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日本人はなぜ大災害を受け止めることができるのか 大石久和

1.日本人と日本人以外とを隔てるもの

国土学の視点を得て、世界の人々がどのようなものを国土の上につくってきたのか興味を持って調べて
みると、世界のどの民族も最大の力を傾注してつくったけれども、日本人が作らなかったものは、都市城塞
と国土を従横断する長城です。彼らは巨大で強固な城壁で囲われなければ安全に暮らせないという経験
を繰り返してきた。その経験とは殲滅の意志を持って突然襲い来る大量虐殺をともなう敵の攻撃だった。
我々日本人はその経験が皆無で、その代わり地震、津波、火山噴火、台風、洪水、風災といったもので
多くなくなるという経験を繰り返していいる。

そういうことで、西欧においても中国においても革命を成立させたり、理念を貫徹するためには、大量死が
あってもやむを得ないと考えるのが世界なのです。

日本には大量殺人をともなう宗教間の争いがなかった。

先進国で平和な時代が長く続いたのは日本だけ。

それまでの時代にはなかった統治統制の3つの思想と手段を発明したのがジンギスカンである。
第一は大量報復思想、第二は信仰の自由、第三は世界の発券(グローバリズム)

日本人の多くが死んだのが自然災害だった。自然やお天道様を恨んでも仕方がないです。
誰かを恨もうにも恨むことができない死でした。私たちはこの死を諦めとともに受け入れ
死とは受け入れざるおえないものだとする民族に育った。
反対に大量虐殺にさらされた中国、西欧は復讐の機会を伺い、必ず相手を探して殺戮せよ
という考えが基本にある。

・日本国土の10の特徴

①細長い国土形状

国土が細長く極めて使いにくい。

②四つの島に分かれている

国土を一体化するには大変に困難な事業になる。
ドイツやフランスは円形に近い塊になっている。

③脊梁山脈で南北が分断されている

太平洋側と日本海側の両地域は距離的には近いのですが、一体的に使えない。

④河川で細かく分断されている

平野そのものが国土面積に対しての比率が極めて小さい。
低地で13%、台地で12%合わせて25%程度です。
日本は国土面積38万平方キロに対して可住地は10万平方キロしかない。
ドイツは36万平方キロに対して24万平方キロ、イギリスは24万平方キロに対して21万平方キロである。

大都市全てが大河川の河口部にあるので大きな洪水の可能性がある。
大きな河川で109に分断され、小さな河川の分断を合わせると2831もの地域に細かく分かれている。

⑤地質が複雑で不安定である。

国土面積の70%を占める山岳地域の地質が風化が進んで不安定になっている。
ヨーロッパや北アメリカの地質は一つ一つのユニットが大きく分布しているのに対し、日本は
地質が複雑に細分化されているうえ、強い地殻変動の影響を受けて、層や割れ目が極めて多い。

⑥都市が軟弱基盤にある

河川が押し出してきた土砂で平野が形成され、そこに大都市が存在している。
ヨーロッパの大地は数百万年前は氷河で覆われ、この氷河の後退にともなって軟弱な土砂が
削り取られていきました。そのためパリなどは氷河が削ったあとの岩の上に存在している。

⑦国土の全域で大地震の可能性がある

マグネチュード4以上の地震の10%が日本で発生。
マグネチュード6以上の大地震は20%日本で発生している。
国土全域で地震を想定しなければならないし、軟弱地盤なので極めて厳しい条件に置かれている。

⑧豪雨が多い

台風の通り道である。
地球平均で年間800ミリの雨が、日本では1400~1600ミリになり、多いところでは4000ミリ。
この雨が急流河川によって一気に海に流れ出す。梅雨期と台風期に集中しており
水資源が脆弱。ニューヨーク市民が持っている水資源量に対して10分の1しかない。

⑨台風の通り道である。

⑩国土の60%が積雪寒冷地域である。

・物事の単位は国である。国のまとまりが最終のまとまりです。

・日本は天為の国である。天が何か行為を起こす天為によって私たちの環境が大きく変わって
 しまう。そのことが人間の存在は他の生物の存在と所詮同程度の存在だという認識を我々に
 与えることになった。

・人が何もしなくても変わることがから、我々は変わることを嫌がっていたのでは生きていけない。
 自然が勝手に変えてしまうのですから、変わることを受け入れざるおえないという心情を持つ国民
 になりました。変わってしまうから、変わることを喜ぶ文化が育った。

・ヨーロッパは人為の国である。人が働きかけることによって、都市の形態はできあがっていて
 大地震が街を破壊するということがないので、その形は人が新たに何かをしない限り、そのまま維持
 継続される。人が何かをすることによって初めて物事が進むわけですから、全ての出発点は人です。
 これが、万物を支配するために神は最後に人を創造し、この地上に遣わしたという考え方を受け入れる
 ことができる背景になった。人は特別な存在と規定され、すべての動物は人間によって支配され、全ての
 生き物も地物も人間によってコントロールされる。

2.日本人はなぜ装置インフラを軽視するのか。日本人になじまないインフラと公の概念

ヨーロッパや中国の人々が何でどのように国土に働きかけてきたのかということを調べていくと日本と
大きな違いがある。

大勢の人々がまとまって安全に暮らすことができるから、そこで文明が生まれる。
法が生まれ、宗教が生まれ、文字が生まれたのはシュメール時代ですが、それは文明の誕生です。
そのようなことが可能になったのは堅固な城壁に囲まれていることが必然の条件だった。

・小麦と米の違いが文明の違いを生んだ

古代ローマの小麦の播種量はイタリア半島で4倍の収穫だった。中世初期でも2~3倍。多くて5~6倍
だった。ところがシュメールでは80倍もの収穫をあげることができた。その後、収穫量がさがっても20倍
だった。ヨーロッパでは16~17世紀でも6~7倍、10倍を越えるようになったのは19世紀になってから
であり、現在の倍率がヨーロッパで15~16倍、アメリカで20~25倍ぐらいになっている。
つまりシュメール文明は余剰生産能力が高く、そこから文明が発生した。

対して日本のコメを挙げると、奈良時代で7倍、下級田の収量であり、上級田だと25倍あった。現在は140倍。
つまり米は小麦の2倍の収穫量があった。

つまり小麦の生産力が地域の豊かさを規定したヨーロッパと、コメの収穫量で豊かさを切り開いてきた我々
の違いが文明の違いを生んだ。沖積平野がないために米が作れず、生産性の低い麦を主食とする欧州は
しばしば食糧不足が起こった。また一つの大きな大陸に多くの民族がいたために異邦人と衝突が何度も
発生した。そうしたことから戦争死の歴史をもたらし、私たちにはそれがもたらされなかった。

絶え間なく繰り返される悲劇的な大量虐殺の経験が、安全にまとまって暮らすために装置インフラとして
都市城壁などが絶対不可欠であるという認識につながっていき、それを皆の労働と皆のお金で皆のため
に建設することが始まった。

この場合のインフラは社会の基礎となる下部構造、インフラストラクチャーであり、道路、鉄道、上下水道
だけでなく、法律や経済、制度的な社会基礎構造まで含んでいる。

城壁という狭いエリアで多くの人が暮らしていくには皆が守るルールが必要になる。
個人を超える公共としての制度インフラをしっかり制定して守らせるための公安や司法の存在が人々の
生活を守るという仕組みが生まれた。

制度インフラと装置インフラが両方相まって、人々の暮らしを支え、向上させていった。

城壁内に住むために公共の概念が発明され、コミュニティを形成するために市民の概念に成長して
いった。平時はトラブルを避けるために個人の権利を制限し、有事には勝利のために全てに優先される
という社会になった。

中国では遊牧民族、異国人が殺戮や殲滅、強奪の意志を持って都市に攻めてくる、そういった前提として
暮らしていかなければならなかったが、日本にはそれがなかった。
このことは私たちの安全保障の概念、契約の概念、思考の形式に大きな影響を与えている。

公共事業は単年度の言葉である。お金の流れフローの言葉であり、今年いくら道路事業に使うのか、河川改修
にいくら使うのかということである。道路は出発点である都市と終着点である都市との間がネットワークとして
きっちりつながることではっきりと効用を発揮する。道路はネットワークを形成して初めて人々の役に立つ資本
公共資産になる。出来上がった道路のネットワークがうまく効用を発揮されたかで評価されるべき。
公共事業の成果はフローではなくストックで評価されるべきである。

国土への働きかけをどう考えるのか、国土経営がどの程度まで進んだのかということをやや俯瞰的に見る言葉
として、国土学という言い方を著者は提唱している。

3.日本人はなぜ合理的になれないのか。歴史が生み出す必然的な合理性と非合理性

日本人を特徴づけているものに、小集落で育ってきた民族であるということが結構大きいのではないかと
考えられる。山間地域に点在する小さな盆地と河川の河口部に拓けた小さな三角州などに集落が存在し
小単位でまとまって集落をつくって暮らしてきたというのが日本人の長いあいだの暮らし方でした。

小集落に閉じ込められるような暮らしを続けた結果、我が国にはなかなか広域的な強い権力は生まれなかった。
農耕をするためには、土地を平坦にし、水を引いたり、排水したりするための感慨施設が必要ですが、小規模農地
では、仲間同士で力を合わせればできる。

広大な土地を灌漑したりするためには、大きな権力が大量の労働力を動員しなければなりません。
小さな面積の農地が散在していたことが、わが国では大権力というものを必要としなかった。

集落単位、顔が見える範囲の人々の集まりで行える程度の工事や作業で、できるだけの事業が行われてきた
のが長い歴史でした。大規模な事業が行われるようになったのは、戦国時代中期以降、江戸初期からで、戦闘
に向けられていたエネルギーが開発に向けられ、戦国時代に発展した技術力、組織力を用いて、大河川の改修
が行われた。

小規模集落ではコミュニティをまとめる手法として厳しいルールや強い権力は必要とされなかった。

顔見知りの集団ではお互いが気まずい思いをしないように暮らすことが何にもまして要求されることでした。
顔見知りの範囲の和が最優先される独特の考え方。時間をかけてみんなが参加する話し合いによって
物事を決め、決めたことを約束として大切にしてきた。相手との間合いを大切にする考え方を長いあいだ民族
の経験として形成してきた。

・競争という言葉は明治までなかった。
 小集落のなかで、とにかく争いや諍いが生じないようにすることを何より大切にしてきた日本人だった。

・顔見知りの仲間と頑張るのが大好きな日本人。
 切り離された一人ひとりではあまり強くないのですが、顔見知りの集団で組んだときに最大の力を発揮する。
 顔見知りの皆のために役立ちたいと考える性癖は宗教思想レベルといっていい。

・小選挙区制は日本人の感性に合わない。
 我々は彼らに負けたまでは許容できるが、彼に負けたというのは極端に嫌いです。
 一人では戦えないからですし、我々は厳しい対峙に耐えられないからです。
 中選挙区では自分が次点で落選してもあの人に負けたということにはなかなかならない。
 またイギリスなどで行われている小選挙区制度に備わっている党が選挙を管理して党が
 候補者を選び切るといったこともともなわないまま、我が国に形だけ小選挙区制度をいれた
 のも問題。

 小選挙区制は中選挙区が持っていた選挙区民による政治家の新陳代謝という
 機能を喪失させた。意欲も能力もある若者が党の公認を得られないため、無所属で出馬
 して着々と力をつけて、当選を重ねてきた先輩に挑戦して、勝利をつかみ、回を重ねて
 力をつけていった。

・小選挙区は能力、識見、経験、人格などの点において、誰と比べてどのように優れているから候補者として
 選ばれたのか選挙民がほとんどわからないまま、ほとんど信任投票のようになっている。

・強い権力を嫌う思考癖
 日本人は強い指導力を必要とはしませんでした。強い権力を求めようとも思いませんでした。

・外に対しての憧れと客人への寛容さ。
 日本は最近まで顔見知り範囲の小集落での生活が続いた。
 集落を超えての交流はあまり行われず、毎日が顔見知り同士としか会うこともない生活でしたから、
 この集落の外に対する憧れや好奇心が極めて強かった。これが外部から来る客人を大切にする
 文化にもつながっている。

・物見遊山が大好きな日本人。出かけても篭るのではなく、札所巡りのように次から次へと渡っていく
 旅行の仕方が好き。

・人為を隠しきる庭園に美しさを感じる日本人。

・一神教と多神教の世界の違い。

・日本は建国神話や建国精神を必要としなかった。

・合理性のある思考にふさわしい言語は。
 曖昧な解釈が混じることのない厳格で厳密な言語です。
 戦いに備えて兵を一つにまとめ、軍団を構成するためには命令を貫徹できる言語が必要です。
 西欧人や中国人はは明確な意思伝達というものを最優先に言語を発達させてきたし、それを
 補強するために身振り手振りや表情をつくってきた。

・責任を取れない言葉が日本の政治を動かしている。

・主体を放棄した受身を多用する日本。
 この場所での喫煙は禁止されています。当局によって禁止されている。
 主体がない言葉で日本は埋め尽くされている。

○日本人の思考癖を解読する

・死を見つめ、合理性を獲得してきた人々。

人間があらん限りの知恵を絞って考え抜くのは、もう二度と再び、愛するものの死や
大量死を生じないようにするためには、何を準備すればよいのかということを必死で
研究するときだ。勝利した場合でも勝因を分析するのでしょうが、敗北したときの
敗北理由を考えるというのは、人間が最も知恵の限りを尽くして、考えてきた事柄
だった。

戦うためには情報収集と、それに基づく作戦の立案がなければなりません。
情報収集にも、敗北した理由に集めた情報に不足はなかったのか、その情報は正しかった
のか、相手の陽動作戦に乗ってしまったのではないか、十分確かめなかったのではないか
などがある。作戦立案についても、起こりうる全ての事態をきちんと想定したのか、起こり得る
想定に隙間はなかったのか、つまり、起こりえないと勝手読みして、起こり得るかもしれない想定
を外していることはないのか、想定の読み違いがあった場合、それをカバーする方法を
ちゃんと考えたのか。

・日本人にとって死は受け入れざるおえないもの。
 日本人は自然災害で大量死を経験しているので、震災をもたらす大地は憎いけれども、恵みを
 もたらす大地を恨むわけにはいかない。だから死は受け入れざるおえないもの。
 反対に、ヨーロッパなどは大量死の原因は紛争による虐殺であったことから、死そのものが
 受け入れられないもの、死は恨み抜くこと、復讐の誓いを立てることになる。

・西欧人と中国人の進化思想と日本人の循環思想。
 西欧人、中国人の積み重ねる歴史と日本人の流れる歴史と言い換えることができる。
 合理的な思考による紛争の総括と大義名分と死を悼んであげるしかないことの繰り返し。
 ただ歴史は流れ去るものと見るのは日本人だけである。
 西欧や中国は時間や歴史は積み重なっていくものとして捉えている。
 このことから、彼らは下に上が積み重なっていくという進化思想を考えつき、克服思想や
 階級闘争思想を生み出した。日本人は水田を中心に暮らしてきたので、水の循環を
 常に考えてきた。矢のように突き進む進化思想ではなく、くるくる回っていくというのが
 日本人の思考の特徴である。

・日本人の思考の特徴は暫定性と臨機性。
 長期的、網羅的に物事を考えることがきわめて苦手である。
 日本人は自然が相手で起こる災害によって死を迎えてきましたから、あらかじめきちんと
 対策を考えることは不可能だった。したがって、事が起こってからその対応を考えるしかない
 のです。その場で臨んで考えるという思考の臨機性というものが生まれ、その思考形式を獲得してきた。

地震一つとっても同じことは起こらない。だから臨機的・暫定的に処理するという考え方を生んで
。だから、当座を乗り切ることを最優先にして、戦争でもそうだが、当座の勝負に
こだわって、全体の利益が見えない。あとあとの利害を考えない、そのことが後々にどういう影響
を与えるかについてもアセスメントも十分しないまま、当座の勝負にこだわる傾向がある。

・目の前のことを最優先して、大局を見失う。

・問題先送りによって生まれるひずみ。
 暫定的なものの決め方を指向すると、準備が大掛かりであったり、周到でなければならないもの
 を忌避する傾向が出てくる。とりあえずやれることがあるならそれを先にやればいいということになる。

・日本人の暫定性、臨機性という特徴は、思考に長期性、網羅性、俯瞰性を欠くということです。
 安全保障という極めて長期的で緻密な計画を立てなければならないものに欠陥思考がもろにでる。

・日本人に足りない思考の網羅性。
 戦いに備えるためには、起こり得るありとあらゆることを考えておかなければならない。
 根拠なき楽観主義では、思考の網の中に穴があれば、その穴を突いて敵が想定外の攻撃を
 仕掛けてきて、とてつもない敗北をくらってしまう。

・全体思考の欠如を示す日本人の一般競争入札。
 随意契約を避けて本末転倒になっている。

・日本人は強制的な規格を嫌う。

・日本人が最大限パワーを発揮するときは、顔見知り集団に忠節を尽くすときです。
 一人一人の責任の範囲を明確にするとたじろいでしまうのに、集団に責任を持たせ、何人かの
 責任だとすることになると、この集団の中で機能的な助け合いが起こり、集団として見事な責任
 を発揮する。

・一人一人の個人のちからは強くない。

・悪いことについて考えることを避ける性癖。

・日本人に強烈に作用する鎮魂思想。

・変化を尊ぶ文化を大切にする。
 自然災害で都市景観も風景も何もかも一変する経験を何度もしているので
 変化すること、新しくなることを厭わない。

・その場円満主義になっていないか意識すること。

・情緒主義に陥りやすいことを自覚しよう。

・日本人は時代の変わり目に過去を否定してきた。

・原因追求より責任追及を優先する。

・人間以外のものを大切にする心に誇りを持つ。

・これからは他社の存在を認める文化が重要になる。

・日本人にはアイデンティティという概念はない。
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日本共産党と中韓 筆坂秀世

10代の自分は何のために生まれてきたのか?自分など社会にとって不要な人間ではないのか?
と自分の存在意義を見つけることができず悶々としていた。そんなときに出会ったのが社会主義革命
を目指す日本共産党だった。

ブルジョア階級は彼ら自身の墓掘り人を生産する。彼らの没落とプロレタリアの勝利は不可避である。
ブルジョア階級=資本家階級 プロレタリア階級=賃金労働者階級

資本主義から社会主義への発展は世界史的必然。

マルクス主義(社会主義の思想体系。生産力と生産関係の矛盾から社会主義へと移行するのは必然
          の結果であるとし、その変革は労働者階級によって実現される。)

唯物史観(世界の歴史は経済的発達により進化するという歴史観)

共産党へ入党することは、歴史の必然的発展に寄与するというのだから、そこに強烈な使命感が
付与されるのは当然の帰結だった。

共産党の幹部として活動していく中で、共産主義は所詮ユートピア思想に過ぎないということを思い知った。
現実の共産・社会主義体制は人類開放どころか、専制主義的一党独裁体制の人類抑圧社会でしかなかった。

日本共産党を軸に近現代史を紐解いていくことがこの本のコンセプトである。

日本共産党の党規約 第二条では党は科学的社会主義を理論的な基礎とする。
党員の義務として党大会、中央委員会の決定をすみやかに読了し、党の綱領路線と科学的社会主義の理論
学習につとめる。(第五条)つまり党大会や中央委員会の決定は党員が議論によって練り上げるものではなく
学ぶ対象なのである。

日本共産党の歴史観は徹頭徹尾、日本共産党の役割を正当化する歴史観が出来上がっている。
第二次大戦は日独伊侵略ブロックの敗北、ソ連を中心とする反ファシスト連合と世界民主勢力の勝利。(61年綱領)
反ファシズム、軍国主義(枢軸国)と反ファッショ(連合国)の戦争と位置づけている。
相互不可侵を謳った日ソ中立条約を破って参戦し、ヤルタ密約に基づいて千島列島や歯舞諸島、色丹島を強奪
したソ連を反ファシスト連合と世界の民主勢力の先頭と位置づけている。

日本共産党は極東軍事裁判(東京裁判)は正しい裁判と位置づけてきた。
これこそが戦後の日本共産党の原点であるからだ。
またポツダム宣言も日本共産党の原点である。
軍国主義の除去と民主主義の確立を基本的な内容としたもので、日本国民の進むべき道は、平和で民主的な
日本の実現にこそあることを示した。これは、党が不屈に掲げてきた方針が基本的に正しかったことを証明した
ものであった。とポツダム宣言を党の正当性の保証文書として扱っている。

戦前の日本共産党はソ連共産党が指導するコミンテルン(共産主義インターナショナル)の日本支部であった。
戦前の党の綱領的文書はコミンテルンで作成されたものであり、ソ連の意向が色濃く反映されていた。
コミンテルンは帝国主義戦争を内乱に転化し、共産革命を成功させることが最終目標だった。(32年テーゼ)

日本共産党が言っていることは日本はとんでもなく悪い国だった。いまもそれを反省していない悪い国だと
ということだ。

・戦前の日本共産党の最大の目標は中国革命の成功とソ連擁護。

・コミンテルンは1919年3月に創立。1920年に共産主義インターナショナルへの加入条件を採択。
 その条件として社会愛国主義者、社会平和主義者と絶対的に絶縁することを求め、共産主義
 インターナショナルに所属する党は、民主主義的中央集権制の原則のもとづいて建設されなければ
 ならない。現在のような激しい内乱の時期には、党がもっとも中央集権的に組織され、党内に軍隊的
 規律に近い鉄の規律が行われ、党中央が広範な全権を持ち、全党員の信頼を得た、権能である。
 権威ある機関である場合にだけ、共産党は自分の責務を果たすことができるだろう。

・共産主義インターナショナルに所属することを希望する全ての党は、反革命勢力にたいする戦いで
 各ソビエト共和国を献身的に支持する義務がある。

・1924年レーニン死去後、世界革命の流れが退潮するなかでスターリンが一国社会主義論を打ち出した
 ため、コミンテルンはいっそう社会主義ソ連を守る組織に変貌していった。

・戦前の日本共産党の代表的な綱領的文書として27年テーゼと前述した32年テーゼがあるが、これらには
 ソ連共産党の意向が色濃く反映されている。

・ソ連はソ連体制を維持するために中国での革命を渇望していた。こういう状況でつくられたのが、日本共産党
 の役割を示す27年テーゼである。共産党は、今日国際的革命家組織に課せられている緊切焦眉の義務を
 全力をあげて果たさねばならぬ。すなわち党は、中国における日本の干渉と、ソビエト連邦に対する日本の
 戦争準備とにたいして闘争する義務を果たさねばならぬ。

・日本は中国より高度に発達した資本主義国だから、日本での革命が先だと考えていたが、それは間違って
 いた。資本主義の発達の程度によって計量はできない。中国では革命闘争が進んでいることもあるので
 日本共産党はまず中国革命の成功に貢献せよ。また社会主義ソ連を守るために闘争せよということである。
 (27年テーゼ日本共産党報告書より)

・32年テーゼでもソ連擁護や中国革命のために日本共産党は戦えという指示が露骨に示されている。

・ゾルゲの諜報機関は日本共産党とは一切連絡をとることがなかった。
 理由は地下活動に潜っている日本共産党と連絡をとっても大した情報は得られない。
 当時の日本共産党は、官憲側のスパイが容易に入り込める組織で、1935年には最後の中央委員で
 あった袴田里見が逮捕され、中央委員会そのものの機能が壊滅させられていたからだ。

・アメリカの移民法が太平洋戦争の遠因になった。
 1924年にアメリカで移民法が成立した。排日移民法と呼ばれるほどの法律であり、日本は大きな移民先
 を失ったために、その代替として満洲を重視しなくてはならなくなった。それが後の満州事変につながって
 いく。

・戦前の日本共産党の綱領である27年テーゼや32年テーゼでも米英仏も日本と同様の帝国主義国であり
 帝国主義戦争を行っていたと規定していた。ところが、日本が敗北した途端に連合国側は、自由と民主
 主義、反ファッショ陣営として美化された。

・領土拡張と日露戦争敗北の報復というのがソ連の対日参戦の本当の理由なのだ。反ファッショなどとは
 いえない。

○日本共産党と中国

・中国共産党は毛沢東の思い通りにならない日本共産党に対して宮本修正主義集団と当時の宮本顕治
 書記長を批判し、日本人民の前には4つの敵、アメリカ帝国主義、日本の反動勢力(佐藤内閣)、現代
 修正主義(ソ連修正主義)、そして日共・宮本修正主義がいるとして、この打倒を呼びかけた。

・1966年3月の宮本顕治書記長の訪中で劉少奇、トウ小平との会談において、中国側が革命運動の唯一
 の道として、武装闘争を絶対化する態度をとったのに対して、日本共産党はそれを否定した。

・中国共産党と毛沢東が暴力革命唯一論と人民戦争万能論を、日本共産党や日本の革命運動へ押し付け
 ようとしたのは、文化大革命が行われた昭和40年代が初めてではなかった。

・アメリカの占領軍が存在する場合でさえも、平和的な方法によって日本が直接社会主義に移行することが
 可能である。野坂参三 平和革命論

・野坂参三の平和革命論を反マルクス主義的、反社会主義的理論の日本版、日本大衆を欺く理論だとして
 コミンフォルム(共産党・労働者党情報局、実質はスターリンが世界各国の共産党や労働党に支配的影響力
 を行使、その運動に介入する機関)が批判した。

・コミンフォルムは武装闘争路線を日本共産党へ押し付けるのが目的だった。

・農村から都市を包囲することを基本とする人民戦争方式を訴えた。いわゆる劉少奇テーゼである。
 もう一つ武力闘争路線を訴える51年綱領がある。要するに日本共産党はソ連共産党やスターリン
 中国革命に成功した毛沢東の意向に簡単に屈し言いなりになっていた。

・こうした武装革命方針が、共産党は怖い、暴力革命を目指している国民に思われ、1949年の総選挙
 では8割近くの得票減だった。

・日本共産党は武力闘争路線に反対し、中国共産党と対立した。
 中国共産党は日本の新左翼と日本共産党と敵対し、左翼と結びつきを強めた。

・全学連指導部=ブント(共産主義者同盟)→革命的共産主義同盟→革マル、中核派に分裂。

・共産主義者が共産党に反対する者をトロツキストと呼んだ。共産党は新左翼をトロツキストと呼んだ。

・社会党・黒田寿男 日中友好協会正統本部 毛沢東追従派。
 日中友好協会正統本部→京浜安保共闘→連合赤軍。毛沢東路線心酔派。

・文化大革命 権力闘争の一環であり、毛沢東の神格化による無条件服従と専制支配体制をつくるもの。

・社会党は毛沢東派が称える三派全学連や革マル系全学連などの過激派集団を同盟軍と位置づけ
 彼らの無法を助長する役割を果たした。

・文革開始時に先破後立というスローガンが掲げられ、文革で劉少奇派を党内から一掃することが先破
 で、この目的を達成するため紅衛兵の行き過ぎや混乱はやむ得ないという考え。

・1998年日本共産党と中国共産党は毛沢東干渉以来、断絶していた関係を正常化した。
 
○韓国と日本共産党

・朴正熙政権時代はまともな国として認めていなかった。
 朴政権は反共産主義、親米政策、腐敗と旧悪の一掃、経済再建を掲げ、クーデター直後には
 反共法を制定した。

・朝鮮戦争は当初アメリカが仕掛けたものと規定していた。

○東京裁判と日本共産党

・アメリカは日本精神を破壊し、骨抜きにする道を選んだ。
 日本人に戦争の贖罪意識を持たせるために日本には民主主義はなく、道徳的にも誤った戦争を
 行って敗北したということを徹底的に叩き込んだ。つまり戦争に負けただけではなく、価値観でも
 敗北したと思わせることがアメリカにとって何より重要だった。






 






こうして突破できる日本経済 宮崎正弘 渡邉哲也

アジアインフラ投資銀行の狙い

①中国が目指すアジアインフラ投資銀行なるものは、国際金融機関ではなく中国共産党の
  世界戦略に基づく政治工作機関である。

②あわよくば米国主導のブレトンウッズ体制(世界銀行・IMF体制)に代わる中国主導の金融
 秩序の構築をという中国の野心。ドル基軸体制に真っ向から挑戦し、人民元基軸体制を
 アジアに構築しようという壮大な戦略に基づく大風呂敷の構想である。

③この銀行を設立することは中国経済のひずみを解決するための出口でもある。
  諸外国へのプロジェクト融資を持ちかけることによって中国国内の余剰生産のツケを一掃
  することだ。鉄鋼、セメント、建材、石油副産物などの国内在庫を海外へ吐き出す機関ともなり
  うるし、失業対策に悩む中国が諸外国にプロジェクトを持ちかけ、それをファイナンスすること
 によって大量の中国人失業者を海外へ送り出せる。

④日米が主導する中国抜きのTPPと中国包囲網ともいえる日本の価値観外交そして、先進国
  が主導するインフラ投資の国際基準策定による実質的中国排除の動きへの牽制と見ること
  もできる。実際に中国はTPPni対抗するかたちでRCEP(東アジア地域包括的経済提携)という
 自由貿易圏構想の成立を模索しており、その拡大版としてTPPを巻き込んだFTAAP(アジア
 太平洋自由貿易圏)という構想をぶちあげている。アジアや国際社会から孤立を恐れた
 中国の対抗策であり、それを実現する買収手段でもある。

・中国は2014年末3兆4830億ドルの外貨準備があるとされているが、CIA系シンクタンクの調査
 によると、不正に外国へ持ち出された外貨は3兆7800億ドル。つまり外貨準備は底をついている。
 事実、米国債の保有残高を減らす。国家ファンドが保有していた日本株を売り払うなどしている。

・ウォール街の論理はグローバリズムであり、そのルールを決めているのは英国シティである。

AIIBへの英国の参加表明の理由

①英国にとってAIIBに加盟を表明しないことには情報が得られない。

②加盟国となれば、AIIBに規則や条件、定款の作成に英国が注文、条件をつけられる。
  シティのルールを尊重してくれるのかどうか?外国企業も応札が可能なのかどうか。

③ウィンブルドン方式。中国は2年前からシティにおける人民元取引を認め、同時に中国国債も
  取引されている。同じくフランクフルト市場でも行われている。

AIIBの致命的欠陥

①人民元拡大を狙う資本金がドル建てであること。

②資金振込にも至っておらず、拙速な開業でも16年、その頃に外貨準備が潤沢のままであると
  考えにくい。

③ロシアの思惑が複雑で読めない。ロシアの不満は中国主導の拒否権である。

1.アベノミクス効果が徐々に見え始めた日本経済

・日本の株価に影響を与えているのは黒田バズーカとGPIF、加えて原油安と円安です。

・GPIFは年金を運用する機関です。14年10月に方針変更で年金運用株式の比率を12%から
 25%へ引き上げられた。

・株式運用する分だけ国際買取額が減る。その分の国債をGPIFから日銀が買い取る。
 事実上の財政ファイナンスであり、政府が発行した国債を中央銀行が買い取る。
 財政ファイナンスは再現のない財政拡大が起こる可能性があるが、日本の場合は
 80%が国内消化で、全て円建てですから、それほど大きな問題はない。

・日銀は事実上の政府の子会社ですから、日銀が国債を買い取る場合は政府に戻って
 きます。政府が利子を払って日銀が利子を受け取る形になるが、利子は日銀から政府
 に戻ってきて、プラスマイナスはでないようになる。

・基礎的な人口構造と生活スタイルの大きな変化が日本国内で起こっている。
 労働者数が減って引退する人が増えると、家でゆっくりご飯を食べる人が増える。
 外へ出る機会がどんどん減っていく。それに合わせて街の構造を変えていかなければ
 ならない。

・国内で働いている日本人が景気が良くなったと実感できる社会をつくるのが、やはり国家
 としては一番正しい姿である。

・社会構造の変化の一つが核家族化だ。かつては三世代合計で家計を考えればよかったが、
 世帯が核家族化で個別になると、家計というものが変わってくる。世代間で格差感が出てくる。
 高齢世代は資産を持っているが、現役世代は賃金が安くなって苦しくなっている。

・海外の中央銀行は全員金融のプロのバンカーだけど、日本は役人がやっている。実務畑を
 知っている人が少ない。

・金融と金融工学というのは完全に理系の学問だ。

2.国土強靭化と国防産業強化を本気でやれば日本は成長できる

・シャッター通りの再開発は日本国憲法の財産権の問題で、これを解消しないといけない。
 公共の福祉と個人の権利が非常にアンバランスになっている。

・自民党憲法改正案の29条第三項には、私有財産は、正当な補償の下、公共のために
 用いることができる。という項目が追加された。権利義務関係と公共の福祉のアンバランス
 は解消を狙ったものだ。

・東京一極集中解消のために国家手動で人の移動を起こす。
 地方再生、地方創生のためには企業の本社を地方へ移してもらう。
 固定資産税の税率を変える。23区を高くして、地方へ行くほど安くする。
 そういう施策を中央主導でやる。

・自民党の地方分権案は当道府県を廃止して、道州議会にして、市町村は議会をなくして
 完全なサービサーにする。住民サービスのみを行う組織にする。現在の県の役人は国の
 出先機関の意識で国に従って働いている。国の役人たちがテリトリー別に権限を発揮しな
 がら県の役人を使っている状態です。国→県→市町村の三段階システムを二段階にして
 いく。広いエリアで地方再生を設計する。

・民主党案は地方に自治権を与えて権限を全て委譲するものだ。これは分裂国家にしろという
 極論である。

・ロスのない経済システムをつくってきたのが日本である。その効率性が東日本大震災の際に
物資不足を招いた。サプライチェーンの二重化、三重化が必要になる。一つのカンバンではなく
 3つのカンバンでやる。ある地域のチェーンが切れても、別の地域のチェーンを利用して生産を
 続ける。

・かつて企業はBtoCでしたが、今はBtoG(政府)に変わっている。BtoGに必要なキーパーツは
 日本でしかつくれない。このキーパーツにどうやって付加価値をつけて高く売り込んでいくか
 というのがポイントになる。

・原発停止で高止まりしている電気料金が製造業の国内回帰を阻む。

・日本には1700兆円の個人の金融資産がある。そのうち日銀買取を除くと、400兆円ぐらいしか
 市中に出回っていない。その理屈でいえば1300兆円はまだ国債を発行できる。

・新興国国債を証券会社や銀行が売るのかというと、手数料をたくさんとることができるから。
 円を売ってドルに替えて外国債を買う。売る時もドルを売って円を買うのでここでも手数料が
 入る。円建ての商品は為替手数料がゼロになる。金融機関としてはおいしくない。

・日本は1兆2400億ドルの米国債を保有している。

・新興国は国債ではなくサブプライムなど高金利の債権をたくさん持っていました。
 だから持っている債権が暴落して危機的な状況に陥った。

3.価値観外交はアベノミクス第五の矢になる。

・海外援助というのが実はアベノミクス第五の矢であり、外交とセットで売り込みに成功している。

・アフリカは国連加盟国193カ国のうち54カ国なので大きな票になる。

・見えない日本外交の核として実は南米外交がある。
アメリカの国家構造として年々ヒスパニックが増えている。
 ヒスパニック系はいろいろな政策で中国・韓国と対立している。
 ヒスパニックと黒人がつながってチャイニーズ・コリアンと対立している。

・南米は日本の先人たちが移り住んだので未だに日本人会が強い。
 南米経済の中核には日本人の子孫が多い。ヒスパニック系議員は南米の
 日本人会と手を組んで議会での勢力拡大をしようとしている。

・議会に日本議連というものが結成され、中心はヒスパニック系です。
日本は南米を通じてアメリカ議会内での日本の影響力を強める戦略をとっている。
日本の価値観外交によって南米各国のインフラ整備を支援している。

・一つのポイントが中国は援助の際、労働者を連れて行く。日本はインフラ整備に
 労働者は連れて行かない。日本から技術者を連れて行って技術供与をしますが
 作業員は現地で雇う。現地の雇用を生む。仕事を流す相手は現地の有力企業
 です。現地の有力者は日本が援助した金で儲かるし、政治家は日本の金を利用
 して票をとることができる。日本は現地の有力者に金を流して、結果的にたくさんの
 議員たちを手懐けている。

・そしてインフラのキーパーツを輸出するので金は返ってくる。

・JETROは輸出振興の機関だったが、80年代後半の日米貿易摩擦からインターナルで
 内向きに変わった。世界中のものをどうやって日本に輸入するかがJETROの役割に
 なった。

3.ことごとく失敗する中国の敵失を生かせ

・中国はアメリカの影響下から抜け出したいがゆえに人民元の取引決済を望んでいる。
 ところが人民元は事実上、香港ドルペッグになっている。その香港ドルは米ドルペッグ
 になっている。香港ドルはドル預託通貨といって民間銀行が発行する通貨でスタンダード
 チャータード銀行、HSBC(香港上海銀行)、中国銀行三行が発行している。
 担保は米ドル、中国がもつ米国債です。

・資源企業は人民元を受け取ってくれない。基本的にはリスクの少ない米ドル決済を望んで
 いる。カードカレンシー(国際決済通貨)化ということで、自国通貨が信用だけで取引できる
 ようにしたいと思って中国は頑張っている。

・アメリカにはIEEPA法(国際緊急経済権限法)という切り札がある。
 アメリカの国防上の安全を阻害する行為をした場合に、アメリカ政府はその人物や団体
 の資産を没収またか抹消できるというもの。

・アジア開発銀行は16.7%ずつ日米が出資している。15%のシェアを持っていると単独拒否権
 を行使できる仕組みです。

・中国が香港返還の際に一国二制度を約束した香港声明を無効にすると言っている。
 中国が貿易決済をする際には香港ドルを使っているが、これを発券しているのは
 中国銀行を除くとHSBC、スタンダードチャータード銀行です。香港ドルの取り扱いをやめる
 というふうなことになれば、通貨の信用はガタ落ちになる。

・中国銀行が発行している香港ドルは5%ぐらいである。のこりはHSBCとスタンダードチャータード
 になる。中国銀行はそれほど米ドルを調達できていない。

・船舶保険はイギリスのロイズが握っている。P&I保険(船主責任保険)と船舶の保険について
 1~2%上げただけでも中国の海運会社はアップアップになる。

・イギリスは金の価値を下げることもできる。ギルドメンバー以外の刻印だと5~10%目減りする。

・日本の国債発行は日本の法律に基づいているが、これは日本という国に信用があるからで、信用の
 ない国が国債を発行する場合はイギリスの法律に縛られる。

・アメリカとイギリスの金融は一体であり、ドル体制です。ウォールストリートを支えているのはシティの
 金融である。

・中国の不良債権は1000兆円。対GDP債務は282%です。

・自国通貨が弱い南米はスペイン金融に牛耳られている。

・温暖な地域では貯蓄性向が低く失業率が高くなる傾向がある。

○世界経済を本当に支配しているのは誰?

・金融に関しては金融ギルド。アメリカのウォール街をシティが支配している。
 金融に関してはシティ、船舶に関してもシティ、ルール作りの観点でいけば
 イギリス支配です。イギリスがルールを決めて世界経済を動かしている。
 
・鉄鉱石ギルド、石油ギルド、金ギルド、プラチナギルド、ダイヤモンドギルドなどがシティにはある。

・船舶の海上保険を日本で販売しても、日本の保険会社はロンドンで再保険をかけている。

・国際条約を結ばれる場合も英英語が使われる。国際間のルールはイギリスがチェックしている。







吉田松陰が復活する 宮崎正弘

・一般的知識は狭い書斎で書籍を読めば理解できるが、読書による博学は思考の枠を広げず
単に博学を弄ぶに過ぎない。あちこちを旅行し何かを得る。常に動き、活きて思索を広げれば
機会を得る。弾みがつく。感動によってまた躍動の機が得られるであろう。旅こそ感動の機会
であり、人生の利益となる。

・吉田松陰に影響を与えた三人は山鹿素行、佐藤一斎、佐久間象山である。
北畠親房、本居宣長の系譜から儒学の流れをくんだ陽明学が勃興し、熊沢番山
 大塩平八郎、山鹿素行の流れがある。

・吉田松陰は近代日本の源流的思想である。明治維新の志士たちに行動指針を示し、先駆けた実践家である。

・儒学全盛の江戸時代も後期は朱子学を批判する陽明学が巷間に広がり、伝統回帰の国学も興隆を極めた。

・赤穂浪士は山鹿流兵法の忠義の実現、基底にある陽明学と朱子学との思想的な対立があった。

・大塩平八郎の乱は認識と行動を一致させる陽明学が原動になっている。

・朱子学は林羅山により幕府の御用学問の地位を得た。林大学頭が歴代朱子学をとなえた。
 
・徳川幕府が必要とした道徳律は、戦国戦乱という秩序無視、乱倫、価値紊乱の時代を深く反省し、
 世の中の安泰と長い平和を求める需要と雰囲気の下で身分制度の確立と武士道の鼓舞、厳格な気風
 が重視されるようになり、幕府安定に欠かせず朱子学は都合がよかった。

・陽明学は一度も幕府公認にはならなかった。
 知行合一は武士道の作法であり、武士道というプリズムを通した日本的な解釈である。
 中国のそれとは全く違う。


・尊王攘夷運動、思想的に言えば山鹿素行の万世一系、神州日本の魂。もともとは徳川幕府倒幕の
 源流は水戸藩の大日本史の皇国史観である。

・吉田松陰の思想的な背景、成熟、その完成の道のりをたどると、出発点は山鹿素行の兵学だった。
 山鹿流兵法と中朝事実で素行が唱えた万世一系と日本は神の国という歴史観である。

・松陰は水戸遊学中に会沢正志斎のもとに通いつめた。
 新論の影響と水戸学の大日本史の影響を大きく受けた。

・草莽崛起とは、幕府が外国船を前にしておろおろとした無様さを見るにつけ、徳川幕府への怒りを
 感じ、他の藩から志士が突出しても長州藩には人がいない。外で崛起し長州藩を救わなければ
 ならない。

・吉田松陰の命題は至誠である。至誠にして動かざる者はなし。

・吉田松陰の思想は軍人精神に昇華した。
 松陰が重んじたモラルは武士道である。

・武士道とは死ぬことと見つけたり。
 すぐ死ねということではなく、日頃、死を常に覚悟して今を大切にせよ。
 そして生き恥を晒すな。

・山鹿素行 武士とは

武士として自覚を固める

意思を的確にする。

徳を練り、万能を磨く。

行為の善悪を省みて威厳を正す。

日頃の行為を慎むこと。

○吉田松陰以前

吉田松陰以前の日本の思想的状況の源流は古事記、日本書紀に求められる。

万世一系の天皇を初めて歴史的叙述とした体系化したのは北畠親房の神皇正統記である。
そのもとにあるのは、聖徳太子、和気清麻呂、菅原道真、楠木正成である。

維新の語彙を最初に使ったのは横井小楠である。

佐藤一斎 言志四録は言志録、言志後録、言志晩録、言志耋録の四書を総称したものである。

佐藤一斎の弟子は佐久間象山、山田方谷、渡辺崋山、横井小楠。
山田方谷の弟子が河井継之助、佐久間象山の弟子が勝海舟、小林虎三郎、坂本龍馬、吉田松陰、山本覚馬
さらに吉田松陰の弟子は木戸孝允、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山県有朋。
明治維新人脈総覧図になる。

・従来の吉田松陰論で著しくかけているのは情報、インテリジェンス戦争に関しての議論である。

・日本人がインテリジェンスの意味を理解できなくなった元凶はGHQの占領政策にあり、日本に
 武士道を復活させない。これに便乗した左翼マスコミと日教組の画策によって吉田松陰は歴史教科書
 から消えた。

・吉田松陰は兵学者であり、軍事戦略な発想のもと、国家100年の大計を考えていた。
 吉田松陰は孫子の理解者であった。松陰は孫子の間諜の重要性を認識しており
 国家が死ぬか生きるかは全て情報戦争にあり、的確な情報を素早く入手するばかりか
 それを正しく分析し、こちらの武器として情報心理戦を戦うとした。

・敵情を知り、己の実力を客観的に比較できなければ戦争の勝利はない。
 敵情を知るにはスパイを用いることである。

 





人はなぜ勉強するのか 千秋の人 吉田松陰 岩橋文吉

人はなぜ勉強するのでしょうか。
聞くということは、その人の実人生における運命を賭けた行動の選択を
迫られることである。そして人の行動の選択に対して、なぜそうするのか
その理由を問うことになる。

その問は自らの心の内面に向かって問うことになるから、聞くということは
自らの魂の奥底の声を聞くことにもなる。

聞いて欲しい声はあなたの内なる天性の声、天から授かったかけがえのない
あなた独特の持ち味。それがなんであるかじっくりと聞いて欲しい。
もう一つは、自分の天性を少年時代から青年時代にかけて100%発揮して
我が国の明治維新の先駆けとなり、ついに千秋の人(千年名を残す人)となった
吉田松陰の生涯と心血を注いだ勉学の実態をじっくり聞いて欲しい。
天性の声と吉田松陰の声をじっくり聞いて、人はなぜ勉強するのかとの
基本的な問いに対する答えを出す。

1.人生をデザインする

たったひとりしかいないあなたが、あなた自身のためにぜひ実現したい願望、それが
あなたの夢です。夢があるからこそ、その夢を実現したいがためにいろいろなことを
勉強するのです。

その夢を実現して、自己実現の喜びを味わうとき、あなたは生きがいを感じたり嬉しい
と思う。あなたには他の人にはない独特の尊い持ち味が与えられているということ。

・自分探し(卓越性の発見)

持ち味、自分探しをするにはありとあらゆることを試してみることが大切である。
そうすることによって得意分野、好きな分野がどこにあるのかがわかってくる。
中途半端なぶつかり方では中途半端にしかわからない。
そしてそれが見つかったのなら、その分野で卓越した状態まで高める努力をする。
そこまでいけば、平等に人間として尊敬に値する立派な価値を持つことになる。

全ての人が各自その持ち味を発揮して、人類文化の各分野において、それぞれ
卓越した状態まで自己を高めて自己実現を成し遂げるという、民主社会の卓越性
の理想なのです。卓越性の追求こそ、自分探しの正答であり、生きがいある幸福
な人生への道である。

・自分探し(社会性)

自分探しにはもう一つ道があって、他人との社会的な関係の中での自分探しである。
人間関係をたくさん作ることで、社会性を身につけていく。
それをしないと、独りよがりの自己中心的な人間になったり、他人への思いやりに欠け
他人の意見を聞き入れないから、他人とうまく付き合えない悩みが生まれる。

・話し合いと役割取得(自己訓練)

前述の社会性のなさを改善するには、家族や学校のホームルームなど基礎集団における
話し合い活動で、もう一つは、集団の中で何らかの役割を取得する係(委員)活動です。

基礎集団での話し合い活動により、自分の考えや意見が他人と同じか、異なるか
自分の主張が受容されるか、拒否されるかがわかり、ひとりよがりの自己中心的な考え
では通用しないこと、集団の共通の目的たっせいのために意見をまとめて協力体制を
つくらなければならないこと、などを思い知らされる。

自分はその集団にどう位置づけられているのか、自分自身の考えや気持ちを集団との
関係において整理して、切実に自分さがしの自己訓練をする。

その社会や集団が成り立つためには公的な役割がなくてはならないので、民主的
ルールに従った手続きで成員がその役割を担当することになります。
民主的な手続きで役割を取得したからには、社会や集団の全体としての公なる
ものに対してその役割を果たす厳粛な責任がある。

自分のかけがえのない尊い持ち味を見つけてそれを鍛錬し、卓越した状態
まで高める卓越性の追求の志と、人々みんなの公共の幸せのために進んで
役割取得する普遍的な自己実現の志とが、わが志においてひとつに結びつく
これを立志という。

つまり立志とは自分の持ち味を発揮することが、世の中の人のために役立つという
自分独特の道を見つけ、その道に志すことにほかならない。

人生の深いところ、すなわち自分探しの苦労をして、精神的、道徳的に自己を確立
して太い根を下ろしている人は、人生の艱難に耐えて生き抜くことができる。

自分探しによる人生設計の生涯学習の道は決して安易でも平坦でもない。
天が各人にかけがえのない尊い持ち味を授けてくれていると信じても、その
持ち味はどんなものか全体像が明らかになっていない。
興味や関心のあり方などわずかに天与の手がかりを頼りにちょうど自転車の
ライトの光を頼りにするように、苦しみ迷いながら試行錯誤を繰り返し、求め
続けながら倦まず弛まず自分探しの道をたどる。

倦まず弛まず求め続ける能力はどこから出てくるかを自覚することです。
その底力とは、天は必ず自分にかけがえのない尊い持ち味を与えてくださっている
と信ずる信念から生まれてくる。

・松陰はどんな人でも真実な人生を生きるために学問、勉学をすべきであるとした。
 その主張は、天が各人に授けた天性を確信し、これを尊重することに基づいていた。

・人間の力には限界があり、人それぞれに能力の違いがあり、人の個性は異なる。



巨龍の苦闘 津上俊哉

○危機感に支えられた政権

・習近平登場後の四つの変化

①空前の権力集中

党総書記、国家主席、中央軍事委員会主席を兼ねるのが通常ですが、
それに加えて、国家安全委員会主席、全面深化改革指導小組、財政経済指導小組も
兼ねている。

中国は元々集団指導体制を建前としていた。
共産党政治局常務委員7名のうち6名を彼の部下にした。
権力集中が起きるのは難局に乗り越えるには強いリーダーが必要だと考えた。

②空前の改革

三中全会改革は過去10年改革派が必要性を訴え続けてきたものの、十年無視
されてきた。それが急にどしどし採用されている。
高成長が行き詰った。社会問題もこのままではもたないという危機感が背景にある。

③空前の半腐敗追及

党・政府・軍の高官の腐敗が常軌を逸していたため、そうしなければ国民に申し開き
ができない。もう一つが政権の邪魔者を除去すること。周永康、薄熙来を腐敗容疑で
逮捕。

④空前の言論、思想統制

難局を乗り切るには体制内の多数派工作が必要で、経済や国家ガバナンス(統治制度)
について左派・保守派の嫌う右寄りの改革を行うために、彼らのために何らかの補償を
行う必要があり、言論・思想統制強化につながっている。

この先、経済も社会も状況は更に悪化することを見通して言論・思想を制限することは
やむおえないと判断している。

1.保守的な社会主義(左)と改革指向(右)の振り子のような歴史

・2013年7月12日、習近平は紅後代(革命元老子弟)と密会。
彼らは4万人おり、うち影響力ある人は2000人。そのうち85%左派15%が右派である。

・中国の経済・政治は左対右の間を揺れ動いてきた。

・左派と右派の定義

左派・保守派は伝統的なマルクス・レーニン主義理論、共産党勢力の権力掌握にこだわる。
半植民地化され侵略を受けた歴史からくるルサンチマン(被害者感情)が強い。
そのナショナリスト志向で西側とその普遍的な価値観(自由・民主・人権)に警戒感が強い
人々です。

これに対して右派は日本とは大きく異なります。
日本では保守的で国粋主義的な人々を指しますが、中国の右派は市場経済重視、改革志向、
西側の普遍的価値観にも親和性が高い国際協調的な人々です。

左派優勢の時代 毛沢東の時代。右派を迫害、抑圧した。イデオロギーを振りかざす党内権力抗争
            が続いたせいで、経済も社会体制もボロボロになった。

右旋回 それで経済も社会もにっちもさっちもいかなくなった1978年にトウ小平改革開放へと舵をきる。

左の巻き返し 天安門事件

右の再逆転 トウ小平は南巡講話で反撃。江沢民が社会主義市場経済を推進。93年に経済加熱と大インフレ

WTO加盟でさらに右へ。

左の巻き返し 危機的状況にあった国家財政と国有セクターの懐に金が戻ったことで、国有経済がどんどん
          復活

さらに左へ 08年のリーマンショックが起こり、成長の落ち込みを恐れた4兆元の投資は国有企業へ。

体制の振り子論 危機になると右派の政策、安定してくると左派への揺り戻しがある。

中国共産党三つの運動法則。

①ピンチがこないと政策の舵を右に切ることができない。

左派のDNAが優勢の集団であるので、危機に遭遇しないと右政策は受け入れらない。

②政策を右旋回させるときは左への補償が必要になる。

江沢民は改革開放政策を推し進めたが、代わりに愛国主義教育を行った。

③ピンチが去ると政策を左へ戻す復元力が働く

・習近平は再度右旋回させようとしている。

・習近平は三中全会改革を行おうとしている。しかしながら、改革がそこそこ軌道に乗って
 体制が危機から脱する展望が見えた途端に、振り子がゆり戻す歴史を繰り返すのでは
 ないか。全ての改革が習近平の権威の下に進められようとしている。
 三中全会の改革が目指す新しい中国は権威体制とは別物だろう。

2.投資・信用バブルの終焉 高成長持続の幻想は崩壊した

投資・負債頼みの成長モデルはもはや続けられない。国全体のバランスシートの劣化が
起こっている。

中国経済は投資、消費、輸出(マイナス輸入)の3つの重要項目を成長貢献度で測ると
GDP成長に対する投資の貢献度は52.5%と世界に例がない。
今すぐ投資依存度を下げるリバランスをしないと、疑い無くハードランディング(経済の大きな落ち込み)
がくる。2014~2022平均GDP成長率は理想的な展開で5.3%。状況が悪ければ2.8%。2020~2022年は
マイナス成長になる。

中国経済は2つの選択に直面している。
一つは信用膨張のペースを急速に落としていくやり方。
雇用が保たれるように3%成長、もしくはやや下回るようにコントロールする。
これをロングランディングという。
もう一つは成長低下を防ぐために信用膨張を許していくやり方だ。
これはソフトランディングという。しかし、これは向こう何年は6~7%成長を
保てるが、その後ハードランディング型のひどい成長低下と失業の急増が
待っている。

資金調達の簡単さに幻惑されて、行け行けドンドン式に投資すると、本来
やるべきでない、値打ちのない投資に手を出すことになる。
投資バブルの結果、利払いは問題ないが、元本返還まで金が回らない
低収益な投資事業が山のように築かれる。

・バランスシートの劣化

債務者企業は、まず他の事業の儲けを回して元本償還に充てようしたり、
他の金融機関から融資を受けて銀行に元本を返したりする。
それが難しくなると、銀行からの借り換えや償還期限の延長を認めてもらう
方法になる。

償還期限を延長すれば、当初の約定期限に銀行に元本が返ってこなくなる。
借り換えも、本来なら新しい貸出先に貸すべき金をもう一度既存先に貸すの
ですから、本当の意味で金が銀行に戻ったわけではない。
債務者企業が他の儲けを回して元本償還に充てても、その分企業の当座預金
が減り、銀行が貸出できる資金が減るので結局同じになる。

不採算な投資がマクロに積み上がると、経済全体で融資に回せるお金が減る。
借金は積み上がっているが、経済全体のパイは大きくなっていない。
その結果、金詰まりが起きやすくなる。

儲けの出ない資産とそのための負債が膨張し続けると、国全体のバランスシート
が劣化する。症状が進行すると、金回りが悪くなるだけではなく、銀行が莫大な
潜在損失を抱えて体力が奪われ、金融を仲介する力が低下していく。
政府は症状を緩和するために金融緩和をするが、バランスシートの傷が癒える
訳ではない。世間がこの傷の深さに気がつけば、取り付け騒ぎが起こる。
経済の血流が止まる事態になると、真性の金融危機が起こる可能性がある。

以上のように、資金需要と供給両面が萎縮するのは、これまで経済成長を牽引
してきた投資が減速してきた兆し、つまり、ポストバブル特有のデレバレッジ(債務圧縮)
現象が中国でも始まったことがわかる。

不良資産・不良債権の増大は二つの面で経済に悪影響を及ぼす。
一つはフロー(期間内の流量)の問題であり、経済の資金循環が悪化するということ。
もう一つはストック(溜まり)の問題です。資産台帳に計上されているが、実際には
キャッシュを生まない名ばかり資産は、帳簿上ほどの簿価の価値はないし、そのため
に借入れた負債も潜在的に不良債権化しています。こういう資産、債務の毀損部分は
すぐに処理をしなければならない。

○新常態(ニューノーマル)の本質 ポストバブル期が始まる

新常態の中国経済。
もはや過去30年のような高成長は可能でも、必要でも、受容可能でもない。
今後は質を重視する中高速成長の時代であり、改革をしっかり進めば中国の未来は明るい。
国民はニューノーマルに慣れて平常心を保つべき。

成長目標を達成するための経済刺激、政府の直接投資に頼ろうにも、その余地は大きくはない。
借金投資頼みの成長から、市場手動の成長モデルに転換すべき。

金融緩和を進めるにあたって利下げだけではなく、預金準備率の引き下げが大きな課題になる。
2000年代に中国の高成長を続けた結果、世界中で人民元はこの先上昇するという強い期待が
生まれ、様々な形態で大量の資金が中国に流入した。
これに対して人民銀行は、銀行に預かり預金の一定割合(預金準備率)を強制預金させて
資金が市中に出回らないようにした。

①ニューノーマルを前面に出す。投資の主たる成長動力として政府が主導する成長モデルから
 イノベーションと市場機能を重視して、新しい成長モデルへ転換を図ろうとする三中全会改革
 と合う認識である。中国コスト優位性の終わり、人口高齢化の進行、環境制約、過剰設備問題
 など負の側面にも踏み込んでいる。

②経済下振れを認める。財政赤字が増えることは辞さないし、金融もさらなる緩和を示唆。

③目標成長率は今後さらに低下。

・地方財政改革

①予算の見える化

②地方財政の役割限定 地方財政で支出できる金を公共的なものに限定する。
                 民間供給可能なインフラはPPPによってできるだけ財政の外側にだす。

③立法機関(人民代表大会)による予算統制、監督の強化。

・中央による統制の強化

①地方政府の財源調達を地方債発行に限定する

②地方債発行額を中央が統制

4.三中全会の経済改革 新しい成長エンジンを育成する

①規制緩和

ネガティブリスト方式の導入。行政許認可制度の廃止または権限委譲。

法人登記改革

上海自由貿易試験区

金融規制の緩和

貿易投資の自由化

・国有企業の改革

①混合所有制の発展

②資産管理から資本管理へ

③業種の選択と集中

④コーポレートガバナンス改善

・中国経済は中期的には生産性を向上させられるかどうかが成長持続の鍵である。
 長期的には少子高齢化の進行による成長率低下の運命は避けられない。

5.国家ガバナンス改革の本質 統治制度は行き詰った

三中全会ではガバナンスの改革として依法治国改革が挙げられた。
つまり法によって国を治めるということである。

司法制度改革。
地方都市の法院、検察院の予算、人事、庁舎管理の改革がポイントになる。
全てを市の上の省レベル、省政府ではなく、省級の法院、検察院の所管にするというもの。
こんにち中国が直面する最大の問題は地方政府の力が強すぎるということ。
権限や予算をたくさんもっているというだけでなく、その権力行使に外部からのチェックが
入らない、やりたい放題を生んで、国民の権利侵害、経済の歪などを生んでいる。

もうひとつの司法改革のポイントは裁判官・検察官の審判権、検察権とその責任を強化
して、職務執行の独立性を高める。

鍵は党・政府を法に従わせることにあり。

6.核心利益から周辺外交へ

中国はここ数年間、挑発的な外交、安保姿勢で周辺国を不安に陥れましたが、体制存続
を託された習近平は内政面での改革を進める妨げにならないような平穏な国際環境づくり
に舵を切ろうとしている。領土領海絡みで強硬姿勢を示すといったリスクの大きな方向から
経済大国外交へとシフトさせようとしている。

国民の目をそらすために対外挑発しているのか?
①体制の問題が山積みであり、社会不満が充満する中国では対外的な緊張を煽って
  ナショナリズムに火をつけるとあとで消化するのが大変。

②必然のないところに人為的に緊張を作り出して国民の目をそらすのは邪道。いずれ
 内政の方へ戻っていく。その時問題を正面から取り組まなかったつけを払うことになる。

③中国の政体は我々とは異なるということ。習近平は2022年まで政権担当を約束された
 指導者である。手段を選ばず人気取りをしなければならない理由にはならない。










人民元の正体 田村秀男

現代中国の政治経済の本質は通貨、人民元である。

「体制を打倒する最善の道は通貨を台無しにすることだ」レーニン
ケインズ、フリードマンが認めている。

建国後、人民元を米ドルにぴったりと連動させるペック(固定)制をとり、人民元の価値を
安定させてきた。

人民元のドル本位路線とは、中国に入ってくる外貨(主として米ドル)の量に応じて、
中国人民銀行が人民元資金を発行し、国有銀行へ流し込む。
この方式だと、人民元発行は外貨準備の大枠に沿うので、人民元は事実上、ドルの
裏付けがあるとして国民の間で信用を維持できる。

人民銀行が自らの裁量で決めるレートでドルと人民元を交換する管理変動相場制の
運用を円滑にする。このドル本位制こそが中国経済発展の最大の要因である。

習近平総書記の新路線とは対外攻勢による経済圏の拡張策である。
それは外交、安全保障、軍事上の戦略をもちろん伴う。

本国へ外国企業を誘い込んで、中国企業に技術移転させ、輸出に励むという途上国
モデルから、中国企業や国有商業銀行が主役となって、海外に拠点を広げ、海外市場
を取り込み、海外で収益を稼いで本国に還流させる先進国型へ転換した。
体外膨張最大の決め手が通貨、人民元である。
中国は交易、通貨、軍事は党指令のもと一本化する。
権益拡張のためには、外交力はもちろん、場合によっては武力行使もいとわないが
戦わずして勝つのが上策だ。中国とのFTA締結後、人民元による貿易決済圏に半ば
組み込まれた東南アジア(ASEAN)は南沙諸島を不当に占拠する中国に対して
一致結束して抗議できない。中国との取引で収益をあげる華僑資本が経済を担う各国
は中国との関係悪化を極端に恐れる。

通貨には一種の麻薬効果がある。
いったん他国の通貨を使い始めると、ますますそれにのめり込み、抜けられなくなるのだ。
すると、企業、消費者、さらには政府を含む国家システム全体が、他国通貨での取引に
応じた構造に自覚のないまま変わってしまう。
アメリカのような覇権国は相手国を乗っ取る。事実上の属国にできる。

08年のリーマンショック後、FRBは14年10月まで4度にわたってドル資金を大量発行する
量的緩和政策に踏み切った。アメリカの金融市場からドルが溢れ出た。
結果、そのドル増発量に見合う外貨が中国に流入し、人民銀行はそれを買い上げ、
人民元を増発さし、国内商業銀行へ供給し、商業銀行は融資を拡大していく。
結果投資主導で景気は立ち直った。人民元はドルの裏付けがあるので、いくら増発
しても乱発にはならない。党支配下の国有商業銀行も国有企業も、香港では
好きなように人民元をドルに替えられる。豊富な資金を背景に人民解放軍は軍備を
拡大させていく。

膨張する人民元を経済圏拡張の武器とし、既存の国際ルールに代わって自国のルール
を前面に出して、海外政府や企業に呑ませようとする。これまでアメリカのみ許された
帝国式ルールである。これは人民元帝国の建設とみるとわかりやすい。

1.膨張する人民元の脅威

中国の現預金総額(M2)はドル換算すると20兆ドル強ある。
日本の7.5兆ドル、アメリカの11.6兆ドルを圧倒しており、年間増加額は2兆ドルである。
14年末の中央銀行の資金発行の年間増加量1に対するM2の増加量の割合は
中国の5.3に対し、日本は0.42、アメリカは1だから人民銀行が刷る現預金創出力
は爆発的である。

奇怪な人民元パワーの源泉は、ドルにある。
人民銀行は管理変動相場制度を堅持し、中国に流入するドルをことごとく自身が決める
交換レートで買い上げ、その分の人民元を市中に流し込む。人民元はドルに対して安定
して、しかも国内ではインフレ率も低位に推移している。

中国人民銀行が外国為替市場から外貨を大量購入して、人民元の量を増やすと、金融緩和
効果で消費が刺激され、中国市場が拡大する。

管理為替制度はドルを事実上の担保として人民元を発行して、市中に流す中国特有の金融
制度である。ということは、ドル資金が中国に流入しなくなると、この通貨、金融システムは
たちまち機能不全に陥ることになる。

中国の軍事費膨張を可能にしているのは、中国の通貨制度である。
中央銀行が供給する資金はマネタリーベースと呼ばれるが、党が支配する中国人民銀行は
流入するドルなど外貨を商業銀行から買い上げ、マネタリーベースをその分増やす。
人民元資金供給こそは中国の軍拡の原動力である。

中国の通貨、人民元制度は実は中央銀行制度と政府紙幣発行制度の両側面を兼ね備えている。
発券銀行である中国人民銀行は、軍と行政府同様、党の支配下に置かれている。
人民銀行から資金供給を受ける国有商業銀行も党支配下にある。
人民銀行を中心とする金融システム全体が党によってコントロールされる。
通貨発行と配分権は党指導者が保有している。人民元はその本質において政府紙幣である。

通貨と政治、軍事が一体となって多くの地域を影響下に置くのが帝国である。
中国はワシントンでロビー活動を続け、15年秋には人民元をIMFの仮想通貨SDRの構成通貨に
認定させる。そうなると人民元はドル、ユーロに次ぐ第三の国際通貨になる。円は4位になる。
SDR通貨となれば、人民元は各国通貨当局の公的準備用として受け入れられる。
すると民間の方でも人民元の信用が高まり、貿易や投資などの国際決済が盛んに人民元で
行われるようになる。SDR通貨となれば、各国の通貨当局は人民元を好きな分だけ他のSDR
構成通貨であるドル、ユーロ、円、ポンドと交換できるので、安心して人民元を準備資産として
加えられる。すると民間の金融機関や企業の間で人民元の信用は上がる。

そして一帯一路と呼ばれる陸路と海路のシルクロード経済圏構想を打ち出した。
鉄道、通信、港湾を中心としたネットワークで結ぶ壮大な経済圏を建設する構想だ。
必要な資金はAIIBとBRICS銀行も用意する。IMF認定の国際通貨になれば、人民元がそのまま
投入される条件が整う。つまり、モノも人もカネも、更に人も情報もすべての道が北京に通じる。

現代経済の変動には借金の法則がある。
民間の借金が多ければ多いほど景気が良くなるのである。
かと思えば、借金できなくなった途端に大不況に陥る。つまり、現代世界の経済成長は
借金が原動力になっており、その典型がアメリカと中国である。

中国人民銀行のデータによると、13年末で銀行による不動産関連融資残高は14.6兆元
(280兆円)に上る。08年末からの増加額は9.3兆元(180兆円)である。
シャドーバンキングは08年末から5年間で自己調達額は16.5兆円にのぼる。
不動産バブルが崩壊すれば不良債権の総額は17.5兆元前後となり、中国の名目GDPの
3割に達しかねない。

○人民元の世界通貨への野望

人民元増長の最大の秘密は、基軸通貨ドルの膨張にある。中国不動産バブルと人民元の
密接な関係の産物である。人民元は管理変動相場制であり、市場介入によって1日あたり
2%の範囲内でドルに人民元を連動させている。人民銀行は自らが決める交換レートで
貿易、投資などで流入する外貨を原則として金融機関から全面的に買取、人民元を発行
する。

人民元決済額が膨らむにつれて本土外の国際金融市場に蓄積されてくる。
海外にある人民元マネーが大きく増えると、人民元建ての債権など金融資産取引市場の創設
ニーズが高まる。海外投資家の参入を制限している上海市場も、国外の投資ファンドなどに
株や債権取引の自由化を迫られる。他方で、ロンドン、フランクフルトなどの人民元決済市場
では人民元建ての証券市場が出現し、巨額の人民元資金取引が行われることになり、投機が
盛んになる。おのずと、国際金融市場の波乱要因になってくる。

もともと国際金融市場での外国為替取引は、証券取引、直接投資、融資などの資本取引が
大半で、貿易決済関連を圧倒している。

人民元関連の資本取引が円滑に行われるためには、人民元相場を需給関係によって自由に
決める、つまり変動相場制に移行させざる得なくなる。現在の管理変動為替制度は、中国系
金融機関に入ってくる外貨を、人民銀行が管理する交換レートで全面的に買い上げる仕組み
になっているが、資本取引を自由化すれば、外貨買い上げ額が巨大化しすぎて人民銀行の
手に負えなくなる。金融機関同士で自由に外国為替を商いさせる。

国際決済銀行(BIS)によると、中国の海外からの借入残高は14年9月末で1兆700億ドル。
前年比2800億ドル増加して、世界全体での国際融資2700億ドルを凌いでいる。
つまり中国は国際金融市場最大の借り手であり、国際銀行業界にとって国別に見て
最大のお得意先ということになる。

人民元に対する日本の戦略はシンプルである。
IMFでSDR構成通貨見直しに際して、人民元繰入条件として、人民元関連資本取引の自由化
と人民元の自由変動相場制への移行を義務付けることである。

○中国の戦術と戦略を知る

習近平体制の中国の対外膨張戦略は人民元を軸にした金融パワーを軍事力と組み合わせる
ところに特徴がある。

中国には戦術があっても戦略はない。ワシントンの安全保障専門家。ただし軍事に限っての話。

資本取引に制限をかけている以上、国際金融市場での人民元取引拡大には限界があるが
投機の危険にさらされる危険を避ける方が重要だ。中国として重視するのは人民元決済圏の
拡大だ。中国の政府や銀行、企業は人民元で売り買いしたり、決済できる相手を広げられる。
石油などの戦略物資や軍事用ハイテク品も人民元で買えるようになる。

AIIB投資銀行と人民元のSDR通貨化はセットになっている。
AIIBはシルクロード経済圏建設資金を支える。その資金は当面ドル建てだが、借入国が
承諾すれば人民元建てになる。人民元がSDR通貨ともなれば、人民元建て融資が
活発になるだろう。人民元建ての借金を持つと、今度は中国にモノを売って人民元で
返済する必要がでてくるので中国に依存するようになる。




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