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なぜ彼らは北朝鮮のチュチェ思想に従うのか 篠原常一郎・岩田温

チュチェ思想のチュチェとは主体という意味です。
韓国に亡命した北朝鮮の幹部・黄長燁氏はチュチェ思想は
マルクス・レーニン主義や朝鮮古来のいろいろな哲学を含めて
作った思想だといっている。ただし、思想体系を作るうえ
で金一族が指導者として君臨するというのがその中心にある。
だからチュチェ思想の端緒になるような金日成の言葉がなければ
いけない。それで一生懸命探して見つけたのが主体という言葉
である。北朝鮮国内で文革に呼応する中国派や中ソ対立で北朝鮮
の親ソ派を抱き込もうソ連の動きを排除するため金日成を押し立
てて両派の排除を正当化するためにこの唯一思想体系を確立した。
始まりは権力闘争を有利に進めるための単なる理屈付けである。
社会主義国の動揺や党内の様々な派閥を淘汰して、金日成の個人
独裁、金一族の世襲体制が確立されていくなかで絶対化され、
独裁を支える思想になったのがチュチェ思想である。
社会主義と階級主義と封建主義3つを組み合わせた首領絶対主義
チュチェ思想だと黄長燁氏は言っている。思想の根本が共産主義
プラス民族主義である。自主的に生きるために自主的に金家の
教えに忠実に従う。

日本におけるチュチェ思想の広がりを考察するうえで欠かせない
のが、金日成・金正日主義研究という雑誌である。
彼らが最も注目しているのが沖縄の米軍基地問題であり、北海道
を中心とするアイヌ問題なのである。
元外交官の佐藤優氏と親しい鎌倉孝夫埼玉大学名誉教授はチュチェ
思想の基本的な考え方は人間中心にとらえるものであるのに対して
安倍首相は日本の社会、人間社会をお金や大資本を基本に考えて
いると述べている。また新里正武氏は沖縄の基地問題の解決は
朝鮮の連携が不可欠とし、朝鮮は自主をつらぬいており、中国や
ロシア、欧米諸国に従属しない立場が鮮明であると賛美している。

北朝鮮の行動原理を知るにはチュチェ思想を知らなければならない。
チュチェ思想とは人間を中心とするといい、党に従っていればいい
という話から、人民大衆は党の指導の下、領袖を中心に、組織的
思想的に結束することにより、不滅の自主的な社会政治的生命を
持つということ。個々の人々は滅びるけれども、この社会政治的
生命体は永遠に継がれていく。領袖があって、党があって、人民
がある。領袖は最高頭脳であり、党というのは人民と最高頭脳を
つなぐ血管であり、神経である。だからこれに逆らうのはいけない。
3つの社会政治的生命体は自分が死んでもこの一つの共同体は死
なない。カルト化した宗教と同じである。

共産党が政権を握った国に共通して言えるのは激しい権力抗争が
起こるということ。誰が地位を得るのかである。
それに対して北朝鮮は領導者とそれ以外が一線惹かれていて、聖
家族として戴かれる。要となるトップに一番優秀な人を集めて
権力機構を操るシステムをつくりながら全体を見渡して聖家族が
支配している。北朝鮮は三階書記室が一生懸命蓄積したデータを
聖家族へ提供して身につけてもらう。システム化されている。
三階書記室は北朝鮮で一番優秀な若手役人を集めて、お金のこと
から何から政策もスピーチも全部作る組織で、その部屋が実質的
な支配者となっている。やたら人事を動かさず、ずっと一つの
分野を深めていく、北朝鮮の外交力の強さはここにある。

北朝鮮の生活は反抗させないために仕事から帰ってきても社会
活動、社会活動に全部を組み込むのがチュチェ思想の教えである。
夜の8時から9時までは社会活動で私的時間がない。日曜日もない。
考えさせる暇を与えない。

韓国はこのチュチェ思想の信仰するチュサッパに乗っ取られた。
対する韓国の保守派は思想的な基盤が弱い。日本も特に教育界に
このチュチェ思想が浸透している。具体的に活動しているのは
チュチェ思想研究会と金日成思想を日本革命の指導理論とし
金日成を首領と呼ぶ自主の会である。この自主の会は日本民族
の自主化というスローガンを掲げているが、チュチェ思想は
前面に出していない。日朝友好、脱原発、アイヌ民族解放、
辺野古新基地反対などの運動に積極的に参加している。
中心となっているのが日教組のOB・OGであり、現職職員も
いる。チュチェ思想研究会は大学教授を重点的に組織している。
佐藤優氏は高校時代にチュチェ思想と出会い、日本社会主義
青年同盟に入って、チュチェ思想研究会理論家鎌倉孝夫氏と
出会っている。鎌倉氏は宇野弘蔵の弟子である。
面白いところでは金閣寺の住職が北朝鮮を礼讃している。
金閣寺・銀閣寺・相国寺3つの住職を兼ねている有馬頼底氏が
北朝鮮に抱き込まれている。日本のチュチェ思想研究会は北朝鮮
の宣伝扇動部と統一戦線部など対外工作機関が面倒をみている。
国際人権NGOの名乗る反差別国際運動(IMADR)北朝鮮シンパの
武者小路公秀氏が共同代表理事を務めている。北朝鮮ではできない
国連工作をチュチェ思想研究会にやらせている。だから琉球は
先住民族であるとか、国連女子差別撤廃委員会が皇位継承権が
男系だけにあるのは差別であるとの見解公表はこういったチュチェ
思想の影響を受けた極左の工作がある。北海道や沖縄の独立工作
まで行おうとしている。警戒が必要である。
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日朝正常化の密約

日朝正常化の密約(祥伝社新書)日朝正常化の密約(祥伝社新書)
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青木直人

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2002年の小泉訪朝。そこで交わされた日朝平壌宣言と国交正常化。
日朝平壌宣言では至れり尽せりの援助が明記された。
その援助総額は1兆円を超えると推定されている。
しかもアンタイドローン(ひも付きではない)ので日本企業が受注
できるわけではなく、北朝鮮側に指名権があるという。
日朝平壌宣言の詳しい内実については政治家、外務官僚が知る
のみで、ほとんど国民に知らされていない。

そして、ここにきて安倍政権はこの平壌宣言を再確認するという
ことを行い、北朝鮮もそれに応える形で日本に急接近している。
北朝鮮では政権No.2といわれた張成沢が粛清、処刑された
ことで、唯一の支援国である中国と関係が決定的に悪化、習近平
体制が北朝鮮という古い友人に見切りをつけ、韓国との関係構築
へ舵を切り始めたという背景がある。

戦略的には日本側が非常に優位な立場にある。
しかしながら、外務省が正常化に向けて前のめり、そして日本の
マスコミがあたかも拉致被害者が帰ってくるかのような報道で
かえって日本側が和解を求めているというメッセージを送って
しまっている。現に北朝鮮側は拉致に関して説明するから
平壌まで来るように言い出す始末である。
ならば、日本側の優位を決定づけるには平壌宣言の破棄を
ちらつかせるだけでいい。国交正常化を日本側が急ぐ理由
はない。

旧財閥三井グループは戦前大陸と朝鮮に大きな権益を有して
いた。現在は北朝鮮ビジネスの情報収集機関になっている
東アジア貿易研究会は三井物産が財政的な支援を行って
いる。

日本のODAは低金利の長期借款供与、円借款がありODAの
90%を占めている。日本のODAは道路、鉄道、空港、通信など
経済インフラを援助の対象案件にできる。
この日本の円借款は世界に例がないアンタイドローンという
援助スタイルなのだ。アンタイドとはヒモがついていない。
普通援助は援助する国のヒモ付きがあたりまえである。
日本のアンタイドローンはどこの国の業者であろうと、相手国
が決めることができる。北朝鮮で言えば金正恩が決定する
ことができるのだ。そうなれば、内外企業が賄賂攻勢に出る
ことは明らかである。

なぜそうなったのか?
円借款をタイドローン(ひもつき)ではなく、アンタイドローン
にしろと強要してきたのは米国である。
1979年10月の日米事務レベル経済協力会議において
日本側が外務省、通産省、米国側が国務省、財務省、商務省
エネルギー庁のトップだ。
この場で、米国側が日本からの中国向け円借款は全て
アンタイドローンにすること、しかも中国との取り決め文書にて
明記せよという強硬な内容だった。米国側は円借款を利用して
日本が中国市場を独占するのではないかという疑心暗鬼が
あった。

このアンタイドローンが北朝鮮向けでも適用されるのである。
ロシア、韓国、中国も日本のODAにたかろうとしている。
日本のODAは日本国民が納めた税金です。
それを一種の国際共有財とされてしまった。
外務省もそれを受け入れ、JICAなどの援助機関もこれに異を
唱えない。ジャパンマネーを自由に使えるキャッシュカードを
北朝鮮に渡していいのだろうか?

日本が朝鮮半島に残してきた資産は1945年8月15日時点で
総額資産はGHQの試算では891億1000万円に上る。
現在価格に換算すると16兆9300億円に相当する。
南北合計値がこの数字で、北朝鮮に残してきた資産に限ると
462億2000万円。総合卸売物価指数(190)を掛けると
8兆7800億円になる。

北朝鮮において中国の存在は圧倒的で、北朝鮮の貿易の
70%を占め、国内に流通している商品の70~80%が中国製
である。粛清された張成沢は中共の援助を媒介にしたトロイ
の木馬として排除された。

北朝鮮と中共との間には深刻な路線対立がある。
自主経済の破綻から北朝鮮は中国の支援と引き換えに
金日成以来の極左的な政策の修正が求められている。
労働党内部で近年、中国との援助や貿易に関与する
政府高官の中に、急速に富裕化する階層が出現し
彼らは中国と利害を共にする政治集団となりつつあった。
先軍政治路線を掲げる金正恩との対決は避けられなかった。

先軍政治体制とは戦時共産主義体制のことである。
特徴は党でも政府でもなく、軍が内政・外交に絶対的な影響力
を持っていることだ。北朝鮮は先軍政治を合法化し、憲法にも
軍首脳で構成される国防委員会に最高権限を付与している。
中国も文化大革命時代、林彪国防相率いる人民解放軍と
毛沢東を両輪とする軍事管理体制だった。

張成沢は開放経済と対外緊張緩和という内外路線を進め
中国はそれをバックアップしていた。緊張緩和すれば外資
が安心して北朝鮮に投資できるからだ。
また中国は投資に不可欠な関連法整備を求めた。
これは張とつながる経済官僚が力を持ち、軍や党の既成の
経済権利が侵食されるようなものだった。

2009年温家宝首相は北朝鮮を訪問した。環日本海開発戦略
において東北三省の対外開放、それにともない日本海進出
ルート(長春から羅津そして新潟へのルート)を確保するため、
北朝鮮の港湾設備と鉄道の改修を援助する代わりに、見返り
として資源の開発権を提供させる目的だった。

北朝鮮は援助の代償として港、鉱山、安価な労働力を提供
することになった。具体的には羅津港、鉱山では茂山鉄鉱山
になる。

2009年金正日は突然デノミ政策を実行した。
1世帯あたり10万ウォンを超える資産を没収した。
対中ビジネスを通じて成長してきた新富裕層に対する恫喝
と牽制だった。

中国が北朝鮮に求めるものは安定のみだ。
北朝鮮は中国に経済的に従属しつつ、政治的には自主独立
を保つことは果たして可能なのか。こうした二律背反は金日成
ならなんとか出来た。金正日もかろうじて乗り切った。
金正恩は政治的キャリアがない31歳の青年である。

北朝鮮は路線転換がなぜできないのか。
1.軍が絶対的パワーを握って離さない。
2.経済テクノクラートがいない。
3.外交的孤立脱却のシナリオが見えない。
なにより最高指導者が路線変更に消極的だということ。

結局のところ北朝鮮において政権交代があるとしたら
軍を中心とした政権内部だ。中国においては公安を握る
華国鋒と人民解放軍を握る葉剣英が手を握り、文革を
主導した江青ら4人組を逮捕した北京政変のような形に
なるのではないだろうかと著者は分析している。

著者は中国分析には定評のある方ですが、今回も北朝鮮
に関して非常に鋭い分析をしている。様々な思惑が錯綜
する北朝鮮において、日本がどのようなアプローチをする
のか。現在のところは日本は北朝鮮側にもそれに絡む
周辺国にも食われるような、極めて情けない状況だ。
特に北朝鮮との関係に関して主導する外務省の対応
はこの著書の通りだとしたら噴飯ものだ。
国民の見えないところでとんでもないことが進められて
いたというのが、小泉訪朝の負の部分なのではない
だろうか。そこにスポットを当てたところにこの著書の
価値があると思います。
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