材、石油副産物などの国内在庫を海外へ吐き出す機関ともなり
  うるし、失業対策に悩む中国が諸外国にプロジェクトを持ちかけ、それをファイナンスすること
 によって大量の中国人失業者を海外へ送り出せる。

④日米が主導する中国抜きのTPPと中国包囲網ともいえる日本の価値観外交そして、先進国
  が主導するインフラ投資の国際基準策定による実質的中国排除の動きへの牽制と見ること
  もできる。実際に中国はTPPni対抗するかたちでRCEP(東アジア地域包括的経済提携)という
 自由貿易圏構想の成立を模索しており、その拡大版としてTPPを巻き込んだFTAAP(アジア
 太平洋自由貿易圏)という構想をぶちあげている。アジアや国際社会から孤立を恐れた
 中国の対抗策であり、それを実現する買収手段でもある。

・中国は2014年末3兆4830億ドルの外貨準備があるとされているが、CIA系シンクタンクの調査
 によると、不正に外国へ持ち出された外貨は3兆7800億ドル。つまり外貨準備は底をついている。
 事実、米国債の保有残高を減らす。国家ファンドが保有していた日本株を売り払うなどしている。

・ウォール街の論理はグローバリズムであり、そのルールを決めているのは英国シティである。

AIIBへの英国の参加表明の理由

①英国にとってAIIBに加盟を表明しないことには情報が得られない。

②加盟国となれば、AIIBに規則や条件、定款の作成に英国が注文、条件をつけられる。
  シティのルールを尊重してくれるのかどうか?外国企業も応札が可能なのかどうか。

③ウィンブルドン方式。中国は2年前からシティにおける人民元取引を認め、同時に中国国債も
  取引されている。同じくフランクフルト市場でも行われている。

AIIBの致命的欠陥

①人民元拡大を狙う資本金がドル建てであること。

②資金振込にも至っておらず、拙速な開業でも16年、その頃に外貨準備が潤沢のままであると
  考えにくい。

③ロシアの思惑が複雑で読めない。ロシアの不満は中国主導の拒否権である。

1.アベノミクス効果が徐々に見え始めた日本経済

・日本の株価に影響を与えているのは黒田バズーカとGPIF、加えて原油安と円安です。

・GPIFは年金を運用する機関です。14年10月に方針変更で年金運用株式の比率を12%から
 25%へ引き上げられた。

・株式運用する分だけ国際買取額が減る。その分の国債をGPIFから日銀が買い取る。
 事実上の財政ファイナンスであり、政府が発行した国債を中央銀行が買い取る。
 財政ファイナンスは再現のない財政拡大が起こる可能性があるが、日本の場合は
 80%が国内消化で、全て円建てですから、それほど大きな問題はない。

・日銀は事実上の政府の子会社ですから、日銀が国債を買い取る場合は政府に戻って
 きます。政府が利子を払って日銀が利子を受け取る形になるが、利子は日銀から政府
 に戻ってきて、プラスマイナスはでないようになる。

・基礎的な人口構造と生活スタイルの大きな変化が日本国内で起こっている。
 労働者数が減って引退する人が増えると、家でゆっくりご飯を食べる人が増える。
 外へ出る機会がどんどん減っていく。それに合わせて街の構造を変えていかなければ
 ならない。

・国内で働いている日本人が景気が良くなったと実感できる社会をつくるのが、やはり国家
 としては一番正しい姿である。

・社会構造の変化の一つが核家族化だ。かつては三世代合計で家計を考えればよかったが、
 世帯が核家族化で個別になると、家計というものが変わってくる。世代間で格差感が出てくる。
 高齢世代は資産を持っているが、現役世代は賃金が安くなって苦しくなっている。

・海外の中央銀行は全員金融のプロのバンカーだけど、日本は役人がやっている。実務畑を
 知っている人が少ない。

・金融と金融工学というのは完全に理系の学問だ。

2.国土強靭化と国防産業強化を本気でやれば日本は成長できる

・シャッター通りの再開発は日本国憲法の財産権の問題で、これを解消しないといけない。
 公共の福祉と個人の権利が非常にアンバランスになっている。

・自民党憲法改正案の29条第三項には、私有財産は、正当な補償の下、公共のために
 用いることができる。という項目が追加された。権利義務関係と公共の福祉のアンバランス
 は解消を狙ったものだ。

・東京一極集中解消のために国家手動で人の移動を起こす。
 地方再生、地方創生のためには企業の本社を地方へ移してもらう。
 固定資産税の税率を変える。23区を高くして、地方へ行くほど安くする。
 そういう施策を中央主導でやる。

・自民党の地方分権案は当道府県を廃止して、道州議会にして、市町村は議会をなくして
 完全なサービサーにする。住民サービスのみを行う組織にする。現在の県の役人は国の
 出先機関の意識で国に従って働いている。国の役人たちがテリトリー別に権限を発揮しな
 がら県の役人を使っている状態です。国→県→市町村の三段階システムを二段階にして
 いく。広いエリアで地方再生を設計する。

・民主党案は地方に自治権を与えて権限を全て委譲するものだ。これは分裂国家にしろという
 極論である。

・ロスのない経済システムをつくってきたのが日本である。その効率性が東日本大震災の際に
物資不足を招いた。サプライチェーンの二重化、三重化が必要になる。一つのカンバンではなく
 3つのカンバンでやる。ある地域のチェーンが切れても、別の地域のチェーンを利用して生産を
 続ける。

・かつて企業はBtoCでしたが、今はBtoG(政府)に変わっている。BtoGに必要なキーパーツは
 日本でしかつくれない。このキーパーツにどうやって付加価値をつけて高く売り込んでいくか
 というのがポイントになる。

・原発停止で高止まりしている電気料金が製造業の国内回帰を阻む。

・日本には1700兆円の個人の金融資産がある。そのうち日銀買取を除くと、400兆円ぐらいしか
 市中に出回っていない。その理屈でいえば1300兆円はまだ国債を発行できる。

・新興国国債を証券会社や銀行が売るのかというと、手数料をたくさんとることができるから。
 円を売ってドルに替えて外国債を買う。売る時もドルを売って円を買うのでここでも手数料が
 入る。円建ての商品は為替手数料がゼロになる。金融機関としてはおいしくない。

・日本は1兆2400億ドルの米国債を保有している。

・新興国は国債ではなくサブプライムなど高金利の債権をたくさん持っていました。
 だから持っている債権が暴落して危機的な状況に陥った。

3.価値観外交はアベノミクス第五の矢になる。

・海外援助というのが実はアベノミクス第五の矢であり、外交とセットで売り込みに成功している。

・アフリカは国連加盟国193カ国のうち54カ国なので大きな票になる。

・見えない日本外交の核として実は南米外交がある。
アメリカの国家構造として年々ヒスパニックが増えている。
 ヒスパニック系はいろいろな政策で中国・韓国と対立している。
 ヒスパニックと黒人がつながってチャイニーズ・コリアンと対立している。

・南米は日本の先人たちが移り住んだので未だに日本人会が強い。
 南米経済の中核には日本人の子孫が多い。ヒスパニック系議員は南米の
 日本人会と手を組んで議会での勢力拡大をしようとしている。

・議会に日本議連というものが結成され、中心はヒスパニック系です。
日本は南米を通じてアメリカ議会内での日本の影響力を強める戦略をとっている。
日本の価値観外交によって南米各国のインフラ整備を支援している。

・一つのポイントが中国は援助の際、労働者を連れて行く。日本はインフラ整備に
 労働者は連れて行かない。日本から技術者を連れて行って技術供与をしますが
 作業員は現地で雇う。現地の雇用を生む。仕事を流す相手は現地の有力企業
 です。現地の有力者は日本が援助した金で儲かるし、政治家は日本の金を利用
 して票をとることができる。日本は現地の有力者に金を流して、結果的にたくさんの
 議員たちを手懐けている。

・そしてインフラのキーパーツを輸出するので金は返ってくる。

・JETROは輸出振興の機関だったが、80年代後半の日米貿易摩擦からインターナルで
 内向きに変わった。世界中のものをどうやって日本に輸入するかがJETROの役割に
 なった。

3.ことごとく失敗する中国の敵失を生かせ

・中国はアメリカの影響下から抜け出したいがゆえに人民元の取引決済を望んでいる。
 ところが人民元は事実上、香港ドルペッグになっている。その香港ドルは米ドルペッグ
 になっている。香港ドルはドル預託通貨といって民間銀行が発行する通貨でスタンダード
 チャータード銀行、HSBC(香港上海銀行)、中国銀行三行が発行している。
 担保は米ドル、中国がもつ米国債です。

・資源企業は人民元を受け取ってくれない。基本的にはリスクの少ない米ドル決済を望んで
 いる。カードカレンシー(国際決済通貨)化ということで、自国通貨が信用だけで取引できる
 ようにしたいと思って中国は頑張っている。

・アメリカにはIEEPA法(国際緊急経済権限法)という切り札がある。
 アメリカの国防上の安全を阻害する行為をした場合に、アメリカ政府はその人物や団体
 の資産を没収またか抹消できるというもの。

・アジア開発銀行は16.7%ずつ日米が出資している。15%のシェアを持っていると単独拒否権
 を行使できる仕組みです。

・中国が香港返還の際に一国二制度を約束した香港声明を無効にすると言っている。
 中国が貿易決済をする際には香港ドルを使っているが、これを発券しているのは
 中国銀行を除くとHSBC、スタンダードチャータード銀行です。香港ドルの取り扱いをやめる
 というふうなことになれば、通貨の信用はガタ落ちになる。

・中国銀行が発行している香港ドルは5%ぐらいである。のこりはHSBCとスタンダードチャータード
 になる。中国銀行はそれほど米ドルを調達できていない。

・船舶保険はイギリスのロイズが握っている。P&I保険(船主責任保険)と船舶の保険について
 1~2%上げただけでも中国の海運会社はアップアップになる。

・イギリスは金の価値を下げることもできる。ギルドメンバー以外の刻印だと5~10%目減りする。

・日本の国債発行は日本の法律に基づいているが、これは日本という国に信用があるからで、信用の
 ない国が国債を発行する場合はイギリスの法律に縛られる。

・アメリカとイギリスの金融は一体であり、ドル体制です。ウォールストリートを支えているのはシティの
 金融である。

・中国の不良債権は1000兆円。対GDP債務は282%です。

・自国通貨が弱い南米はスペイン金融に牛耳られている。

・温暖な地域では貯蓄性向が低く失業率が高くなる傾向がある。

○世界経済を本当に支配しているのは誰?

・金融に関しては金融ギルド。アメリカのウォール街をシティが支配している。
 金融に関してはシティ、船舶に関してもシティ、ルール作りの観点でいけば
 イギリス支配です。イギリスがルールを決めて世界経済を動かしている。
 
・鉄鉱石ギルド、石油ギルド、金ギルド、プラチナギルド、ダイヤモンドギルドなどがシティにはある。

・船舶の海上保険を日本で販売しても、日本の保険会社はロンドンで再保険をかけている。

・国際条約を結ばれる場合も英英語が使われる。国際間のルールはイギリスがチェックしている。







なぜローカル経済から日本は甦るのか 冨山和彦

現在の日本は従来の見方では説明できなくなっているのではないか?
新自由主義でも、社会民主主義でも適切な処方箋にならないという
新しい視点が面白いです。

新しい視点とは日本経済を見るうえでGとLの視点で見るべきだという
点です。Gとはグローバル経済、Lとはローカル経済、この2つの連関性
は薄い。かつて高度成長期はグローバル企業が活況になれば、その
下請けがある地方経済にトリクルダウンが起こり、国全体が経済が底
上げされていたわけだが、現在は全く別の経済圏だと捉えるべきたと
著者は指摘している。

Gの経済圏つまりグローバル経済圏は製造業やIT産業が中心となる
世界である。基本的にモノを扱っているところの規模の経済性が効く
産業である。量や累積経験値が、モノのコストや価値に劇的に大きな
メリットを及ぼす。製造業の扱うモノはトレーダブルグッズ。グローバル
マーケットで一斉競争が始まるので、比較優位のないものは瞬く間に
淘汰される。そこで競争を支配するのは規模や累積経験、マーケット
シェアである。

だから、グローバルの完全競争な経済圏では、日本がグローバル競争
に勝っても必ずしも大量の雇用を生むわけではない。
また海外生産に依存している限り、日本のGDPには一銭もカウント
されない。本社機能、本部機能などのマネジメント、研究開発R&D
生産拠点もマザー工場か、最先端工場しか残らない。
これらの経済圏では国内では上位数%しか雇用は吸収できない。

一方、ローカル経済圏は基本的に非製造業中心で、本質的にはコト
の価値(観ること、運ぶこと、治すこと、泊まることなど)を顧客に提供
しており、どちらかというと分散的な経済構造である。
具体的には鉄道、バス、タクシーなど公共交通、物流業、飲食業、
小売業、ホテル旅館など宿泊施設、医療、介護、教育などである。
基本的には対面でサービスが行われ、生産と同時にその場で消費
される同時生、同場性のある経済圏である。
経済圏の特性は密度の経済性が効き、不完全競争の世界だ。
小売業も真の競争は同じ商圏内でしか起きない。

地域やそこで生活する顧客との密着度合いが経済効率を決める
ので、下手にグローバル化を拡大、拡散するより、地域における密度
を高める努力をした方が経済的に儲かる。
密度の経済が効くローカル経済圏はグローバル経済圏のような空洞化
は起こりにくい。ローカル経済圏の産業領域は、対面でサービスを提供
するので、本質的には労働集約的になる。労働集約的であるため、
どちらかというと汎用的、平均的技能を持つ人材が求められる。
その意味では幅広い雇用吸収力がある。

そして現在の日本経済に7割を占めるのはサービス産業だ、そのサ
ービス産業のほとんどがLつまりローカル経済圏のものです。

ローカル経済圏での国際収支は赤字である。
国民経済的な視点でみれば、それを埋め合わせて余りある外貨を
グローバル経済圏で稼いでもらわなければ困る。この場合、貿易収支
で稼いでも、所得収支で稼いでも、どちらでも構わない。
日本のように賃金が高く、貿易収支で稼げないのであれば、海外の
子会社に稼いでもらって獲得した利益を配当という形で所得収支で
吸い上げればいい。

現在の貿易収支が悪化する構造要因は、基本的な要因はグローバル
経済圏の企業がいよいよグローバル経営に移行したということだ。
為替是正で円安になったにもかかわらずJカーブ効果、輸出競争力が
上昇し、トータルな貿易収支の黒字が加速する現象が起こっていない
ことからもわかる。

日本のグローバルプレーヤーが長期的に後退していった本当の理由は
事業環境や競争のメカニズムの変化の中で、しかるべき事業と機能の
新陳代謝を怠ったからである。構造的に儲からなかった事業をぎりぎり
まで引っ張る。バリューチェーンの構造変化の中で自社でやっても儲か
らない、比較優位を失っている機能をギリギリまで引っ張る。
経営者がまともな意思決定をしてこなかったということだ。

企業内部のポートフォリオを見ると全体の2割は収益をたたき出す事業
であり、6割はそこそこ稼ぐ事業であり、残りの2割が足を引っ張る義業
というパターンが多い。収益をたたき出す2割の事業の利益を、足を
引っ張る2割が食いつぶし、残り6割が計上する凡庸な利益にとどまる
というパターンだ。

足を引っ張る2割の事業や機能の終息を進め、本当に稼げる事業や機能
へ資源を集中する。日本の製造業は自らの強みに経営資源と事業モデル
を集中することができれば、高収益を挙げる力を持っている。

そのためには国内の立地競争力と競争ルールを整えることだ。
法人税の引き下げは立地競争力の問題。規制緩和については、グローバル
経済圏の領域ではかなり進んでいる。あえて言えば業種別では医療機器と
医薬品の分野、それと電力、エネルギー分野になる。業種横断的には、
やはり、人材市場回りの仕組みについて、ことグローバル経済圏で働く高度
人材の働き方と、従来型の日本的雇用ルールとの不適合の問題、海外から
くる高度人材に対する就労規制や生活支援関連の規制の問題くらいである。
新自由主義的政策は厳しいイノベーション競争で揉まれるという環境の整備
には有効だということだ。

Gの世界で生きる企業の最重要KPI(主要業績指標)は資本(物的、人的)
生産性になる。将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻したものが
企業の本質的な価値だという考え方はどうかしている。
設備(物的資本)と知識(人的資本)の高度な集約化が必要なグローバル
競争では、高水準な先行投資、リスクテーク投資を持続することが求め
られる。それに堪えるには、基盤収益力、とりわけ資本生産性(ROE・ROA)
が高いことは稼ぐ力を持続するために必須なのである。
グローバル製造業やIT産業では、投下資本利益率ROICやROEが10%超
であることがマストである。
ローカル経済圏のリアル。

人口が減るということは、労働力が供給されないことを意味する。
ローカル経済圏においては他の場所から労働力が補われることは
ほとんどないので、その場所にいる労働力が供給源になる。
ローカル経済圏のサービス産業では労働力の供給は硬直的である。
需要が小さくなれば供給過剰になり、マーケットが飽和するというのは
トレーダブルグッズの発想である。

今後、ますますサービス産業のセクターは構造的な供給力不足になる
人手不足に陥る。まずこのことを前提に物事を組み立て直さないと
ローカル経済圏で暮らす圧倒的多数の人々を幸せにできない。

ローカル経済圏のビジネスの多くは、そこにいること自体が比較優位
になる。地域に密着していて、地域の密度をつくっていることが優位性
になるので、もともとそこにいるローカルプレーヤーの方が優位になる。
密度の経済性が効く産業では空洞化は起きない。
対面型サービスはその場所でやっていることに意味があるのだ。

規模の経済性やネットワークの経済性が効くグローバル経済圏の産業
は、概ね上位数社に寡占、収斂される。世界上位10社程度まで広げれば
マーケットシェア8割以上を占めてしまう。
しかし、小売業は世界上位10社合計しても10%にもならない。
教育産業や商業銀行も分散型だ。

ローカル経済圏の課題は穏やかな退出と集約化で寡占的な安定が目標
になる。淘汰が起きにくいローカル経済圏では穏やかな退出による集約化
がポイントである。ここに日本が他の先進諸国と比べて非製造業の労働
生産性の低さにあらわれている。労働生産性を高める伸びしろがあるし
労働生産性を高めれば賃金を伸ばすこともできる。今後、人手不足が
予想されるなか、喫緊の課題である。

市場の規律には資本市場の規律、製品市場の規律、労働市場の規律が
ある。穏やかな退出を促進するには、労働市場の規律を厳しくすることが
唯一の有効な方法である。具体的にはサービス産業の最低賃金を上げる
ことだ。賃金がどんどんあがって弱い事業者が悲鳴をあげてきたときに
そこに救済の手を差し伸べないことだ。サービス産業で最低賃金をあげて
も空洞化は起きない。最低賃金を上げると生産性の低い会社は人を雇う
ことができなくなる。ただでさえ低い生産性はさらに落ち込み、人手不足が
加速することで、顧客サービスも低下する。結果、退出するしかなくなる。

また退出のキーとなるのは地方金融機関のデッドガバナンスである。
収益力をみて、M&Aなどで生産性の低い事業を高い企業に譲渡すること
を推し進めていくことが求められる。

ローカル経済圏の労働移動はスムーズに進められる。
すり合わせ型の製造業なら特殊技能になってしまうので移動は困難だが
ローカル経済のサービス業はジョブ型になるので移動が促進される。

ローカル経済での最終目標は夫婦2人で燃焼800万円程度の世帯収入
があり、無理なく子供を育てられる状況を作ることである。

政策的な時間軸で考えると。
①グローバル経済圏での期待バブルフェーズが効果を見せているうちに
②グローバル経済圏で真の意味での成長戦略を実施し、成果を挙げなけ
  ればならない。そこで時間を作っている間に
③ローカル経済圏で実施する政策の効果が効いてくるという流れを設定
  しなければならない。

経済学者は明快な答えを導き出すことができる上場企業の議論に
偏りがちです。GDPの30%程度にすぎず、雇用はさらに少なく、企業
数に至っては数パーセントしかない上場企業に議論しかしないのは
本質から逃げていると著者は指摘している。多くの経済学者の頭の
中はいまだ昭和40年代の加工貿易立国で占められている。

経済政策や社会システムを議論する場合、そろそろ7割部分を占める
その他大勢についての議論をしっかりしなければならない。
サービス産業にどういう産業特性があり、どういう雇用特性があり、
どういう仕事の特徴があり、どういう人たちがどういう働き方をして
どういう生活をしているのか、ということを直視しなければ日本の成長
戦略は語れない。

著者は現在の日本で大きなパラダイムシフトが起きているといいます。
パラダイムシフトとは、疲弊した経済であるはずの地方で人手不足に
陥っているのだ。つまり、労働人口が減少が著しいからだ。
東北地方での労働力人口の変化を1990年と2012年で比較すると
90万人も減少している。東京は13万人増加しているが、いずれ同様
の現象が東京などの都市部に起こると考えていい。

だからハンドリングさえ間違えなければ格差問題は深刻化しない。
人手不足が進んでいくので賃金も上がりやすいからだ。

人手不足は人口減少の問題からきており、それを解消するには長い
時間がかかる。それを解決するには、労働生産性を上昇させる。
女性や高齢者の労働参加率を上げる。そして外国人労働者について
はまずは高度人材からにするということ。
よく安易な移民論議があるが、非高度人材を受け入れるということは
日本社会にすさまじい社会的ストレスを与えることになる。
ナショナリズムの問題はそう簡単に解決しないからだ。

経済国防 長谷川慶太郎

著者独自の視点で世界経済の動向を分析している。ポイントは大きく
分けて3つある。

①世界的なインフラ再整備の時代がやってきた

②エネルギー安全保障が世界経済を決める

③北朝鮮、中国崩壊が世界経済に与えるインパクト

1.世界的なインフラ整備時代がやってきた

・パナマ運河の拡張計画で海の物流が激変する。

パナマ運河とスエズ運河の拡張工事が計画されている。
パナマ運河を建設したのはアメリカ陸軍工兵隊である。
陸軍工兵隊司令部は合衆国の水に関する業務を一括して
統制しており、軍事施設のみならず、ダム、運河などの
土木工事プロジェクトの計画や施工を行う。

現在の水門の幅が33.5mあり、船舶の大型化のため
これを50m、輸送可能貨物量を3倍の増やそうという計画
である。これによりブラジルの穀物やシェールガスなどが
運ばれる。大型船による最短距離輸送が可能になるので
輸送コストは劇的に下がり、製造業ほかの収益、価格に
反映される。

パナマ運河の他に、ニカラグアに新たな運河構想がたち
あがった。2019年完成予定。出資者は中国の大富豪王靖。
香港ニカラグア運河開発投資会社を設立し、400億ドルを
調達したとされている。太平洋とカリブ海、大西洋とつなぐ
278kmという世界最長の運河になる。

ロジスティック(物流システム)は経済の動脈である。
その再整備により、世界経済、日本経済の動きは大きく
変わっていく。

アメリカの大陸横断鉄道の主要路線が改修期がきている。
その中心はサンディエゴである。サンチャゴの埠頭に
コンテナが着き、1両につき16個2段の32個を乗せた車両
が30両連なって輸送する。これによって海運に対抗しようと
している。

大都市の活性化は地下鉄がキーになる。
ニューヨークは毎年50キロ地下鉄が延伸されている。
ロンドンなどでも整備が進められ、北京・上海、武漢・南京
重慶、ジャカルタ、ホーチミン、バンコクなどで計画されている。
ここにも日本のビジネスチャンスが大きく広がっている。
地下鉄は渋滞解消、大気汚染の減少、中央部のみの人口集中
を緩和できる。よって経済が活性化する。

鉄道は地下鉄であり、新幹線ではない。
新幹線にこだわったらLCCに負ける。

運行システムや保線、メンテナンスに参入の余地がある。

人を運ぶ鉄道より貨物を運ぶ鉄道に注目すべきだ。
貨物輸送はIT化により物流のスピードと効率化が驚くほど
進んでいる。鉄道輸送、船舶輸送、航空輸送とリンクしていく
ものだ。人の動きとお金の動きを変化させる。

リニアモーターカーは9兆円という巨額の建設費と80%は
トンネル、電磁波の問題も解決していないので即刻中止
すべきだ。

2.エネルギー安全保障が世界経済を決める

エネルギー政策は国防の要である。

シェール革命で日本の原発政策も変化していく。
石油に代わる安いエネルギーは太陽光や風力など
自然エネルギーとは規模が違う。

石油化学の時代が終わりガス化学の時代へ。
シェールガスの主成分はメタンだが、エタンが10%、
プロパンが数%含まれている。これらからエチレン
やポリプロピレンを生成することができる。
エチレンからは塩ビモノマーを製造できる。
米国のエチレンプラントは2016~2017年にかけて
稼働する。

ロシア・サハリンから北海道へのパイプライン計画
がある。1350kmの敷設計画であり、総費用は6000億
2015年着工。2018年完成予定。シェールガスと並べば
有効な交渉カードになる。

日本は長期資金が余っている。
貿易収支は10兆円赤字だが、資本収支が22兆円黒字である。

メタンハイドレードはメタンを含む結晶であり、CO2排出量が
石油、石炭の半分である。東武南海トラフ海域だけでも1.1兆㎡
日本の天然ガス消費量の10年分である。
これは三井海洋開発が力をいれており、安倍政権によって
政策投資銀行の融資枠は1兆円になっている。
メタンハイドレードは中期的注目が必須。

ガスパイプラインの整備が進めば更に低価格が望める。

再生可能エネルギーの発電割合は全体の1.6%であり、国家
の基幹産業にはなりえない。民主党が決めた1kwあたり42円は
無謀としかいいようがない高価格であり、13年には38円、14年に
は37円になり、1kwあたりの買取価格32円を切れば採算のとれる
太陽光発電は3分の1以下になる。

中国のメガソーラー投資はただの資産飛ばしにすぎない。

3.北朝鮮、中国崩壊が世界経済に与えるインパクト

中国経済の今後を見るカギはシャドーバンキングだ。
シャドーバンキングとは中央銀行の統制を全く受けることなく、
勝手に資金調達、運用する民間銀行のことである。
したがって銀行法規に従って経営がなされていない。
中国のシャドーバンキングは3万。資産規模は正規銀行を
上回るという。

中共政府は公共投資、都市開発、インフラ整備、資源開発
海外資金の導入を地方自治体に任せるという政策をとった。
地方債の発行が禁止されていたため、地方自治体は投資
会社を設立して再建を発行するなどして資金を調達していた。
投資会社の運営は地方自治政府の管轄下で運営される。

シャドーバンキングは各種理財商品に銀行金利をはるかに
上回る高金利をつけ、資金を企業や個人に貸す闇金である。
自治体投資会社はここからも資金を借りるようになっていく。
シャドーバンキングも自治体の債権を組み込んだ金融商品を
企業等に販売するようになっていった。

そうした流れから地方政府は資金を手にして大規模プロジェクト
を推進していく。正規銀行から借りられない企業に金を貸し、
省や県などの地方自治体のプロジェクトに資金を提供してきた。
何も規制を受けない分、自由ではあるが、当然その分、何を
やっているか全く不透明であり、借り手、貸し手双方の腐敗
堕落、汚職、横領といったものははびこり、そこに政府高官や
党、軍幹部などが関係している。

シャドーバンキングの規模は2012年末で350兆円といわれて
いる。習近平政権は2013年末からシャドーバンキング問題の処理
に動く。シャドーバンキングの一部を正規の銀行として銀行法規の
中で再出発させた。普通の銀行になれば資金援助も可能だ。
全体の1割3000行が普通バンクになり、残る9割2万数千行は
潰す方針だ。

シャドーバンキングの経営者の多くが軍幹部である。
注目すべきは軍部である。中国は中国共産党の一党独裁国家である。
党の決定が政府の方針であり、それが軍部にも及ぶ。
しかし現実には政府/共産党=軍部が一枚岩ではない。
人民解放軍は中国共産党の軍であり、改革開放により資本主義路線
を歩む共産党と、人民解放軍がうまくいくはずがない。
そもそもイデオロギーが対立している。

なによりわかりやすいのが、日本の財界人が訪中をしているタイミング
で防空識別圏を発表する。経済が悪化しているので日中友好が必要
なのにもかかわらずである。

防空識別圏の管理には金がかかる。スクランブルをかけるというのは
常にエンジンをかけておく必要がある。これによって機体の寿命は1/3
に縮まる。部品を頻繁に交換し整備しなければならない。中国はそれを
できる体制にはない。

人民解放軍は7大軍区、海軍の3艦隊で構成されている。
①瀋陽軍区②北京軍区③蘭州軍区④済南軍区⑤南京軍区
⑥広州軍区⑦成都軍区
これに①北海艦隊②東海艦隊③南海艦隊がある。

大軍区は単なる担当地域ではなく、独立国に近い。
軍区間の人の往来は大丈夫だが、工業製品はたとえ隣町
だろうが入れてならない。管轄地域の経済発展を阻害する
製品の流入することを嫌っているからだ。だから犬猿の仲
である場合がある。東海艦隊と南海艦隊は共同演習が
できないといわれている。

東海艦隊は東シナ海担当、南海艦隊は南シナ海担当である。
東海艦隊が尖閣諸島への接近が活躍と報道されて、南海艦隊
は面白くない。だから南シナ海の海底油田試掘や珊瑚礁埋め立て
は自らのプレゼンスを見せつける戦略の一つと捉えるべき。

瀋陽軍区は北朝鮮、ロシア国境を担当している。
4個集団軍、遼寧省軍区一個旅団、2個武装警察師団を管轄
している。人民解放軍最強の部隊。平時で25万~27万の兵力
を誇る。陸軍の戦闘部隊の8割はこの軍区に集中している。
1個集団あたり国家の国防予算の4%、これを4個もっている
わけだから、国防費の16%を瀋陽軍区に投入されている。
最新の戦車隊、ミサイル、最新装備の歩兵で構成された機械化
部隊である。

この軍区を最も恐れているのは北朝鮮である。
鴨緑江から平壌まで180キロである。だから北朝鮮は瀋陽軍区
の傘下に甘んじている。軍区はレアメタル利権も持っていると
言われている。北朝鮮の外交政策は中国政府より瀋陽軍区が
決めてきた。北朝鮮の核兵器開発、ミサイル開発を推進したのも
ほかならない瀋陽軍区である。北朝鮮への武器、食料支援、軍事
パレードの戦車まで貸出している。

この瀋陽軍区をシャドーバンキングを利用して習近平が掌握した。
解放軍の軍区は毎年1月に予算を一括で受け取っている。
軍区はその予算を運用して増やそうとしてサイドビジネスとして
シャドーバンキングを始めた。習近平は瀋陽軍区、軍幹部が経営
しているシャドーバンキングの生死を握ることになった。
それを切り札として軍区を掌握した。

張成沢粛清は北朝鮮の習近平への恭順を示すものだった。
張成沢は瀋陽軍区と平壌の関係を取り仕切る責任者であった。

習近平の韓国訪問は北朝鮮への切り捨てメッセージだ。
中国は足元の経済を優先して、北朝鮮を見捨てざるおえない。
中国は北朝鮮に対して3つの50万トンがある。
原油、石炭、穀物だ。しかし鉄道25%、トラック30%減少しており
物資輸送は大幅に縮小している。

北朝鮮の崩壊に続いて中国の崩壊を著者は予想している。
その際にキーになるのが軍区である。

崩壊危機は日本のプレゼンスを高めるチャンスである。

・中国から逃げ出す企業判断は正しい

・今時人件費が安い理由で中国進出はありえない。

・アメリカの金融政策に投資判断を振り回されるな。

・これからの日本は重厚長大が強いことは確実である。

・世界一の技術だけにこだわる企業に要注意。

・効果が限定的なオリンピックに期待しすぎるな。

ペテン師の国 ヤクザの国

ペテン師の国 ヤクザの帝国 国家破産へのスロープ編―政・官・財・ヤクザが日本を吸い尽くすペテン師の国 ヤクザの帝国 国家破産へのスロープ編―政・官・財・ヤクザが日本を吸い尽くす
(2005/07)
ベンジャミン フルフォード、早見 恵 他

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この頃のベンジャミン・フルフォード氏は日本社会のアンタッチャブルな部分を
よく取材していて面白かった。最近は国際的な陰謀論で話が大きすぎて真偽
がよくわからない・・・

日本の失われた10年(実際は20年)と言われたバブルに群がった政官財+
ヤクザ、崩壊後それを先延ばしにして傷口を広げたそれらの無責任体質
について鋭く追求している。

バブル崩壊後、財界エリートの不審死が相次いだ。
93年8月阪和銀行頭取射殺 94年2月富士フィルム専務刺殺 9月住友銀行
名古屋支店長射殺 97年 第一勧業銀行会長首吊り自殺 98年1月大蔵省
銀行局管理官首吊り自殺 3月大蔵省銀行局課長補佐首吊り自殺 5月
日本銀行理事首吊り自殺・・・

もともとはバブル期、担保不動産にはヤクザ絡みのものが大量にあり
居座って立ち退き料を請求する。債権者の一人として乗り込んでくる
あらゆる競売の成立を妨害したあげく買い叩くなど行った。
そして不良債権回収のために暴力団の力を借りたり、回収に暴力団
が介入する。暴力団を身近に近づけた結果、金融機関は弱みを握られる
ことになった。暴力団は企業内で誰の責任で損を出したのか、どう粉飾
したかまで把握した。そうした情報を背景に暴力団や総会屋は企業へ
侵食を続けた。

日本はゼロ金利政策を続けている。(この本が書かれた時点)
普通預金の利子0.001% 国民の預金は1500兆円 1%なら15兆円ついて
いたことになる。10年なら150兆円。低金利の目的は中小企業への
貸出を意図したのですが、そちらへは貸さず、銀行の不良債権処理の
原資に化けたとフルフォード氏は指摘している。

不良債権10億円の物件がある。
これを銀行と関係がある住宅販売会社が5億円で買取、銀行は5億円を
損失として計上。住宅販売会社は銀行のノンバンクから融資を受ける。

米国において80年代後半S&L(貯蓄貸付組合)や商業銀行が2590も
破綻して大量の不良債権が発生した。米国では6450人もの人間が
告発され、そのうちの96.5%が有罪判決を受けている。
米国は貸し手の責任が追及されている。
日本は有罪判決を受けたのは借手がほとんどで、貸手の人間は告発
すらされていない。

大蔵省は住専問題の処理を延ばしに延ばしてきた。
結局、問題化して破綻が決まった時点では時効が成立していた。
大蔵官僚は銀行へも住専にも天下っている。
大蔵官僚上級幹部6名の接待費の合計は2700万円にも及ぶ。
地検特捜部は動いたものの、結局、ノンキャリア3名と若手キャリア1名
が逮捕されただけだった。これは職務権限でお金をもらったことと、仕事
をしたことに間に因果関係を証明できなかった。

日本のメディアは政官財暴の鉄の4角形に取り込まれている。
記者クラブは中央官庁だけでなく、警察署や市役所にも記者クラブは
置かれている。記者クラブ用の広い部屋が用意され、加盟者ごとに
ブースに分かれていて、テレビや電話など必要機材が設置されている。
電話代は各社もちだが、部屋代、電気代はもちろんタダ!
おまけに専属の女子職員まで配置されているという高待遇。

中央官庁の記者会見は記者クラブのみ参加できる。
何かあれば省庁の方で資料まで用意してくれう。
だからこそ、権力の都合の悪いことは書けない。
機嫌を損ねれば記者仲間から外されて情報もとれなくなる。
読売新聞の渡辺恒雄氏、NHKの海老沢勝二会長など政治部の記者で
政治家の力を背景にして社内の権力闘争に勝ち残ったと噂されて
います。

日本のメディアは多くの特権をもらって、自分の手を縛っている。
理不尽なことがたくさんあるのを横目で見ながら。

小泉総理大臣は改革派か?とんでもない。彼のための改革であって
国民のためのものではない。国債30兆円に抑えることを公約にした。
しかし補正予算で5兆円積みました。国会で公約違反と追及された
ら、これくらいの公約違反はたいした問題じゃない。

道路公団改革で6つの会社と独立行政法人が1つできる。
独立行政法人になって政府の監視が届きにくくなる。税金を使った
公的な機関なら資料請求は拒めない。"民営化"したにもかかわらず
官僚のやりたい放題。年金でも社会保険庁がゴルフ練習場を建設
したり、公用車の購入に至るまで58年もの長期にわたって5兆6千億
円の年金を使いまくっていた。

道路公団改革は40兆円もの借金を返して、有料道路の運営を健全化
することが目的だった。高速道路のような有料道路を政府の融資で
建設し、完成後には通行料を徴収して融資を返済していく。

最終的にはドイツのアウトバーンのように無料化していくべきものだ。
ところが日本では優先順位が高くないものでも無計画に道路を作った
結果の借金だ。日本道路公団(4公団の一つ)は26兆円もの借金があり
毎年の返済額は2兆5千億円、政府から毎年2兆円融資を受けている。
日本道路公団は1兆7千億円収入がある。維持管理費を引いても
7~8千億円は残る超優良企業です。にもかかわらず建設計画を続け
借金が積みまされていく。

改革によって作られた道路公団新会社は金融市場から資金を調達で
きる。その借入金には政府の保証がつくことになっている。
つまり民営化されて政府が介入できず、損をしたら税金を投入できる
もちろんたくさんの天下り役人が送り込まれる。
さらにサービスエリアなどの関連系列会社は全て黒字。関連事業を
独占しているのだから当然です。もちろんここへも役人は天下っている。

道路建設に政府保証をつけて政治家の顔を立てる。自分たちの天下り
先も確保する。官僚の官僚による官僚のための道路公団改革だった。

小泉政権が誕生した2001年70ある特殊法人に40兆8億円もの税金が
投入されている。国家予算の半分。このうち7兆5000億は補助金や
出資金という名目で返す必要のないお金である。残りの32兆円は
財政投融資という郵便貯金や厚生年金から政府の保証で借りたもの。
特殊法人の赤字は250兆円と言われている。

小泉改革でこれら特殊法人は、より"民営化"されて独立行政法人に
なり、給与の高さも役員の数も自由に決められるようになり、天下り先
は以前の特殊法人と比べて5倍になった。まさに焼け太り。

最後に天下りをなくせば、中央政府だけで20兆円、地方自治体まで
含めると30兆円の行政支出を削減できる。
プロフィール

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