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働く力を君に 鈴木敏文

私の仕事の仕方は、自分の頭がで考え、仮説を立て、答えを導いていく。その際、
変わらない視点を持ち、物事の本質を見抜き、できるだけ難しく考えずに単純明快
に発想し、迷わず決断し、実行していく。

人はよく自己実現のために働くと言われます。
自己実現とはなんでしょう?自己実現とは突き詰めて考えると究極的には自己満足
に行き着く。自己満足とは、自分で納得し、満足できるような働き方を求める。
それがお客様をはじめ、周囲の満足にも結びつく。だから、仕事のやりがいを感じ
達成感が生まれ、組織の中での自分の存在価値を見出し自己実現ができるようになる。

全てについて、自分たちの頭で何をすべきか考え、実行し、挑戦していく。

全てをお客様の立場で考える。それが私の一貫して変わらない視点である。

常識とは過去の経験の蓄積です。世の中が変化しているとき、常識にとらわれることほど
怖いものはありません。

かつて需要が供給を上回った時代、いわゆるモノ不足の時代には昨日売れたものが
今日も売れた。他社が作って売れたものを自社でものまねをしてつくっても売れました。
そのため前例にならったり、人の話を聞いて学んだりする勉強をする力や前例を覚える
記憶力が求められた。

いまは供給が需要を上回る供給過多の時代。しかも需要側のお客様のニーズがめまぐるしく
変化している。何より重要なのは変化対応であり、それには新しいものを自分の頭で考え
生み出していかなければならない。既存の常識を鵜呑みにしない疑問を発想する力、お客様
が求めるものを読み取る理解力、本質とは何かと深堀する分析力をもって、挑戦することが
何よりも重要である。

挑戦するからこそ、自分で満足できる働き方ができるようになり、やりがいや働きがいが生まれ
存在価値を感じられる。

1.仮説力を鍛える 自分で答えを出せる人間が成果を得られる

既存の常識や考え方に対して常にクエスチョンを発し、本当にそうだろうか。なぜそうなのか。
問い直すことを自ら課している。頭の中をまっさらにし、視点を変えて考えると、世の中に流布
する本当のようなウソが見えてきて本質をつかむことができる。

疑問を発したら次に仮説を立てる。
本当にそうなのかと問い直すと強い問題意識が生まれます。この問題意識から生まれるのが
仮説である。こうすればこうなるのではないか?こういうことができるのではないか?それを仮説
という。

自分の頭で考えなければチャンスは引き寄せられない。
チャンスは誰にでも平等にありますが、チャンスを活かせるかどうかの違いは、才能ではなく
物の見方であり、仕事の取り組み方である。

本当にそうなのかと常に問題意識をもってクエスチョンを発し続け、自分で掘り下げて考える習慣
を身に付ける。それが仕事の取り組み方である。


いま二匹目のどじょうでは成功しない。どこにどじょうがいるのか自分で探さなければならない。
だから自分の頭で考え、仮説を立てる力が問われる。

ものまねをするのとしないのとでは、一見ものまねをする方が楽に見える。
しかし、まねをする相手が右を行けば右、左へ行けば左に進む。一度まねをすると絶えず相手の
動きが気になって同質の競争になる。本当の競争力は自己差別化から生まれる。
ものまねをせず、自己差別化していくには、新しいことに挑戦し、自分の頭で考え、答えを出して
いくことが求められる。大変そうに見えるが、ものまねと違ってあらゆる方向に広い角度で自由な
発想で考えることができる。

仮説を立てるということはストーリーを考えることである。
仕事と作業はどう違うのか。作業はあらかじめ正しい答えがわかって行うのに対し、仕事は
自分で答えを出していかなければならない。

意思がある発注とは明日のお客様に向けたメッセージであり、そのメッセージは仮説を立てる
ことによって生まれる。

仮説を立てるとは、お客様にどんなコトをメッセージとして伝えるか、そのストーリーを考える
ことであり、、お客様はそのストーリーに共感して買う。このとき、お客様と売り手の間で強い
関係が生まれる。仮説を立てず適当に発注するのはモノでしかない。

狙え撃てから、撃て確かめろへ。
目に見える昨日のお客様のニーズに狙いをあわせて撃つのではなく。
明日のお客様のニーズが見えなくても仮説を立てて撃って結果を確かめる。

データは量だけでなく時間軸で見る。
モノを簡単に買ってもらえない時代には、売れた量の結果データだけ見て
明日に向けたマーケティングを考えるのではなく、数字のむこうにあるお客様の心理
や動きを読まなくてはなりません。

情報を活かすとは情報に価値づけすることである。
個々の情報をどれほど自分の仕事に活かせるのか、価値づけをし、自分の行動に
結びつけたり、知識に転換できなければ、本当の意味での情報たりえません。
多くの情報に接しても、自分はきちんと情報をとれていないと不安を拭えない人は
情報の価値づけができていない。

情報に価値づけをするには、基本となる自分の考え方をしっかり持つことが何より
大切である。例えばものが余り消費が飽和した時代には経済学ではなく心理学で
考えなければならないという考えを私はもっている。

自分の考え方をしっかりもつには、少しでも疑問に思ったことについて本当にそうか
なぜそうなのか疑問を持つ習慣を身に付けることが何より重要である。

何気ないことでも意味合いを見抜けば、先行情報にすることができる。
価値ある情報がどれだけ頭の中のフックに引っかかるか。それが情報力を支える。

新しい情報は内ではなく外にある。
情報収集で重要なポイントは、新しくて価値ある情報は内ではなく外にある。
行ったことのないところ、関心を向けなかった分野、関係が薄いと思い込んでいた
世界、つまり外へ出ていくと新しい価値ある情報が頭の中のフックに引っかかる。
必要なのは現状に対する問題意識と外へ踏み出していく意欲である。

重要なのはマスコミ情報が自分の普段持っている感覚と異なっていたら、決して
鵜呑みにせず、本当にそうなのか、マスコミ情報はおかしいのか、自分の方が
違うのか、一歩踏み込んで問い直し、自分なりに検証してみる。

成果を出せないのはできない理由で自分の限界をつくるからだ。
絶対無理、できないと考えたのは、固定観念をもとに自分たちで限界をつくり
その範囲内でできない理由を考え、自己正当化しているのではないか。
売り手の都合でできないと考えてはいけない。

いまある制約条件を固定し、その範囲で考えるのではなく、その制約のもとでは
お客様のにとてあるべき姿を実現できないと思ったら、制約を排除していく。
それが自分で仮説を立て、答えをだしていく仕事のやり方である。

2.ブレない視点を持つ

売り手起点ではなく、お客様起点で物事を見る。自分たちを起点にするのではなく
常に相手起点にする。その視点を変わらずに徹底して持ち続ける。

常にお客様を起点にし、お客様の立場で考えることで、変化への対応を徹底しるには
もう一つ変わらない視点、変えてはならない視点が必要である。
それは、真の競争相手は同業他社ではなく、絶えず変化するお客様のニーズである。

お客様に提供する商品、サービスの価値には相対的な価値と絶対的な価値がある。
相対的な価値とは、競合している退社と比べてよりよいとか、より優れているといった
価値で優劣を競う価値である。絶対的な価値は、お客様より満足してもらいたいという
自分たちの思いや価値観を大切にし、あるべき姿を追求することによってもたらされる
価値である。

目を向けるなら未来に向ける。人々がそうあって欲しいと思うだろうこと、思いながらも
難しいなと戸惑い、懐疑的になっていることは何かを探り積極的に挑戦する。
間違っても過去や現在の延長戦上でやるべきことを類推してはいけない。
一歩先の未来へ目を向け、何らかの可能性が見えたら、そこから省みてやるべきこと
を考え、実行するという仕事の仕方をブレイクスルー思考という。
ブレイクスルーによって未来を創造していく。

人は過去の経験について原因と結果を結びつけ、よいパラダイムの因果関係のセット
で記憶しようとする。成功が大きければ大きいほど、そのセットは強固になる。
次の課題に直面したとき、状況が変化しているのが見えないままだと、この因果関係
から脱却できず、前に原因となったことを今度も実行しようとする。難局になればなるほど
思い出してまた同じことをしてしまう。

重要なのは物事をみるときに時間による変化という視点を忘れないことである。

ミクロとマクロ、両方の目を持つことで初めて一歩先が読める。
商品というミクロだけでなく、お客様の傾向、地域の特性、マーケットのトレンドをつかみながら
売り場全体、店全体ではどのような品揃えに挑戦して対応していくのかといったマクロから
捉えていかなければ発注の精度は高めることができない。

ミクロの向こうにマクロのトレンドを見るには、この現象は何を意味するのかと疑問を発し
こういうことではないのかと仮説を立てることである。

いまの自分は売り手の都合を考えていないか、過去の経験にとらわれていないか、前回と同じ
やり方を繰り返していないか、しっかり、お客様の立場で考えることができているか、もうひとりの
自分から自分をとらえなおす。

みんなが賛成することは失敗し、みんなが反対することはたいてい成功する。
みんなが賛成するのは前例があり、誰もが参入しやすいからである。差別化しにくく
過当競争に陥るのが目に見えている。

やるべき価値があると思って、仮説を立て、挑戦しようと決意したら、自分なりに実現の可能性を
シミュレーションしてみる。ひとつの目安として、100%はありえないとしても、自分の中で可能性
が7割出てきたら挑戦するべきである。

3.シンプル思考に徹する どこまでものごとを単純明快に考えられるか

素人の発想こそが私のこれまでの挑戦を支えてきた。
なぜ鈴木さんは困難に見えることを容易に決断できるのかと問われる。
それはものごとを難しく考えないからだ。

新しくないと人は感動しないし、刺激にならない。

真のプロフェッショナルとは、過去の経験をその都度、否定的に問い直し
常に新しいことに挑戦できることである。

目を向けるのなら、売り手の立場での目先の利益より、お客様の立場に立った
長期的な利益に目を向ける。判断に迷ったら、このシンプルな基準に戻る。

新しい仮説は勉強からは生まれない。勉強をすればするほど過去の制約条件
を学ぶことになり、問題は複雑化していく。

専門家は、これまでにない新しいことについて、どうすればそれが成り立つのか
自分たちの既存の知識や常識では答えを出せなかった。人は自分では答えが
出せないことに反対する。

前例のないことに挑戦し、自分たちで答えを探してみようとするとき、答えを出せない
人の話をいくら聞いて、勉強しても仕方がない。

新しいことを始めるときに重要なのは、何が必要なのか見極め、必ずしも最初から
完璧で絶対的なものを作る必要はないということである。

勉強で得た借り物の知識ではなく、普段の仕事のなかで感じたことや得た情報にこそ
価値があり、そこから素直に発想することで仮説が生まれる。

仕事は時間をかけないほうがシンプルに判断し、実行できる。
仕事を次から次へと任される人は、かぎられた時間の中で仕事を短時間でこなさなけれ
ばならない。一つにはその人が能力的に優れているため、短時間でできる。
それ以上に、かぎられた時間に集中して取り組むことで、頭の中で問題がよく整理され
物事の本質を的確に掴んで判断し、優先順位をつけて行動できる要素が大きい。

仕事は困難なほどデッドラインの期限を区切る。

人間は本来善意の生き物であり、よいことをしようと考える。
これは基本的に挑戦の原動力になる。ですが、目的が曖昧だと逆に作用し
時間をかけると必要以上の仕事をはじめがちになる。完璧なものを目指そうとして
本来は目的を達成する手段がいつのまにかそれ自体目的になってしまう。

仕事は困難であるほど、デッドラインの期限を区切った方が、何が本質的に重要なのか
集中して考えながら、やるべき課題が絞り込まれる。やるべき課題を絞り込む時は
マクロから見て自分たちは何のために仕事をするのか、何を目指してどのような成果を
生み出すべきなのかを明確にする。そのうえでひとつひとつのミクロの仕事がそれに
沿っているのか検証してみる。

スイートスポットを捉えた人が成功を掴める。
スイートスポットとは物事の本質を捉えること。同じ力最大限の飛距離を得られる真芯
の一点である。

直面する課題のどこにスイートスポットがあるのか、素人の発想を大事にし、常にお客様
の立場で考え、ミクロとマクロ、両方の視点から、真芯の一点をとらえる習慣をつければ
何をなすべきかを簡潔明瞭に発想し、判断し、実行できるようにする。

何かを始めようとするとき、多くの人に反対されるのは、現状ではそれを実現するのは
難しいか、実現する方法そのものが容易に考えられないからだ。

選択肢が多いより、絞り込むとお客様心理を刺激する。
人間、一見複雑に見える問題でも、課題を絞込み、問題をわかりやすくシンプルにすると
何をどうすべきか、迷わず、判断し、実行できる。

交渉も問題点をシンプルにすれば妥結できる。
人間の脳は選択肢が一定以上になると処理できなくなる。
物事はできるだけシンプルにする。

4.心を揺さぶる伝え方 組織も人も動かす心理を突く言葉

自分の中から出た言葉こそ共感を呼ぶ。

人前で話をする基本は、自分が知っていることを、できるだけ平易な言葉、平易な話し方で
そのまま表現することである。

人間は考える生き物である。
聞き手は、自分の考えと共感できることがいちばん嬉しい。とすれば、同じ人間として
実体験に根ざした平易な話がとりわけ共感を呼ぶ。内容は簡単でも自分のものになった
話をするのがいちばん説得力を持つ。

自分の考えを平易な言葉でわかりやすく伝えるとき、私がよく使うのは例え話や言い換えである。
例え話が思いつくのは、ものごとを類推する能力である。日頃から身近な出来事を自分の関心事
と結びつける視点を持つ。それには、頭の中に関心事のフックが常にあるような問題意識の持続力
が必要である。

例え話や言い換えをするとき、数字を効果的に使うと説得力が高まる。

伝え方の能力は話術のうまい下手ではなく、自分で情報を持ち、正しいと思った意見を
自分で納得して持つことから始まる。情報を持たない人間に対しては相手も情報を提供
しようとしません。

商談も同じである。かぎられた時間でこちらの意思を伝え、理解してもらうには、上司に
言われたことを一度消化して、自分の言葉に変えて話すことである。
説得力があるのは自らの体験を通して自分なりに消化した情報である。

相手と話すときは、できるだけ平易な言葉を使うと同時に、けっしておごらない
謙虚な姿勢である。謙虚な姿勢で接すれば相手の心は開きます。

相手にどういう伝え方をすれば理解してもらうのか考える。それがコミュニケーションである。

私はこれまで数々の商談の場に臨んできましたが、成功するポイントをひとつあげると
すれば、成否を分けるのは話術ではなく、相手の不安や不満を期待や共感に変える論法
や伝え方である。

商談の際は理屈だけでなく、心理的な要素が多分に影響する。
人間は利益と損失を同じ天秤では量らず、利益より損失の方を大きく感じる。
相手が一面だけ見て損失を恐れ、不安や不満を抱いているときは、話術が巧みな人でも
説得は困難である。別の面に面を向けさせて、不安や不満を期待や共感へ逆転させる
論法と伝え方を考える。

相手に動いてもらい、本来の目的を達成できてこそ、自分の考えが伝わったことになるでしょう。

失敗してもいいじゃないかという言葉は、受けてにとっては、失敗しても後悔しないよう全力を
つくして挑戦しようという意味になる。

相手にどのような伝え方をすれば、制約や縛りがはずれ、前へ踏み出してもらえるのか。
それは相手の立場で考えて初めてわかるものである。コミュニケーションの基本は他者理解
にある。

価値ある話を聞くには自分の考えを持ち相手にぶつける。
先方から本当に価値ある情報を引き出そうと思ったら、自分なりの考えをぶつけ、双方向
のやりとりをすべきである。それには自分の考えをしっかりもたなければならない。

相手に考えをぶつけるとき、大切なのは考え方がいつも同じでブレないことである。
プレないことで信用を得られる。

佐藤可士和は相手とのコミュニケーションにおいて4つのことを大切にしている。
➀人の話をちゃんと聞く➁話の本意を読み取る③自分の考えを正確にまとめる
④相手にわかりやすく伝える

聞き出す力も単なる聞き方のうまい下手ではなく、伝える力と一体となって発揮される。
自分の頭で考える力は、コミュニケーション能力も支える。

人の行動は自覚から始まる。コミュニケーションに奇策はなく、相手が動くまで対話を重ね
繰り返し伝え続ける。大切なのはコミュニケーションの徹底力です。

言葉とはひとつの記号にすぎない。単に言葉を伝えるだけなら文書やメールだけでいい。
なぜ相手に伝え続け、対話が必要なのか、言葉の裏付けをきちっと理解させ、共有し
その言葉によって、みんなが自覚し、動くためである。

上司と対話を重ねながら、あるべき姿について考え方や価値観が共有されていくと
考え方が少しずつ浄化され、不透明で漠として見えなかったものが見えるようになり
新しいことに挑戦する意欲がわく。

5.運をつかむ生き方 前に進む人は失敗も成功の要因

本当にそうか、なぜそうなのか疑問を発しながら、自分の頭で考え、仮説を立て、
答えを導いていく。その際、ブレない視点を持ち、シンプルな発想で判断すれば
迷わず決断し、実行できる。

人間は生き方において2つの顔を持っている。
一つはやるべき価値があると思ったら挑戦する自分である。
もうひとつは本能的に我が身を守ろうとする自分である。

人間は善意の生き物なので、妥協するより、本当はこうありたい、ああありたいと
思っているときの方が精神が安定する。

自分は口だけでなく、実行が伴っているか常に問い直す。

挑戦すればリスクは高くなりますが、幸運と出会う確率も高くなる。
挑戦しないかぎり運をつかむことはできない。

人の生き方には3つのタイプがある。

➀いままでこうだったから過去の延長戦上で生きる。

➁将来に向けて明確に目標を立て、逆算して一直線に生きる計画的な生き方。

③遠い将来のことより、そのときそのときに直面する物事に対して、こうありたい
  こうあるべきだと一歩未来に目を向け、可能性が見えたら、懸命に取り組んでいく。

鈴木氏は③である。

一見いきあたりばったりに見えても、本人はその都度、これをやるべきだと真剣に思い
懸命に生きている。

そのときどきにそうするのが当たり前だと思うこと、逃げてはいけないと思ったことに挑み
決してブレず積み上げていいく。一段一段の積み重ねが大切である。
それがあるとき爆発点に達し、人が到達できない非凡な地点に到達できる。

みんな始まりは素人である。

人間は本来善意の生き物であり、こうありたい、ああありたいと思っているときの方が
心が安定していて、仕事においても際限なく何か求めようとする。その心境こそが
生きるということである。

目の前の倒れた木と一本一本面倒くさがらずに向き合う。










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リーダーの教養 佐々木常夫

知識の豊富な人が必ずしも教養人とは限らない。
いくら知識を集めても本当の教養は身につかない。
いたずらに知識に寄りかかることなく、自分の目でものを見て
自分の頭で考える力がある。現実を正しく直視、把握して、そこから
自前の判断力や洞察力を養うことができる。そうした能力は、教養の土台
をつくる重要な材料のひとつである。

素質の高さに寄りかかって、組織で働くための努力を怠ることには注意が必要だ。
仕事を進めるうえでコミュニケーションをとったり、協力関係や信頼関係を築く
必要性がある。知的エリートとしての有能さは必ずしもマネージャーやリーダーとして
の優秀さを保証するものではない。

人材とはあらかかじめできあがった人間の中から輩出されるものではなく、会社の中で
仕事をさせながら育てていくべきものだ。

カントは知(知性)、情(感情)、意(意志)の総和やバランスも大切になってくる。
思考力や判断力、分析力に加えて協調性や関係調整力、情報伝達力や自己制御力
情熱や粘り強さなど気概やリーダーシップといった人間くさいEQ的能力を身に付ける
努力をし、部下とよくコミュニケーションをとり人間的信頼関係を築く。

リーダーに必要とさせる教養とは、あくまで成果につながる教養でなくはならない。

座学をいくら積み重ねても実学にはならない。経営の秘訣や成功の要諦は人から
教えてもらうのではなく、仕事の現場から自分の経験を通じて、汗や涙とともにつかみ
とるしかない。

本こそ読まないものの、現場から学ぶ力が並外れていたという点で、また、自分でもの
を見て、考え、学ぶ、自前の強い頭をもっていた点で、本田宗一郎は一流の教養人で
あったというべきです。

人間性とスキル併せ持つ教養の複線化を図れ。
全人格的な教養を養うことが人生の大事な仕事。

1.仕事で身に付ける教養の型

礼儀正しさという基礎教養を身に付ける。
人に会ったら挨拶は忘れない。人から何かしてもらったら必ず礼を言う。
間違ったことをしたら素直に謝る。時間を守る。嘘はつかない。
根本的なモラル。人間と原理原則の大切さである。

礼儀正しさにまさる攻撃力はない。

成功する人の共通点は規律を重んじている。

繰り返し体にしみ込ませたものが型となり、その型をしっかり身につけることで、
それにふさわしい中身もだんだん備わってくる。頭で知るのではなく、体に刻み
つけるようにして覚えたことは単なる職業上の技術の域を越えて、人間の生き方
の心棒となる。教養というのは本来そういうものである。

型は繰り返すことでみにつくものです。仕事も含めて、あらゆる習い事というのは、
最初は単調な繰り返しに終始させられるものです。なぜ、繰り返しがかくも重要なのか
といえば、技術や技能というのは無意識にそれが行える域に達して、はじめて修得
したといえる。

とりわけ若い時分に心がけていたのは一歩先をいくということである。

思考や意思による行動よりも、無意識や習得に基づく行動の方が物事をうまく進める
すべとなるのは、決してめずらしいことではない。ひとつの習慣が自分の仕事のスタイル
になり、それが大きな成果を生み出すもととなる。良い習慣は才能を超える。

世のため、人のためという志が大きな成果を生む。

いや、私たちがまず目指すのは、世の中のためになる製品をつくる。この一点である。
世の中の役に立つものをつくれば、たくさん売れる。たくさん売れれば、黙っていても自然に
コストは下がっていく。アップル

利益を出すという使命を課せられて企業も、その根底にあって利益の原動力となるものは
社会のため、お客様のためという利他的な思いなのです。それを気概や心意気といってもいいし、
理念や志であるといってもいい。その志と利益のせめぎあいを宿命づけられているところに
企業活動の厳しさがあり、面白さがあるように思えます。

欲が磨かれて志になる。欲から出発して志に到達する。

2.教養のレベルは言葉にあらわれる

言葉は量ではありません。その価値は質にかかっている。
口にする言葉がどれだけ中身や実体がともなっているか。

言葉を使って話をすることは、絵の具を使って絵を描くようなものである。
たくさんの色の絵の具を使えばいい絵が描けるとは限らない。
言葉で大切なのは数ではない。技術でもない。一番肝心なのは言葉の根っこ
にある思いである。

あなたの言葉には行動が伴っているか。

もし、言葉に中身を込められる人、言葉に行動がともなう言行一致の人を
教養人と呼ぶのなら、幕末の吉田松陰などは日本有数の教養人といえる。
知識を得る以上に、志を立てることに重きを置き、その志を実行することを
さらに重んじた。

立志と実行。
実践がともなうのでなければ、どれほど知識を蓄えようとも、何の意味も価値も
ないと考えていた。

教養なき言葉は死を招く。

言葉が使いようによっては、人々をあざむき、誤った方向にも導き、ときには命まで
奪いかねない。

言葉はいつも大切に、慎重に扱って、うかつ、おろそかには口を開かないこと。不要な
言葉は呑み込んで、必要なだけ吐き出すのが教養ある人間の言葉遣いである。

禅宗では言葉のことを月を指す指である。
月はどこに出ていますかと聞かれて、あそこですと指で指し示す。
そうして月のありかがわかったら、もう指は不要になる。
指はあくまで月のありかを知らせる方便であって、月そのものではない。
こんなたとえによって、言葉というものが手段にすぎず、決して目的や本質ではない。

言葉は組織を動かし人を用いるときの触媒である。
上司からの指示、部下からの報告、取引先との連絡、会議における意見交換
など全て言葉を介して行われる。言葉は仕事を進め、人を動かしていくときの
触媒になる。組織体全体を生かしている血液みたいなものである。

リーダーがどんな言葉を使うかによって組織の進む方向がきまり。
組織を構成するメンバーの意欲や意識も左右され、結果的に事業の成否
を分けることにもなる。

組織を率いるリーダーにとって言葉は武器であり、命でもある。
ヤマト運輸の小倉昌男氏の言葉、サービスが第一、利益が第二という言葉
が象徴している。

良きリーダー像は一緒に仕事をしていると勇気と希望を持てる人である。
もうダメだという苦境にあるとき、あとひと踏ん張り頑張ろうといえる人。
みんなが尻込みをしているときに、私が行こうという言葉を口にできる人。

習慣といえば、言葉が人の心に浸透し、その人の意識や行動を変えていくため
には、雨だれが石をうがつように何度も、何度も繰り返述べ、伝えることが大切。
これを言葉の反復連打という。

考えは言葉になり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり
人格は運命となる。マーガレット・サッチャー

自分を変えたい時も自分以外の他人や周囲を変えたいときも、必要なのは反復連打
とその継続である。

3.教養人は人付き合いが上手

人は一人では生きていけない。いくら自立していても、人には穏やかに接して仲良く
付き合うべきである。それを和合という。自立と和合は組織で働く人間にとって欠かせ
ない条件、すなわちリーダーの教養にとって不可欠といえる。

分け隔てなく人に会い、誰からも謙虚に学ぶ。

明治維新は人が人に会い、人から学び合う事によって時代の潮流をつくっていった。
その点で、あの時代は空前にして絶後の時代であった。

身近な相手にもリスペクトの心をもって接する。

素直、謙虚、分け隔てない態度。人間関係を円滑にするにはいろいろな要素が
必要ですが、相手を尊重し、尊敬する姿勢もきわめて大事な条件である。

目上の人ほど聞き役に回る。

聞く力は学ぶ力である。

まずは和すことを第一に努め、さらにできれば和して同ぜずの姿勢を貫けば
理想といえる。

単一文化の力学は組織を弱体化させてしまう。

長い目で見れば、モノカルチャーは組織を弱体化させるが、ダイバーシティ(多様性)
は組織強化につながっていく。

出来る人間より、できない人間に目配りとサポートに重点を置く。
組織力強化にはそれが一番効果的である。

4.現場でしか学べない教養がある

理論を現場に当てはめることが間違い。

教科書に書かれた経営理論とは一定の距離を置いて、現場、現実から
栄養分を汲み取ることに力を入れることが大切である。

理論と現場、知識と知恵、基本と応用など上手にミックスしていくことが大切である。

現実把握力は一朝一夕で身につくものではない。現場でじっさいに仕事に関わり
場数を踏むことで養っていくしかないものである。

経営に必要な直感的な洞察は何によって磨かれるのか。
多くの現場での体験は現場感覚や現実把握力を養い。直感的な洞察力を磨いてくれる。

交渉事の駆け引きが必要となる場では、その場の空気や相手の言葉や表情の裏に隠れた
真意を読み取るカンが大切になってきます。

ビジネスマンの幸不幸の多くは上司によって決まるものである。
どんな上司を持ったか、上司がどんな言動、ふるまいをするかは部下たちの意欲や動機づけ
に大きな影響を与える。

日頃から大きな信頼残高を構築しておけば、多少厳しいムチを振るっても、その残高は
目減りするようなことはない。

正面の理、側面の情、背面の恐怖。この3つのバランスを上手にとることが部下の能力の
伸長や彼らの人間的な成長に大きく貢献していく。

5.人間の中身を磨く教養の身につけ方

古代ギリシャでは、若者を鍛える条件として知育、体育、徳育の3つの重視した。
それぞれ頭の教養、体の教養、心の教養である。専門性の重視とは頭の教養のみに
狭く偏った教育や学問である。人を育てるうえでは弊害が大きい。

人はいつからでも伸び、どこでも学べる。
志、努力する気持ちさえ失わなければ、教養を蓄えていくことが可能である。

禅が教えるように、人間の成長は本来、時間や場所の制限を受けない自在なものである。
教養を積むのに遅すぎることはないし、学校に通う必要もない。自分自身を伸ばす行為に
勝手に限界意識を設けないことが大切である。

内省が経験を識見に変える。
対外的には互いに敬いながら健やかな人間関係を育み。
対内的にはとりおり立ち止まって、自分の心を見つめ直す。自らを省みる行為は人間の
成長を加速させる。

体験が自分にもたらしたものは何か、そのとき自分がとった方法は正しかったのか、
他にもっといい方法はなかったのか、成功の要因は何なのか、失敗の原因はどこに
あったのか。そうした分析や反省を通じて、経験の意味をしっかり振り返ってみることが
大切で、そうすることではじめて経験が知識や知見として自分の内部に血肉化し、成長の
糧になる。

逆境にあっても楽観論を失うな。
悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである。アラン
悲観的な気持ちに落ち込むのは必ず心を感情に任せたとき。
必ずよくなる。よくならせてみせると希望的、楽観的になれたのは意志に
基づいた現実を見つめ、将来を想像したときである。

追い込まれた状態でも希望を忘れない楽観論者は現状打破のパワー、
つまり物事を変えていく力に富んでいる。

本物に触れて教養のふところを広げよ。
視野や知識を広めて教養のポケットを増やせるか。
その有力な方法のひとつに本物に触れることがあげられる。

自分なりの論語と算盤の両立をめざす。
お金儲けには道徳の裏打ちが必要である。

現場に足を運ぶことが人生の教養を深める肥やしである。
現場体験抜きでは理解できないことが世の中にはたくさんある。
現場に触れることなくしては、本当の意味での人生の教養も磨かれない。

映画以上にリアルに様々な人生を疑似体験できるメディアといえば
本があげられる。

読書は多読より精読である。読んだ内容をしっかりと身に付ける。

面白いと思う本、興味を覚える本を読むのが一番身に付く。

新聞は読まないで眺めなさい。

6.素の教養を磨く

捨て方でその人の教養が測れる。

人はムダを生む。
人はムダと縁を切れない生き物であるだけに、物の捨て方でその人の知性や
教養がある程度測れる。

得るより手放すことに基軸を置く。
禅の考えには捨てる思想が脈打っていて、禅語にもそうした言葉がたくさんある。

一人の人間の中にはいろいろな自分がいる。
周囲との関係性によって、私たちはいろいろな顔をもっている。

自分という人間をどこから見られてもかまわない。
何の隠し事もない。このありのままの姿をどうぞご覧になってください。
こういえる人間ほど強いものはない。

信頼関係があれば、自分を隠したり飾ったりせず、自然体でふるまうことが
いちばん自分という人間を相手に伝えやすい。

一芸に秀でることで専門外の視野も広がる。
人間の教養というのは深さが広さに通じていく側面がある。
一芸に秀でることによって視界が開け、視野が広がる。専門外への理解力
推察力、想像力もつちかわれる。

知らないことを知らないと言えるのも知性のなせる技です。

一芸に精通すること、ひとつの道をきわめることが大切なのは、人は得意な
ものを深めることでもっとも大きく伸びられるからである。

ひとつの分野に精通すれば、その深さが広さにつながっていく。
得意を伸ばす過程で得た知識や経験は他分野にも応用でき、更に伸び代を
広げる契機ともなる。

7.人格は他社から見た教養

人を知る者は智なり、自らを知る者は明なり。老子

自らを知る明こそ、教養に必須の要件といえる。人間が人を見る目はたいてい
他人に厳しく、自分に甘いのが相場である。

普通の人間は自分の能力に関して40%インフレで考え、他人の能力に関しては
40%デフレで考える。

人の噺を聞いて、自分より下手だと思ったら自分と同じくらい。
自分と同じくらいだと思ったら、自分よりうまい。自分よりうまいと思ったら、自分より
ずっとうまい。

人間の中身は外見に否応なくあらわれる。

自分が他人からどう見られているかという客観的な視点の備えがあるのとないのとでは
自分の言動やふるまいに大きな差が生まれる。

教養とは本や学問を通じて得た知の集積だけが教養ではない。
社会における様々な経験知、実践知をもとに獲得していく総合的な能力。
柔らかい思考力、的確な判断力、鋭い分析力、集中力、把握力、問題解決能力
自己制御力、コミュニケーション能力や関係調整能力。さらには協調性や
情熱、粘り強さや気概。知、情、意におよぶ人間まるごとの幅広い能力を意味する。

人格の土台をなし、人間の器を大きくし、私たちの人生に豊かな果実をもたらして
くれる広い視野と深い見識、多様な物の見方や考え方。それを人生の教養という。

弱い人間ほど他人の欠点や失敗に狭量であり、不寛容である。
強い人はそれに対しておおらかであり、寛大である。

寛大さは人間の度量という教養が大いに試される。

寛容は相手への信頼がなければ生じない。人生の教養を備えるのに必要なのは
信頼である。人を信頼し、人から信頼される。人間関係の基本中の基本である。

見返りを求めないいさぎよい教養。

教養とは生き方の問題である。
















学校では教えてくれない地政学の授業 茂木誠

1945年の敗戦のショックで日本人は戦略的思考を失ってしまった。
戦略(ストラテジー)と戦術(タクティクス)とは対になる言葉である。
あの島を奪うにはどれだけの兵力と武器が必要で、どこからどこから攻めるか
現場の部隊長が考える個々の作戦が戦術です。これに対して戦争に勝つため
には、どこの国と同盟関係を結び、どのような産業を興し、どうやって情報を集め
国際世論アピールして味方を増やすかといった政治・外交・経済・思想も含めた
長期的、大局的な作戦を練るのが戦略である。

地政学とは国家間の対立を地理的条件で説明をする。
いろいろな外交政策や場合によって戦争っていうことにつながることを
理論化する学問である。

教科書の歴史は善と悪があり、正義は勝つという歴史観である。
これを進歩史観という。地政学は国際紛争を国と国の縄張り争い生存競争と
見る。教科書通りに学んだ人ほど世界の常識からずれていく。
地政学とはリアリズム的な見方のひとつである。
理想主義だと平和になっているはずだが、そうなると今の世界を説明すること
はできない。

世界の見方には理想主義とリアリズム(現実主義)がある。
リアリズムは国家間の生存競争として国際関係を説明する。
地政学はリアリズムのひとつである。地理的条件から外交防衛政策を考える。

アメリカは地政学的には島である。
大陸というの1個だけでユーラシア大陸だけである。
ユーラシア大陸を世界島とも言う。
アメリカは周辺国どこからも干渉されないから島ということになる。
この地理的条件からアメリカの外交方針が生まれる。

島にこもるのがモンロー主義、積極的に外へ出ていくのがウィルソン主義。
モンロー主義は大陸のゴタゴタに巻き込まれたくない。兵力にゆとりがあるから
積極的に海外へ派兵して世界の警察官をやる。これが国際貢献戦術ウィルソン主義。

民主党は福祉国家、国際協調主義。
共和党は自助努力を求め、一国主義。
共和党支持者は白人、イギリスから渡ってきた人
民主党は移民、白人のあとから来た移民で19世紀以降の新しい移民。イタリア系、ユダヤ系
ヒスパニック(スペイン語を喋る人)、あとは中国系。

アメリカの中国進出を日本が脅かしたことが、日米戦争の原因となった。
過去も現在も日米関係は常に中国問題である。

アメリカにとって中国は常に市場・投資先である。

アメリカの金融資本・国務省・民主党が親中派、軍需産業・国防総省・共和党が対中強硬派。

中国にとって最大の脅威は遊牧民やロシア帝国、北方のランドパワーだった。
地政学は大陸国家ランドパワーと海洋国家シーパワーのせめぎあいとして世界を見る。
中国はランドパワー。海の戦いより陸の戦いをしてきた国である。

19世紀には、海からシーパワーのイギリス、日本に攻め込まれ、清王朝は崩壊した。
初めてシーパワー勢力が中国を襲ってきた。背後からランドパワーのロシアが迫り、
海からは日本、イギリスなどのシーパワーが迫ってくる。更に国内では漢族が独立運動
を起こしてボロボロだった。

20世紀前半には、ソヴィエト・ロシアと組む共産党と、米英と組む国民党と内戦を続け
共産党が勝利した。

トウ小平がシーパワーの国家戦略を立て、中国軍は長期計画に基づいて行動している。
ランドパワーは陸軍重視、農業重視だった。これを改革開放路線によりシーパワーへ傾いて
いく。ソ連崩壊で北の脅威がなくなった。北に備えていたエネルギーを南へ向けられるという
ことで海洋進出してきた。

中国の海洋進出を抑えるには、➀軍事的空白をつくらないこと➁北方の脅威ロシアを育てること。

ランドパワーが無理に海洋進出すると、かつてのドイツのように失敗する。

半島国家の朝鮮は、常に大陸の中国の動向に翻弄されてきた。
隣国の中国の王朝が時々代わるため、いままでやっていたことを全部否定して新しい王朝へ
乗り換えるという手のひら返しをしてきた。中国で新しい王朝ができると朝鮮でも王朝の交代
が起きる。

中国からの侵略を防ぐためには、中国の王朝と一体化するしかなかった。
モンゴルという敵と一体化することで自分たちの身を守った。

モンゴル支配の反動から、朝鮮は朱子学を採用し、小中華思想を持つようになったが経済は
停滞した。朱子学は儒学の一派で基本的にはランドパワーの思想である。
農業が正しく、商工業は間違っている。劣っているという商業蔑視の思想である。
文明人を中華という。中華が文明で周りの民族は夷狄である。
国が小さいから小中華ということである。漢文は中華文明の文字であり、ハングルのような
発音記号のような文字は恥ずかしいと考えた。明が清に滅ぼされ、明の思想は我々が
受け継いだ。つまり世界唯一の文明国朝鮮と考えた。

当時、日本はシーパワーなので商工業が盛んだった。江戸時代は貨幣経済で大阪は銀
江戸は金が流通しており、藩札もあった。世界最初の先物市場は大阪の米市場であった。
ほとんど西ヨーロッパと同レベルで経済が発展した。

近代朝鮮史はランドパワー派(事大党/親中派)VSシーパワー派(開花派/親日派)の抗争の歴史。

日清戦争と日露戦争で日本が勝利した結果、朝鮮は初めてシーパワー側に取り込まれた。

日本の敗戦後は、ランドパワー派が北朝鮮、シーパワー派が韓国を建国し、朝鮮戦争を起こした。

冷戦終結後、台頭する中国に韓国が急接近する一方、北朝鮮は中国を警戒し、核開発を進めている。

ロシアはモンゴル帝国を継承したランドパワー国家。

国土が広大すぎるロシアは、アジアとヨーロッパ、二正面作戦に対応できない。

清朝から沿海州を奪って日本海へ進出。日本から千島列島を奪って太平洋進出を図った。

シベリアの人口減少が続くロシアにとって、隣国中国の人口圧力は重大な脅威である。
日本との協力が必要。

ウクライナ紛争で欧米と対立するロシア。日本にとっては北方領土問題解決のチャンス。

ロシアにとってウクライナは穀倉地帯。クリミア半島には黒海艦隊の軍港があるから
手放せない。

アメリカはウクライナをロシアから切り離し、NATOに加盟させようと画策してきた。

ウクライナ人自身が、東の親ロシア派(ランドパワー派)と西の親欧米派(シーパワー派)
に分裂しているのが、ウクライナ紛争の最大の要因。

米露関係の悪化で中露が接近すると、ユーラシアにランドパワー同盟が生まれる危険
がある。

欧州移民問題は、中東の植民地支配の負の遺産。

ソ連の支援で社会主義化を進めたアラブ諸国は、経済的に破綻し、欧州の移民を
生み出した。

欧州諸国は労働者不足で移民を受け入れたものの、景気後退で移民の2世、3世が
職を失った。

移民は制限できるが、難民は受け入れ義務が生じる。そして両者は区別できない。

ヨーロッパは半島だが、イギリスは島である。

イギリスはヨーロッパ統一を恐れ、各国が常に争うように仕向けてきた。(オフショア・バランシング)

イギリスの軍事力は、植民地拡大に使われてきたが、第二次大戦後の植民地独立で
全てを失った。

EU結成の真の目的はドイツ封じ込めだったが、経済的にドイツに仕切られている。

ドイツが主導するEUへの反発、難民受け入れへの抵抗が、イギリスのEU離脱に
走らせた。

イラクとシリアは、本来は同じアラブ人で、オスマン帝国の一部だった。

イギリスとフランスがサイクス・ピコ協定を結んでオスマン帝国を解体した。
イラクとシリアの国境線はこのとき引かれた。これは満州国と同じだ。
満州人が中国より独立したという形をとった。

第二次大戦後、イラクとシリアで革命が起こり、親ロシア派(ソ連派)のフセインと
アサドが政権を握った。

アメリカは湾岸戦争、イラク戦争でフセインを打倒し、アラブの春でアサドを揺さぶった
が、アサドはロシアの支援で持ちこたえた。米国が親ロシア派だからけしからんという話。

混乱に乗じてイスラム過激派ISが台頭した。
サイクス・ピコ協定の打破、貧富の格差、つまりアッラーの前に万人平等であるから
分配せよという話。コーランに書かれた時代のイスラムがもっとも美しく純粋である
というのがイスラム原理主義である。

国境線の引き直しと、各民族、宗派への大幅な自治権の付与が紛争解決への道。
オスマン帝国は自治権の付与によって400年平和に統治した。

イランはロシアの南下を阻止する防波堤として、また産油国として米・英の支配を
受けてきた。

イランのナショナリズムは、イスラム教シーア派の思想と結びつき、イラン革命を
引き起こした。

アメリカは、サウジなどスンニ派アラブ諸国を支援してイランに敵対させた。

イランはアメリカに対抗して核武装を進めてきた。

スンニ派武装組織ISという共通の敵が現れたため、アメリカはイランに急接近し
制裁を解除した。国内にシーア派を抱えるサウジアラビアはイランの台頭を警戒。
アメリカとの関係も悪化している。

多民族・多宗教世界だったインドをイギリスが占領し、宗教対立を煽って分割統治
した。

イギリスは植民地インド防衛のため、アフガニスタンとチベットをロシアに対する防波堤
とした。

独立後、イスラム教国パキスタンは、ヒンドゥーの大国インドに対抗してアメリカ、中国と
結んだ。

中国のチベット併合、ダライ・ラマ14世のインド亡命で、中印関係が悪化。インドは
ソ連と同盟し、ソ連崩壊後のインドはアメリカに急接近している。

日本軍はインド独立を支援した。歴史問題や国連改革問題で日本とインドは協力できる。


大国の掟 歴史×地理で解きほぐす  佐藤優

表面的な情勢がどう動いたとしても変動しない本質を把握すること。
言い換えれば、アメリカをはじめとする大国を動かす掟について理解を深める
ことである。掟を把握するにはどうしたらよいか。国際情勢の背景にある変わらない
ものに着目することである。

歴史と地理この二つの不変の要素が現下の国際情勢を規定している。
歴史はアナロジー(類比)的なものの見方を訓練することに大いに役立ちます。
この考え方を身につければ未知の出来事に遭遇したときでも、過去の出来事と
類比を考えて、冷静に分析できる。先行きの見通しにくい時代であればあるほど
アナロジー的思考は大きな力を発揮する。

地理を学ぶ意義はまさに長い時間が経っても変化しないということに尽きる。
海がない国は海がないという地理的条件、半島国家は半島という地理的条件
に規定される。国際情勢のような複雑な問題を解くためには動かない要員を
知ることが何より近道となる。

このような地理的思考を国家戦略に活用したものが地政学と呼ばれるものである。

1.英米を動かす掟

アメリカとイギリスは孤立主義という一致した動向を見せている。
これは海洋国家という地理的な特徴が浮き彫りになっている。
トランプ現象は孤立主義の現れである。その孤立主義はモンロー宣言に象徴される。
モンロー宣言とはアメリカの裏庭である中南米への影響力を拡大し、同時にヨーロッパ
の影響力を排除することを目的としたものである。

アメリカの帝国主義化は孤立主義と矛盾するものではない。
帝国主義を拡大させながら、アメリカは国際的な揉め事には極力首をつっこまないように
している。

思想面から見た場合、アメリカの孤立主義は啓蒙主義の影響を強く受けていることがわかる。
啓蒙思想とは暗闇の中でロウソクを一本ずつ灯していくと、明るさが増し、周囲の様子がよく
見えるようになるというモデルである。知識が増えれば、社会は豊かになり、人間は幸福に
なるという物の見方、考え方である。

啓蒙主義は物体であれ、人間社会であれ、個が集まって全体が成立すると捉える原子論的な
考え方をモデルとしている。

トランプの主張の核にあるのは、アメリカを真珠湾奇襲以前の姿に戻すことである。

新自由主義は、ソ連崩壊によって東西冷戦が終結した1991年以降、さらに加速していく。
社会主義革命の恐れがなくなれば、資本主義は遠慮する必要もないため、いくらでも暴走
できる。同時に、この時期から、ヒト・モノ・カネが国境を越えて自由に移動するグローバル化
が急速に進行していきました。

新自由主義は個人をアトム(原子)化してバラバラにする。新自由主義には、経済主体が
行動するにあたって、障害になる規制を全て除去するという排除の思想が組み込まれている。
新自由主義のゲームのルールでは、市場で勝利したものが成果を総取りできる。
その結果、グローバル資本主義のもと、資本主義は巨大な格差を生み出し続けることになった。

アメリカ的な民主主義とは、白人の民主主義ということである。

イギリスはEU離脱を選択した。イギリスはかつての栄光ある孤立を選んだということ。
92年EU領域を決めるマーストリヒト条約が調印されユーロの使用が決まった。
イギリスは単一通貨を使用せず、独自通貨のポンド使用を継続した。
EU加盟国といってもヨーロッパ大陸の加盟国とは異なる道を歩んできた。
これも栄光ある孤立が底流にある。

イギリスはEU離脱を選択することで国内政治にこれまでにない大きな分断を
もたらした。これはトランプ現象と共通するものである。

両国が孤立主義を選択することができるのか地政学的な補助線を入れる。
それはどちらも海洋国家であるからだ。海洋国家は海を通じてどこへでも
行ける。この地理的条件は決定的に重要である。
いくことができるのなら、いかない選択肢もあるということである。

シーパワーとランドパワーを比べたとき、シーパワーの優位性は海から陸を
囲むことができる点にある。点と線を押さえればよい。
シーパワーを制するということは、世界的なネットワークを維持できるという
ことに他ならない。だからこそ、イギリスもアメリカも覇権国になることができる。
自由主義の背後にはシーパワーを持った覇権国の存在がある。

国内の憂いが拡大すれば、点と線の支配に頼るシーパワーも弱体化して
しまいます。人的にも経済的にも、国内に力を注がなければならなくなる。

2.ドイツを動かす掟

第一次世界大戦も第二次世界大戦も膨張するドイツとそれを封じ込めようとする
英仏を中心とするヨーロッパ諸国との対立として捉えることができる。
現在のEUも、その根本では独仏が同盟を組むことで、ドイツを全ヨーロッパに取り込む
ことが大きな課題となった。

1888年を境として、ビスマルク外交からウェルヘルム二世の世界政策へ転換したことが
20世紀のドイツの運命を大きく変えた。ビスマルク外交のポイントはフランスの孤立化にある。
ビスマルクは外交によってヨーロッパの安定を図ろうとした。それがウェルヘルム二世によって
海軍の大増強をはかり、イギリスと建艦競争を展開した。

帝国主義下のドイツ、ナチス・ドイツ、そしてEUには明らかな共通点がある。
いずれも東方拡大をベクトルとして持っている。3B政策である。
それとあわせてドイツ人の民族結集をはかり、ドイツ帝国の世界覇権をめざす
イデオロギーであるパンゲルマン主義という思想が浸透していった。

マッキンダー理論は国家や民族を有機体的な生命と捉え、強い国家や民族が生き残って
生存圏を拡大していくのは自然の摂理だと考える。

シーパワーはユーラシア大陸を海から取り囲むことができる。
その結果、ヨーロッパとアジアの立場は逆転し、ヨーロッパはアジアのランドパワーを
政治的、軍事的に包囲できる立場となった。マッキンダーはヨーロッパ諸国が海上勢力
を拡大していた時代は、同時に、ロシアがシベリアを支配し、ロシア農民が南部に移住する
時代になった。ユーラシア大陸が鉄道網で覆われれば、ロシアのランドパワーは更に拡大
すると予想した。ユーラシア内陸部には鉱物資源が眠っており、海上貿易ではなかなか
アクセスできない。そこをロシアが制したならばかつてのモンゴル帝国のような存在になる
とした。

マッキンダーはユーラシア大陸の広大な部分は、まさに国際政治の回転軸に相当する地域だとした。

東欧を制する者はハートランドを制し、ハートランドを支配するものは世界島を制し、世界島を制する
ものは世界を制する。

東ドイツでは旧ナチスというだけで戦犯にすると国家の運営ができない状態だった。
そこでソビエト軍事政府はナチ党に所属していただ戦争犯罪にてを染めなかった党員に
社会復帰の道を開き、市民権や政治的権利を回復し。1948年非ナチ化終了宣言を行った。

EUができてもドイツの包摂は成功していない。
ドイツを野放しにしないために創設されたEUも、その経済面を見る限り、結局ユーロという
名の拡大マルクが席巻している。ドイツだけの一人勝ちで東方へEUは拡大している。

ギリシャは欧米が勢力圏としたが、支援の仕方に問題があった。
産業化の支援をしなかった。産業化すると工業が発展し、工場労働者が生まれる。
そうなると共産党の組織化がなされるからである。だから農業と観光だけの国にした。

ギリシャ債務危機はEUの南北問題を象徴的に示している。
この違いは南部はローマカトリックの国、北部はプロテスタントの国が多い。
プロテスタントは生まれる前から神に選ばれているという選民思想がある。
自分たちのこの世での成功は保証されている。一見失敗だったとしてもそれは神の
試練であると。世のため、人のために努力すれば神は喜ぶ。そこに生じる禁欲的
職業倫理が経済に結びつく。

カトリシズムは天国における来世を重視する。
人生たかだか80年。あの世は永遠である。だから人々は自分がこの世に貢献するよりも
天国に行けるよう教会に全て寄付しようという考えである。
教会にお金がたまり、豪華な建物を建て、教会インフラという形で富が蓄積する。

EUという帝国内での覇権を握っているドイツにとってもEU内の自由貿易体制を維持する
ことが富を蓄積する最善の手段である。

EUが財政破綻に陥った場合ギリシャを切り捨てたとして考えられるシナリオの一つが
ロシアの影響下に入るというもの。ロシア海軍がエーゲ海へ出口を持つことになる。
もうひとつのシナリオはISがエーゲ海の島々に入ってくるというもの。

EU最大の目的はナショナリズムの抑制である。
EUとは二度と戦争はしたくないという独仏同盟を中心とする西ヨーロッパの帝国と
考えなければならない。この帝国にはナショナリズムや民族を超えた、コルプス
クリスティアヌムという概念である。コルプスクリスティアヌムとはユダヤ・キリスト教
一神教の伝統であるヘブライズム、ギリシャ古典哲学であるヘレニズム、ローマ帝国
ラテン法の伝統であるラティニズムの三つの要素から構成された総合体。

ドイツは東方進出を終えた段階に入っており、逆にEU統合を維持するためのコストを
支払わなければならなくなっている。だからこそドイツ国内でも反EU勢力の発言力が
強まっている。

3.ロシアを動かす掟

国家の振る舞いは地理的諸条件に制約される。それゆえ地理的諸条件はイデオロギー
に先行する。プーチンの言う地政学には、国家は、地理的諸条件にもとづいて、最も
利益にかなう行為を選ばなければならない。

ユーラシア主義と緩衝地帯という二つの概念。
もともとロシア人という概念自体がユーラシア主義と深く結びついている。
ロシア語でロシア人はルスキーとロシヤーニンという二つの概念がある。
ルスキーは血筋の意味でのロシア人である。ロシヤーニンはスラブ系ロシア正教を
信じる白人だけの国家とは考えない。トルコ系、イラン系でイスラム教を信じる人々
モンゴル系のチベット仏教を信じる人々、精霊や呪術師を信じるシベリヤや北極圏の
少数民族などのロシヤーニンからなる帝国と捉える。ロシアは必然的に帝国となる
運命にあり、ロシアは欧州やアメリカ、アジアとは異なった論理と発展の法則もっている
というのがユーラシア主義者の主張である。

プーチンはユーラシア同盟が域外との障壁をつくる関税同盟であることを明確にしている。
リーマンショックに端を発する世界経済の危機を帝国主義的な経済ブロックを創設する
ことで乗り切ろうとしている。

狭義のユーラシア主義とは、第一次世界大戦後の1920年~1930年代にかけてソ連から
西欧に亡命した知識人が掲げた思想である。ヨーロッパとアジアにまたがるロシアは、ユーラシア
空間によって規定された独自の法則を持つ小宇宙である。

スターリン下のソ連外交の実態は、自国の安全保障を確保するために勢力圏を極力拡大する
という考え方で、帝国主義と親和的です。なおかつ、実際のソ連は国民生活のあらゆる部分に
国家が介入する極端な国家主義である。ユーラシア主義者はソ連のこのような帝国主義的体質
も肯定的に評価する。ユーラシア主義者は反共産主義者だが、親ソ連である。

ソ連崩壊後、中央アジアの諸国では部族を中心とするエリート集団が権力を握り、他方で経済的
困窮からイスラム主義が拡大している。

ロシアという国家を理解するうえで緩衝地帯という地政学的概念は決定的に重要である。
ロシアは国境を線ではなく面で捉える。ロシア人が線で国境を考えるのは、隣国が友好国の場合
に限られる。少しでも隣国が侵入してくる危険性がある場合には、線で国境を引いたとしても
国境の外側の一定の幅のところに緩衝地帯を持つことを重視する。
ロシアは平原であるゆえに、いつでも攻め込まれる不安がある。
だから緩衝地帯を持っていないと安心できない。

東ドイツ、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキアを併合しなかったのは、併合すると
西側諸国と直接国境を接することになり、衝突のリスクが高まるからである。
こうした緩衝地帯には、ソ連体制と同じではなく西側の要素を入れている。
これらの国では教会活動が比較的自由だった。

緩衝地帯は中央アジアでも重要な意味をもっている。
ロシアにとって中央アジアやモンゴルは中国との衝突を回避する緩衝地帯として作用している。
グルジア、クリミア、ウクライナに対するプーチンの強硬姿勢は緩衝地帯を失った危機感に
起因している。

4.中東を動かす掟

現在の中東情勢の真の原因は中東の地理的実態と合致しない欧米の政策である。
その出発点がフランス、イギリス、ロシアの間で結ばれたサイクス・ピコ協定である。

外来のものである固定という要素を無理やり押し込んでできているのが現在の中東
諸国である。この固定は非常に脆弱である。実際、アラブ諸国のほとんどが、国民国家
の形成に失敗している。民族を形成するうえで決定的に重要である民族教育がアラブ
諸国では不徹底だった。

人権の思想は、近代ヨーロッパの勢力拡大とともに、世界中に拡散していった。
近代化プロセスの中では、濃淡の差こそあれ、どの国にも人権思想が浸透していく。
その結果、人民の代表を選挙によって選出する代議制民主主義も定着していくわけ
です。人権の思想は、地域によってはイスラム世界にも入っていきます。
トルコ、イラン、インドネシア、パキスタンでも、民主主義という形式は取り入れられている。

アラブ世界だけは、人権から神権の転換が起こらなかった。だから現在でも神権です。
神権では、神が決めたことが全てであり、人間が自己統治する余地はありません。
そうなると急に民主化をすると多くの有権者はムスリム同胞団へ投票する。

シーアとは分派、党派という意味である。
もともとはアリーのシーアと呼ばれていた。
スンナ派は代々のカリフを正統と認めるイスラムの多数派です。
スンナ派はムハンマドの伝えた慣行(スンナ)に従うものを意味する。
イスラム法の解釈によって、ハナフィー派(イラク西部、トルコ、シリア、中央アジア、
エジプト西部、南アジアなど)マーリキー派(アラビア半島東部、北アフリカ)
シャーフィイー派(イエメン、イラク中部、エジプト東部、東アフリカ、東南アジアなど)
ハンバリー派(カタール、UAEなど)ワッハーブ派(サウジアラビア、アルカイダ)

ワッハーブ派はコーランとハディース(ムハンマド伝承集)しか認めていない。
成人崇拝も墓参りもしない。ムハンマド時代の原始イスラム教へ回帰を伝え
極端な禁欲主義を掲げている。

グローバルジハード論は、分散的なネットワーク型の組織原理に基づいている。

ISはほかのアルカイダ関連組織と比べてシーア派の殲滅を重視する。

今後中東が抱える脅威は核の拡散である。その震源地と考えられるのが
サウジアラビアである。

イランはかつてのペルシャ帝国へ。トルコはオスマン帝国へ回帰しようとしている。

5.中国を動かす掟

一帯一路とは、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる
シルクロード経済ベルトと、中国沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島の沿岸部
アフリカ東海岸を結ぶ21世紀海上シルクロードである。陸と海の両方からユーラシア大陸
の東西を結び巨大なフロンティアを生み出そうとしている。地政学的に見ればランドパワーと
シーパワーを同時に展開してユーラシア大陸を囲い込むことになる。

中国は海洋戦略をとるようになった。
海洋国家のアドバンテージは、港を点でつなぎ、世界をネットワーク化できることにある。
海洋国家は覇権国になりやすい。ただし、海洋国家同士は折り合いが悪い。

人工島問題を理解するためには国連海洋法の基本的な知識が必要。
中国は1996年に国連海洋法条約を批准しているにもかかわらず、そのルールに背いて
人工島を作っている。

中国の海洋進出が進まない3つの理由
➀中国海軍の実力不足
➁海洋戦略の基本に反している。人工島など大人気ないことをせずに、各国の領海は
  狭めて航行の自由を広く認めていく方向を模索するべき。その方が中長期的に海軍力
  が強い国なら有利になる。

③新疆ウイグル自治区の問題である。近くのフェルガナ盆地で第二イスラム国ができる可能性。

ウイグル人はウイグル民族に属するという自己意識とムスリムであるという複合アイデンティティ
をもっている。民族独立運動には敏感だったが、イスラム主義について注意が甘い。

中国は内陸アジアとの攻防を経ることで形成されてきた国家である。

海の地政学は多く見積もって地政学の半分しかない。そして現代的意義を考えるならば
4分の1程度の重要性しかもたない。地政学の核心は制約条件を考えることである。

中国の一帯一路政策は海と陸それぞれに困難を抱えている。

地政学的に考えれば、日本は大陸の影響を強く受ける位置にある。
鎖国システムをを築くことで冊封体制脱することができた。





ラグビー日本代表を変えた心の鍛え方 荒木香織

メンタルコーチの仕事は何かと聞かれればスキル道具を増やすことである。
不安があったら、何か壁にぶつかっているのなら、なんらかの道具、ツールを
使って、不安を軽減するなり、コントロールするなりしてアスリート自身がそれと
つきあっていく。そうすることで、自ら扉を開いていく。ツールを持っていないから
不安や課題に対するアプローチができないのです。
そのためのツールを教えてあげる。増やしてあげる。それがメンタルコーチの役割
だと私は思っている。

メンタルは鍛えることができる。メンタルはスキルである。

プレパフォーマンス・ルーティンは、そのパフォーマンスを行う際に生じる様々な雑念
を取り払い。ルーティンを正確に行うことだけに集中するためのもの。

プレパフォーマンス・ルーティンの定義をもっと長いスパンでとらえれば、朝ごはんを
きちんと食べるのもそのひとつと言えないこともない。朝ごはんを食べることで、心身
が一日の始まりを意識して準備する。

プレパフォーマンス・ルーティンに対して、ポストパフォーマンス・ルーティンという。
プレパフォーマンス・ルーティンのあとに一定の動作、一定の順序、リズムで行う。

デュアリング・パフォーマンス・ルーティン。パフォーマンスとパフォーマンスの間に
行うもの。

コントロールできることだけ考える。
自分が置かれた状況をいかに受け止めるか。監督やコーチの言葉をどう感じるか、
それらをどう消化し、体現していくかというメンタルにおいては普通の人と変わりません。

もっとも重要なことは、コントロールできることと、できないことを明確にすることである。
自分でコントロールできない、変えられないことに対して気を揉んでも、何の解決にも
なりません。時間とエネルギーを浪費するだけです。
その時間とエネルギーを自分ができることに費やす方が、よほど建設的だ。

平常心とは興奮の度合いが低く、不安をあまり感じていない状態。
むしろ適度に興奮し、不安もある程度抱えている状態の方がいいパフォーマンスが
できると言われている。不安があればより集中しようとするし、準備も入念に行わざる
おえない。緊張するからうまくいくのだ。

最高のパフォーマンスはある程度興奮の度合いと少し高めの不安を持ち合わせて
ときに発揮できる。逆に興奮しすぎると身体がうまく動かなくなり、不安が大きすぎる
と、適切な判断ができにくくなる。集中力が失われてしまいます。

何かを前にして、漠然とした不安を感じることは誰にでもあると思います。
そんなときは何が不安なのか、その原因をひとつひとつ書き出していくことが
大切になる。そうやって整理し、対処法を考えることで、自分がコントロールできる
こと、やるべきことが明確になる。

日常生活でオンとオフの切り替えが瞬時にできれば、試合中でもできる。

一流のアスリートは遊ぶときは徹底的に遊ぶ人が結構いる。
オフへの集中力である。

海外のチームを相手にすればどうやれば勝てるのか、何が必要なのか理解する。

誇りというものは周囲の人につくってもらうものではない。選手自身がつくりあげて
いくものです。

自分でコントロールできることが多いほどモチベーションが高まる。

マインドセットとは考え方の基本的な枠組みのこと。

欧米では選手は監督、コーチに質問するだけでなく、積極的に自分の主張を伝え
要求もする。監督やコーチもそれを歓迎する。そうやってチームをつくりあげていく。

成功体験を積み上げることは大切である。
自信、自己効力感を高めるには成功した体験が大切だということは理論でも証明
されている。

自分で具体的な課題を見つけ、考え、向上しようとする姿勢を常に忘れない。

本当に自分がその競技を好きなのか。自分に足りないもの、やるべきことは何かを
自分で考え、日々練習に取り組むこと。練習で足りないと思ったら、誰かに頼んで
でも練習相手になってもらう。

基準をいまに置く。

常に個々が自分の役割と責任を確認できるよう、ラグビー以外での行動にも責任を
持つ。人から言われなくても、するべきことは自分でちゃんとできるようになろう。

自分が受け止めていることは行動にあらわれる。そう言われている。
自分たちが強くないと思っていると、どうしてもうつむきがちになってしまう。
そうなってしまえば相手に飲まれ、勝てる試合も勝てなくなる。

まずは行動から変える。
自信があるようにふるまうことによって自分たちで自分たちにいい影響を及ぼす。

人から言われて、仕方がないからするというのでは、言われたことをただこなす
だけになってしまって、モチベーションは湧いてこない。自分の意志で自主的に
取り組もうと考えることができたとき、モチベーションがあがるのです。

役割と責任を明確にする。
自分が何のためにここにいるのか、何をしているかわからない状態にしない。
自分に楽しみや刺激がある。自分が学んでいる。前に進んでいると感じられる。
そうなると、人は自主的に目標に向かって取り組むことができる。

きちんと役割と責任を与えて、それを評価する。
これは控え選手や裏方的な存在に甘んじている人のモチベーションを維持する
のに非常に大切なことです。

うまくいったこと、成功したことを憶えておくシステムをつくる。
そういう体験を積み重ねると結果がいい。
ほめることが大切だということは、ほめられればうれしいから、やる気がでるという
こともあるが、言葉でよかったよと言われることで褒められるときのことを記憶する
ということである。記憶することで自分のいいところを確認できる。

役割と責任を与え、積み重ねていくことで、自信がつき、積極性も生まれる。

・自信のある人になる方法。

➀自信があるようにふるまう。

➁セルフトーク。独り言や自分自身に対する対話。
自分にできない⇒きっとできる。きつすぎる⇒がんばりたい、自信がない⇒こうすればできる
自分自身に自信をつけてあげられる言葉をかける。

③繰り返し練習する

・目標を3つに分ける 

自分なりに目標を設定することで実際に何をしないといけないかが明確になる。
毎日繰り返し目標達成のために行動を起こす努力も生まれる。

➀結果に対する目標 全国制覇 〇〇に勝つ

➁パフォーマンスに関する目標 ベンチプレス5kgアップ、100m自己ベストなど 

過程を記録、成長の度合いを確認できるので自信の強化になる。

③過程に関する目標 理想のパフォーマンスにたどりつくための過程に集中する。

いろいろと工夫することができるから、どうすればパフォーマンスが向上につながるか
を考える力がつく。オリンピックのメダル獲得の分かれ目は過程に関する目標をもって
練習に臨んだかが大きな分かれ目になる。

少し頑張れば達成できる。スポーツ心理学では、そういう目標を設定するのが、一番
適切だと言われている。非現実的なものではなく、自分がきちんと行動に移すことが
できること。それが目標設定には大切である。

失敗を恐れる人が多いのは、人がなぜミスや失敗を恐れるようになるかといえば
掲げた目標が現実的ではないからというのはある。
どんなに小さくてもいいから達成感を感じることが大切である。
そうすれば自信がつき、自分の価値を感じられるようになる。

期限を切ること。いついつまでに達成すると明確にしておく。
これがないと目標とはいえない。

ときには引き算が必要。やめることの大切さである。
自分の心と体の現状を理解しつつ、目標に向かって行動を維持・変化・停止させる。

どこにたどり着きたいのかが一番大切であって、そのためのプロセスは一つではない。

試合で極度のプレッシャーや不安にさらされると、練習ではできていたことができなく
なります。スキルを遂行することに集中しすぎるため、考えすぎるためにパフォーマンス
を行うためのワーキングメモリーの多くを消費されてしまい、脳の容量が減少して、
自動的にプレーすることができなくなる。

チョーキング、思考停止。
それが起こるものだと想定して準備する。
プレッシャーを受け入れる。プレッシャーの中で意思決定する経験を積む。不安レベルを
下げる方法を身に付ける。

人間は先が見えなかったり、読めなかったり、わからないことが多いときに不安になる。
パニックを避けるには考えうる限りのシチュエーションを想定して、徹底的にシミュレーション
しておくしかない。

リアクト、リラックス、リセットを意識する。

ストレスとは、簡単に言えば自分ができると思っていることとやらなければいけないことの
差によって生じる。ストレスがたまっているなと感じた時は、漠然とした不安に襲われたとき
と同じく、何がストレスになっているのか解きほぐし、その原因を探すことが肝心である。
原因がわかったら、ひとつひとつ対応していくことです。

もっともよいのはストレスを挑戦と受け止められることである。
挑戦と受け止めることにより、注意、集中が高まり、やる気が高まるとされているし、
勇気も出る。

ミスはとりあえず忘れて、いましなければいけないことに頭を切り替える。
どうしようなどと考えている暇があったならば、次に自分が果たすべき役割は何かを
考える。もしパニックになってわからなかったら、周りに聞けばいい。確認する。

なぜミスが起こったのか、失敗したのかを考え、次はそうならないように準備すればいい。

理論的にも自分よりちょっと上の人ができている姿を見ていると、自分にもできるという
自己効力感が生まれてくる。

プレッシャーというのは見ることもできないし、触ることもできない。本人の受け止め方の問題。

失敗を恐れる人は自分自身への疑いと不安を抱いています。失敗したのは自分の能力が
低いからだと思い込み、成功しても運が良かったとか、相手に恵まれたと考えがちである。
そうなるといくら頑張ってもどうせ駄目だと思い込み、それ以上努力することをしなくなる。
失敗した時の言い訳を用意する。

ミスや失敗もやはり受け止め方で変わってくる。
うまくいかなかったことを失敗と呼んでしまえば怖気付いてしまう。
経験と思えば次への成功のステップと考えることができる。
そうなればうまくいかなかった原因を探り対策を考える。

仮に負けたとしても経験と捉えることができれば次につながる。

困難なことにぶつかり、そこから立ち上がるときは、最悪の場面を考える。
あのときあれだけ頑張ることができたのだから今回もできるはずだと。

環境は自分でつくっていくしかない。
自分が変わらなかったら、何も変わらない。率先的な行動をとらないで
ただ待っているだけでは望んでも得られない。


座右の書・貞観政要  出口治明

貞観政要は唐の二代皇帝、太宗李世民の言行録である。

太宗がリーダーとして優れていた理由は2つある。

➀権限の感覚を持っていたこと

臣下に権限を与えたら、その権限は臣下のものである。
ここからここまでは自分で決めていいと権限を与えて部下に任せたら
たとえ皇帝であっても、部下の決定に従わなければなりません。

皇帝が自分勝手に権限を行使したのなら、人民や臣下を疲弊させ
やがて裸の王様になってしまう。そのことを大宗はよくわかっていた。
高い地位についた人間が、裸の王様になれば、君主の一言一句に組織
が振り回されるようになり、同質化します。そして同質化した組織は、やがて
時代の変化から取り残されてしまいます。

➁臣下の諫言を得たこと

太宗は臣下の諫言を積極的に受け入れ、彼らの批判に耐えることで自ら
を鍛え上げていきました。臣下の忌憚のない諫言を聞き入れることで、裸の王様
にならないように努めた。皇帝であっても、決して全能ではないことをわきまえた
姿勢。欠点や過失を指摘されることを望み、喜んで聞き入れた姿勢。
貞観政要にはそうした太宗の姿勢が問答形式で綴られている。

・リーダーは三つの鏡を持たなければならない。

鏡に自分を映し、元気で明るく楽しい顔をしているかチェックする(銅の鏡)

過去の出来事しか将来を予測する教材がないので、歴史を学ぶ(歴史の鏡)

部下の厳しい直言や諫言を受け入れる(人の鏡)

・リーダーの最も重要な役目はスタッフにとって、元気で、明るく、楽しい職場をつくること。

・気候の変化と人の移動が歴史を動かす。

・認められるリーダーには正統性が必要。易姓革命。

・組織を安定させるロジック

・貞観政要を読み解いていくと組織のマネジメントを考える上で大切な5つの
 ポイントがある。

➀組織はリーダーの器以上のことは何一つできない。

有限の器の大きさしか持てない生身の人間(リーダー)にできることは
器を捨てる、必死に消すことしかない。

➁リーダーは自分にとって都合の悪いことを言ってくれる部下をそばにおくべきだ。

部下の諫言(苦言)を受け入れる努力を常に怠らないようにしないと、裸の王様に
なり、本当の自分の姿が見えなくなってしまう。

③臣下(部下)は茶坊主になってはならない。上司におもねってはならない。

天を知る、地を知る、人を知る。他人は知るまいと思っても、悪事(ウソ)は必ず
いつかは露見する。だから部下は、自分の信念に従い、勇気を持って正しいと
思うことを諫言すべきである。良きリーダーシップはよきフォロワーシップが不可欠
であるので➁③セットで考えるべきである。

④君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す。

君主(リーダー)が舟で、人民(部下)が水。舟は水次第で安定もすれば転覆もする。
リーダーは部下に支えられていることを片時も忘れてはならない。どれほど権力を
持とうとも、部下に見放されたリーダーは役に立たない。リーダーシップとは部下が
ついてくることである。

⑤リーダーは常に勉強し続けなければならない。

具体的な事例を持ち出して話をするためには、リーダーは様々なケーススタディに
ついて勉強し続けなければならない。

・これからのリーダーに必要な力とは

強く思う力 

やりたいことがはっきりしているということ。何かをやり遂げたい強い思いをもっている。
周囲の世界をどのように理解し、どこが嫌で、自分は何をやりたいのか。この思いを
強く持っていること。

共感する力

やりたいことを丁寧に説明して、共感を得る力である。やりたいことに共感してもらえなければ
チームを組むことはできない。このリーダーについていこうと思ってもらえる共感力。

統率する力

思いがけない困難に直面しても、落伍者を出さないように、最後まで率いる力。
統率するには、弱っている仲間に大丈夫か?もう少しだから頑張ろうと声をかけることが
基本である。コミュニケーション力と言い換えることもできる。

正しく決断

もっとも必要な力。リーダーの意思決定がチームの運命を左右する。だから優柔不断は
許されない。不確実性が増した時代にあってリーダーには常に正しく意思決定する力が
求められている。

➀自分の器は大きくすることはできない。

大きくできないのだから、中身を捨てればいい。仕事観や人生観を捨てて、頭の中をゼロの
状態にすればいい。器が大きくならなくても、新しい考え方は吸収できる。
自尊心や羞恥心を捨てて謙虚になるということでもある。

➁人生はプラスマイナスゼロではない。

人生の楽しみは喜怒哀楽の総量で決まる。
喜怒哀楽の全てが人生であると考えれば挫折もまた素晴らしい体験である。
うまくいかないことがあっても喜怒哀楽の総量が増えたと考えればいい。

1.リーダーは器を大きくしようとせずに中身を捨てなさい

・腹に落ちる言葉はロジックと比喩がセットされている

・何もしないリーダーを理想と考えよ

いいリーダーに共通する10の思慮と9の徳行、十思九徳

十思

➀分相応に満足を知る

➁止まるを知る(思い出して立ち止まって考える)

③大きなリスクを冒してまで、野望を果たそうとしてはならない。
  自分の力を過信せず、自分の能力はそれほど高くないと謙虚になって自制すること。

④もっと欲しいと満ち溢れるような状態になりたい気持ちが起こったら、大海はたくさんの
  ちいさな川の水が下へ集まってできたものであることを思い出して、謙虚に振舞う。

⑤遊びたくなったら、自ら制限を設けて節度をもって遊ぶこと

⑥怠けそうになったら、何事にも一所懸命に取り組んでいた初心を思い出すこと。
  最後までやり遂げることができたときも、威張ったり自慢したりせず、謙虚さを忘れないこと。

⑦自分の目や耳が塞がれていると思ったら、下の者の意見を率直に聞くこと。

⑧讒言や中傷を恐るのなら、まずは、自分の立ち振る舞いを正すこと。自分の身を正すことが
  できれば悪を退けることもできるし、部下を茶坊主にすることもない。

⑨部下の手柄を褒めるときに、恩賞を与えすぎてはいけない。部下を喜ばそうとする振る舞いを
  すると、特定の部下を増長させることになりかねない。

⑩部下を叱責するときは、感情に任せて怒りをぶつけてはならない。信賞必罰は公正であることが
  望ましい。

九徳

➀寛大な心を持ちながら、不正を許さない厳しさを合わせ持つ

➁柔和の姿勢を持って、むやみに人と争わない。しかし、自分のなすべきことに対しては
  必ずやり遂げる力を持つ。

③真面目だが、尊大なところがなくて丁寧である。

④事態を収束させる能力がありながら、慎み深く、謙虚である。相手を決して見下さない。

⑤威張ったりせず、普段は大人しいが、毅然とした態度や強い芯を持つ

⑥正直で率直にものを言うが、冷淡ではなく、温かい心を持つ

⑦物事の細かい点には拘泥しない。おおまかであるが、清廉潔白である。

⑧剛健だが、心が充実している。

⑨いかなる困難でも正しいことをやり遂げる強さを持つ。

・組織のパフォーマンスは人材配置で決まる。
 何もしなくても組織が成り立つのは適材適所に人を配置できている証拠である。
 組織の強さはポートフォリオ(人材の組み合わせ、配置)によって決まる。
 誰に何を担当させるかを決めた段階で、その組織のパフォーマンスはほとんど決まる。

 向き不向き、得意不得意といった部下の適性を見抜いて、正しく人材を配置するのが
 リーダーの務めである。

 熟慮した上で人材配置を決めたら、あとはいったん部下を信頼して任せる。
 余計な干渉や口出しをせずに部下を放し飼いにできるリーダーこそ、理想のリーダー
 である。

・むやみに行使しないのが強い権力である

天下を治めるには、まず君主が自分の行いを正しくコントロールすべきである。
自分をコントロールするためには勉強しなければならない。勉強するときは素直さと
謙虚さを忘れず正しい教えを請うべきである。正しい教えを学べば、正しい君主になれる。

皇帝はむやみに権力を行使してはならない。権力は正しく使うべきであり、そのためには
自分が正しい人間にならなければならない。その根本には、公平さ、謙虚さ、自制心、自律心
がある。権力の感覚であり、秩序の感覚である。

・チームで仕事を回すために、上司はたまたま上司の機能を割り与えられたにすぎない。
 上司の機能を一言で言うと、人をまとめる、方向を示すという役割になる。

強い組織をつくるには、上司も部下も、君主も人民も、与えられた役割に注力すべきである。
人間にはそれぞれ、組織上、仕事上の本分がある。自分の本分でないことには手を出すべき
ではありません。

リーダーは権限を与えたら取り戻すことはできない。上司といえども、部下の権限を代行する
ことはできない。という権限の感覚を身に付けることが重要である。

・リーダーが望むことの多くは、実は部下が望まないことである

思いやりとは、自分がしてもらいたくないことは、人にも仕向けないようにすることです。

相手が喜ぶことをするという思いやりの一歩手前に相手が嫌がることをしないという思いやり
があります。自分がされたくないことは相手にもしない。それくらいの自制心を持つべきです。

・人がついてくると人を従わせるの大きな違い。

人事権をちらつかせて、半ば強制的に部下を動かすのと、部下に権限を委譲し、仕事を任せ
動いてもらうのとでは、天と地ほどの差がある。

・本当に大事なことだけを覚え、本当に大事なことだけを話す。

人間は見たいものしか見ない。だから、心の平静を保てる。

上の人が正しい判断をするためには、何よりも心身の健康が大切である。
心をかき乱されないように情報の取捨選択をする必要がある。
上に立つ人は知りたがり屋でも、話したがり屋でもいけない。

上に立つ人は自分がやるべき仕事の範囲を把握する能力が必要になる。
自分の職務に関係あるものと、ないものの範囲を正しく理解して、関係ないことは
聞かない。見ない。そして口に出さない。それが、部下を伸び伸び働かせ
リーダーが心身の健康を保つ最善策です。

2.部下の小言を聞き続けるという能力

・明君の条件、複数の人の意見を聞いているか。物事は見る角度によって善にも悪にもなる。

評価者の評価の違いに注目することで、物事を的確に、立体的に捉えることができます。

苦手な相手でも忍耐の修練だと自分に言い聞かせ我慢することを覚える。

リーダーの大事な仕事のひとつは、事情がわからない中で右か左か判断が迫られることである。
そのときのためにも、情報はたくさんあったほうがいい。だからリーダーは相手を選ばずに人の話
に耳を傾けるべきです。

リーダーには相性の悪い人、嫌いな人、厳しいことをいう人の意見にこそ耳を傾け、それを正面
から受け止める姿勢が求められている。

・良工なくして宝石に輝かない

人間の類型は大きく2つに分かれる。瓦タイプと鉄タイプである。
瓦タイプはじっくり育てたほうが伸びるタイプである。これをうっかり叩くと割れてしまう。
鉄タイプは叩いた方が伸びるタイプ。重い仕事で負荷をかけると鉄より強い強い鋼になる。

原石が宝石になるには、磨く側の力量はもとより、磨かれる側の覚悟も必要です。

・上司を諌める部下がいなければ組織は滅びる。

・上司の逆鱗をうまく避けよ。しかし恐れてはいけない。

・いい判断をするために大切な3つのこと。
 過去の失敗に学ぶ、善人を登用する、戯言に耳を貸さない。

・情報は隠さず、常にオープンにする。

3.いい決断ができる人は、頭の中に時間軸がある。

自分の身を修められない人は、組織を治められない。

あらゆる大事は小事から起こる。
小事は大事。だからこそ徹底的に任せる。

小さな失敗を見逃すと、大きな失敗につながる。
些細なことや小さなことを見逃さず、おろそかにせず、徹底することが、大事(大変なこと)
を起こさないための抑止力になる。組織が傾く原因は、わずかなほころびくらいでは大事に
至らないだろうという慢心からです。

なぜそうするか=道理を説くことで生まれる信頼感。

悪いことはただちにやめる。善いことはただちに行動する。
善を善とし、悪を悪とするだけで行動しなければ、組織は滅びる。

言いにくい指摘は三段構えで伝える。
第一段階 事実で諌める 第二段階 故事を引用する 第三段階 共通点を示し、同意を求める。

・一度口にした言葉は取り消すことができない。上に立つ人の言葉は思っているよりはるかに重い。

国家や組織を治める基本的な考え方として、リーダーが言と徳の2つを立てることを説いています。
言とは言葉、徳とは人徳のことです。

リーダーが道理に合わないことを一言でも口にすれば、部下の心はバラバラになり、組織を支える
ことができなくなる。

・深く広く考え、早く正しく決断する法

人間社会の洞察に必要な礼と楽が重要である。
礼とは社会の秩序を定めるもので、祖先や目上の人を大切にすることです。上に立つ人は宇宙の秩序
や世界の根本原理をよく知っておく必要がある。楽とは人心を感化する音楽のことであり、広く理解すれば
風俗や文化を指します。

礼楽とは祖先を尊び、広く文化を学ぶことである。
タテ軸は先人の話を聞くことであり、本を読むことです。ヨコ軸は自らの足で世界を歩き、見聞を広めることである。

人間社会について洞察するときは、過去に起きたことと、世界の人がどうしているのか知ることが一番です。

これからのリーダーには、何が正しいかを局面ごとに考え、判断していく能力が求められています。

・正しく考えられる人は、頭の中に時間軸を持っている。

目先の小さな利益に目がくらむと、大きな利益を失う。

リーダーが物事を考えるときは、時間軸の概念を取り入れることが大切です。

目先の利益ばかり追求すると、長期的な利益を失うことが多々ある。

時間軸を正しく設定するのも、リーダーの重要な役割の一つです。
この案件は1年で判断するのか、5年で判断するのか、10年かかる案件なのか。

上に立つ人は時間軸を自由に使える権限を持っている。

・人格を濁っていてはいけない。しかし、輝くほど澄んでいてもいけない。

人間には二面性があるということを決して忘れない。

人間には、キレイな面も、汚れた面も、両方ある。

4.思いつきの指示は部下に必ず見抜かれる

・思考と感情は、思っている以上に密接

思考と感情はつながっている。人間は、感情の振れ幅が大きくなると思考の余裕が
なくなり、正しい判断ができなくなります。

自分の心が波立っているときは、波が静まるまで待ったほうがいい。

人間は感情があるので喜怒哀楽をなくすことはできない。
感情が振れたとき心をフラットな状態に戻すには、寝ることと、寝かせることが効果的である。

適材適所で人をよく見て、どう組み合わせれば強くなるかを考えることが上司の基本的な
機能であり、強いチームをつくることの全てである。

熟考して任せていないから心配になる。
どちらに頼むか、どちらが適任か熟考していないからである。

・人の成長に欠かせない3つのポイント

読書・・・先人に学ぶ 

文章・・・文章を書く事で自分の考えや情報を整理することができる。

人との交流・・・人と交わらずに自分ひとりで考えたところで正しい判断はできない。

・人を成長させる適当な負荷を見極める

人を鍛えるときは負荷をかける。これが基本。
しかし、どれくらい負荷をかけるかは人によって異なる。瓦なのか、鉄なのか。

人間がどういう動物なのか知る。相手の話を時間をかけて聞く。
人間がどんな動物で、どんな知恵を持っているか、どんな構成要素で社会が
成り立っているのかをしり。人を使うことに関するケーススタディをたくさん勉強する。
優れた小説を読み、歴史を学び、社会を知る。

リーダーがどのような場面でどう人間を扱ってきたかがわかって類推やカテゴライズ
できる。

・信のない言葉では人を動かせない。

部下には上司の本気度を見抜く力がある。

信念や誠実さがあるかないかは不思議と伝わる。

・信用すれば信じてもらえ、疑えば誰からも信用されない。

部下を信頼する方が結局得をする。

実績をだしたら信頼するではなく、信頼するから実績が出る。

・間違った判断の根元には感情がある。

何か物事を決めるときは感情をベースにしてはいけない。
数字・ファクト・ロジックで正しいと思うことを嫌われようと文句を言われようと
きちんと主張すべきである。

・一人で行う判断には質的な限界がある。

優秀なリーダーでも管理できるのは10人が限度。

何もしないで部下を見守る勇気。

いい人材がみつからないのはみつけようとしないからである。

・少数にするから精鋭が生まれる。

少数精鋭とは優秀な人を少数集めることではない。

・組織内のルールはシンプルなほどよい。

国家の法令を簡単にすると不正は起こりにくい。

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