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座右の書・貞観政要  出口治明

貞観政要は唐の二代皇帝、太宗李世民の言行録である。

太宗がリーダーとして優れていた理由は2つある。

➀権限の感覚を持っていたこと

臣下に権限を与えたら、その権限は臣下のものである。
ここからここまでは自分で決めていいと権限を与えて部下に任せたら
たとえ皇帝であっても、部下の決定に従わなければなりません。

皇帝が自分勝手に権限を行使したのなら、人民や臣下を疲弊させ
やがて裸の王様になってしまう。そのことを大宗はよくわかっていた。
高い地位についた人間が、裸の王様になれば、君主の一言一句に組織
が振り回されるようになり、同質化します。そして同質化した組織は、やがて
時代の変化から取り残されてしまいます。

➁臣下の諫言を得たこと

太宗は臣下の諫言を積極的に受け入れ、彼らの批判に耐えることで自ら
を鍛え上げていきました。臣下の忌憚のない諫言を聞き入れることで、裸の王様
にならないように努めた。皇帝であっても、決して全能ではないことをわきまえた
姿勢。欠点や過失を指摘されることを望み、喜んで聞き入れた姿勢。
貞観政要にはそうした太宗の姿勢が問答形式で綴られている。

・リーダーは三つの鏡を持たなければならない。

鏡に自分を映し、元気で明るく楽しい顔をしているかチェックする(銅の鏡)

過去の出来事しか将来を予測する教材がないので、歴史を学ぶ(歴史の鏡)

部下の厳しい直言や諫言を受け入れる(人の鏡)

・リーダーの最も重要な役目はスタッフにとって、元気で、明るく、楽しい職場をつくること。

・気候の変化と人の移動が歴史を動かす。

・認められるリーダーには正統性が必要。易姓革命。

・組織を安定させるロジック

・貞観政要を読み解いていくと組織のマネジメントを考える上で大切な5つの
 ポイントがある。

➀組織はリーダーの器以上のことは何一つできない。

有限の器の大きさしか持てない生身の人間(リーダー)にできることは
器を捨てる、必死に消すことしかない。

➁リーダーは自分にとって都合の悪いことを言ってくれる部下をそばにおくべきだ。

部下の諫言(苦言)を受け入れる努力を常に怠らないようにしないと、裸の王様に
なり、本当の自分の姿が見えなくなってしまう。

③臣下(部下)は茶坊主になってはならない。上司におもねってはならない。

天を知る、地を知る、人を知る。他人は知るまいと思っても、悪事(ウソ)は必ず
いつかは露見する。だから部下は、自分の信念に従い、勇気を持って正しいと
思うことを諫言すべきである。良きリーダーシップはよきフォロワーシップが不可欠
であるので➁③セットで考えるべきである。

④君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す。

君主(リーダー)が舟で、人民(部下)が水。舟は水次第で安定もすれば転覆もする。
リーダーは部下に支えられていることを片時も忘れてはならない。どれほど権力を
持とうとも、部下に見放されたリーダーは役に立たない。リーダーシップとは部下が
ついてくることである。

⑤リーダーは常に勉強し続けなければならない。

具体的な事例を持ち出して話をするためには、リーダーは様々なケーススタディに
ついて勉強し続けなければならない。

・これからのリーダーに必要な力とは

強く思う力 

やりたいことがはっきりしているということ。何かをやり遂げたい強い思いをもっている。
周囲の世界をどのように理解し、どこが嫌で、自分は何をやりたいのか。この思いを
強く持っていること。

共感する力

やりたいことを丁寧に説明して、共感を得る力である。やりたいことに共感してもらえなければ
チームを組むことはできない。このリーダーについていこうと思ってもらえる共感力。

統率する力

思いがけない困難に直面しても、落伍者を出さないように、最後まで率いる力。
統率するには、弱っている仲間に大丈夫か?もう少しだから頑張ろうと声をかけることが
基本である。コミュニケーション力と言い換えることもできる。

正しく決断

もっとも必要な力。リーダーの意思決定がチームの運命を左右する。だから優柔不断は
許されない。不確実性が増した時代にあってリーダーには常に正しく意思決定する力が
求められている。

➀自分の器は大きくすることはできない。

大きくできないのだから、中身を捨てればいい。仕事観や人生観を捨てて、頭の中をゼロの
状態にすればいい。器が大きくならなくても、新しい考え方は吸収できる。
自尊心や羞恥心を捨てて謙虚になるということでもある。

➁人生はプラスマイナスゼロではない。

人生の楽しみは喜怒哀楽の総量で決まる。
喜怒哀楽の全てが人生であると考えれば挫折もまた素晴らしい体験である。
うまくいかないことがあっても喜怒哀楽の総量が増えたと考えればいい。

1.リーダーは器を大きくしようとせずに中身を捨てなさい

・腹に落ちる言葉はロジックと比喩がセットされている

・何もしないリーダーを理想と考えよ

いいリーダーに共通する10の思慮と9の徳行、十思九徳

十思

➀分相応に満足を知る

➁止まるを知る(思い出して立ち止まって考える)

③大きなリスクを冒してまで、野望を果たそうとしてはならない。
  自分の力を過信せず、自分の能力はそれほど高くないと謙虚になって自制すること。

④もっと欲しいと満ち溢れるような状態になりたい気持ちが起こったら、大海はたくさんの
  ちいさな川の水が下へ集まってできたものであることを思い出して、謙虚に振舞う。

⑤遊びたくなったら、自ら制限を設けて節度をもって遊ぶこと

⑥怠けそうになったら、何事にも一所懸命に取り組んでいた初心を思い出すこと。
  最後までやり遂げることができたときも、威張ったり自慢したりせず、謙虚さを忘れないこと。

⑦自分の目や耳が塞がれていると思ったら、下の者の意見を率直に聞くこと。

⑧讒言や中傷を恐るのなら、まずは、自分の立ち振る舞いを正すこと。自分の身を正すことが
  できれば悪を退けることもできるし、部下を茶坊主にすることもない。

⑨部下の手柄を褒めるときに、恩賞を与えすぎてはいけない。部下を喜ばそうとする振る舞いを
  すると、特定の部下を増長させることになりかねない。

⑩部下を叱責するときは、感情に任せて怒りをぶつけてはならない。信賞必罰は公正であることが
  望ましい。

九徳

➀寛大な心を持ちながら、不正を許さない厳しさを合わせ持つ

➁柔和の姿勢を持って、むやみに人と争わない。しかし、自分のなすべきことに対しては
  必ずやり遂げる力を持つ。

③真面目だが、尊大なところがなくて丁寧である。

④事態を収束させる能力がありながら、慎み深く、謙虚である。相手を決して見下さない。

⑤威張ったりせず、普段は大人しいが、毅然とした態度や強い芯を持つ

⑥正直で率直にものを言うが、冷淡ではなく、温かい心を持つ

⑦物事の細かい点には拘泥しない。おおまかであるが、清廉潔白である。

⑧剛健だが、心が充実している。

⑨いかなる困難でも正しいことをやり遂げる強さを持つ。

・組織のパフォーマンスは人材配置で決まる。
 何もしなくても組織が成り立つのは適材適所に人を配置できている証拠である。
 組織の強さはポートフォリオ(人材の組み合わせ、配置)によって決まる。
 誰に何を担当させるかを決めた段階で、その組織のパフォーマンスはほとんど決まる。

 向き不向き、得意不得意といった部下の適性を見抜いて、正しく人材を配置するのが
 リーダーの務めである。

 熟慮した上で人材配置を決めたら、あとはいったん部下を信頼して任せる。
 余計な干渉や口出しをせずに部下を放し飼いにできるリーダーこそ、理想のリーダー
 である。

・むやみに行使しないのが強い権力である

天下を治めるには、まず君主が自分の行いを正しくコントロールすべきである。
自分をコントロールするためには勉強しなければならない。勉強するときは素直さと
謙虚さを忘れず正しい教えを請うべきである。正しい教えを学べば、正しい君主になれる。

皇帝はむやみに権力を行使してはならない。権力は正しく使うべきであり、そのためには
自分が正しい人間にならなければならない。その根本には、公平さ、謙虚さ、自制心、自律心
がある。権力の感覚であり、秩序の感覚である。

・チームで仕事を回すために、上司はたまたま上司の機能を割り与えられたにすぎない。
 上司の機能を一言で言うと、人をまとめる、方向を示すという役割になる。

強い組織をつくるには、上司も部下も、君主も人民も、与えられた役割に注力すべきである。
人間にはそれぞれ、組織上、仕事上の本分がある。自分の本分でないことには手を出すべき
ではありません。

リーダーは権限を与えたら取り戻すことはできない。上司といえども、部下の権限を代行する
ことはできない。という権限の感覚を身に付けることが重要である。

・リーダーが望むことの多くは、実は部下が望まないことである

思いやりとは、自分がしてもらいたくないことは、人にも仕向けないようにすることです。

相手が喜ぶことをするという思いやりの一歩手前に相手が嫌がることをしないという思いやり
があります。自分がされたくないことは相手にもしない。それくらいの自制心を持つべきです。

・人がついてくると人を従わせるの大きな違い。

人事権をちらつかせて、半ば強制的に部下を動かすのと、部下に権限を委譲し、仕事を任せ
動いてもらうのとでは、天と地ほどの差がある。

・本当に大事なことだけを覚え、本当に大事なことだけを話す。

人間は見たいものしか見ない。だから、心の平静を保てる。

上の人が正しい判断をするためには、何よりも心身の健康が大切である。
心をかき乱されないように情報の取捨選択をする必要がある。
上に立つ人は知りたがり屋でも、話したがり屋でもいけない。

上に立つ人は自分がやるべき仕事の範囲を把握する能力が必要になる。
自分の職務に関係あるものと、ないものの範囲を正しく理解して、関係ないことは
聞かない。見ない。そして口に出さない。それが、部下を伸び伸び働かせ
リーダーが心身の健康を保つ最善策です。

2.部下の小言を聞き続けるという能力

・明君の条件、複数の人の意見を聞いているか。物事は見る角度によって善にも悪にもなる。

評価者の評価の違いに注目することで、物事を的確に、立体的に捉えることができます。

苦手な相手でも忍耐の修練だと自分に言い聞かせ我慢することを覚える。

リーダーの大事な仕事のひとつは、事情がわからない中で右か左か判断が迫られることである。
そのときのためにも、情報はたくさんあったほうがいい。だからリーダーは相手を選ばずに人の話
に耳を傾けるべきです。

リーダーには相性の悪い人、嫌いな人、厳しいことをいう人の意見にこそ耳を傾け、それを正面
から受け止める姿勢が求められている。

・良工なくして宝石に輝かない

人間の類型は大きく2つに分かれる。瓦タイプと鉄タイプである。
瓦タイプはじっくり育てたほうが伸びるタイプである。これをうっかり叩くと割れてしまう。
鉄タイプは叩いた方が伸びるタイプ。重い仕事で負荷をかけると鉄より強い強い鋼になる。

原石が宝石になるには、磨く側の力量はもとより、磨かれる側の覚悟も必要です。

・上司を諌める部下がいなければ組織は滅びる。

・上司の逆鱗をうまく避けよ。しかし恐れてはいけない。

・いい判断をするために大切な3つのこと。
 過去の失敗に学ぶ、善人を登用する、戯言に耳を貸さない。

・情報は隠さず、常にオープンにする。

3.いい決断ができる人は、頭の中に時間軸がある。

自分の身を修められない人は、組織を治められない。

あらゆる大事は小事から起こる。
小事は大事。だからこそ徹底的に任せる。

小さな失敗を見逃すと、大きな失敗につながる。
些細なことや小さなことを見逃さず、おろそかにせず、徹底することが、大事(大変なこと)
を起こさないための抑止力になる。組織が傾く原因は、わずかなほころびくらいでは大事に
至らないだろうという慢心からです。

なぜそうするか=道理を説くことで生まれる信頼感。

悪いことはただちにやめる。善いことはただちに行動する。
善を善とし、悪を悪とするだけで行動しなければ、組織は滅びる。

言いにくい指摘は三段構えで伝える。
第一段階 事実で諌める 第二段階 故事を引用する 第三段階 共通点を示し、同意を求める。

・一度口にした言葉は取り消すことができない。上に立つ人の言葉は思っているよりはるかに重い。

国家や組織を治める基本的な考え方として、リーダーが言と徳の2つを立てることを説いています。
言とは言葉、徳とは人徳のことです。

リーダーが道理に合わないことを一言でも口にすれば、部下の心はバラバラになり、組織を支える
ことができなくなる。

・深く広く考え、早く正しく決断する法

人間社会の洞察に必要な礼と楽が重要である。
礼とは社会の秩序を定めるもので、祖先や目上の人を大切にすることです。上に立つ人は宇宙の秩序
や世界の根本原理をよく知っておく必要がある。楽とは人心を感化する音楽のことであり、広く理解すれば
風俗や文化を指します。

礼楽とは祖先を尊び、広く文化を学ぶことである。
タテ軸は先人の話を聞くことであり、本を読むことです。ヨコ軸は自らの足で世界を歩き、見聞を広めることである。

人間社会について洞察するときは、過去に起きたことと、世界の人がどうしているのか知ることが一番です。

これからのリーダーには、何が正しいかを局面ごとに考え、判断していく能力が求められています。

・正しく考えられる人は、頭の中に時間軸を持っている。

目先の小さな利益に目がくらむと、大きな利益を失う。

リーダーが物事を考えるときは、時間軸の概念を取り入れることが大切です。

目先の利益ばかり追求すると、長期的な利益を失うことが多々ある。

時間軸を正しく設定するのも、リーダーの重要な役割の一つです。
この案件は1年で判断するのか、5年で判断するのか、10年かかる案件なのか。

上に立つ人は時間軸を自由に使える権限を持っている。

・人格を濁っていてはいけない。しかし、輝くほど澄んでいてもいけない。

人間には二面性があるということを決して忘れない。

人間には、キレイな面も、汚れた面も、両方ある。

4.思いつきの指示は部下に必ず見抜かれる

・思考と感情は、思っている以上に密接

思考と感情はつながっている。人間は、感情の振れ幅が大きくなると思考の余裕が
なくなり、正しい判断ができなくなります。

自分の心が波立っているときは、波が静まるまで待ったほうがいい。

人間は感情があるので喜怒哀楽をなくすことはできない。
感情が振れたとき心をフラットな状態に戻すには、寝ることと、寝かせることが効果的である。

適材適所で人をよく見て、どう組み合わせれば強くなるかを考えることが上司の基本的な
機能であり、強いチームをつくることの全てである。

熟考して任せていないから心配になる。
どちらに頼むか、どちらが適任か熟考していないからである。

・人の成長に欠かせない3つのポイント

読書・・・先人に学ぶ 

文章・・・文章を書く事で自分の考えや情報を整理することができる。

人との交流・・・人と交わらずに自分ひとりで考えたところで正しい判断はできない。

・人を成長させる適当な負荷を見極める

人を鍛えるときは負荷をかける。これが基本。
しかし、どれくらい負荷をかけるかは人によって異なる。瓦なのか、鉄なのか。

人間がどういう動物なのか知る。相手の話を時間をかけて聞く。
人間がどんな動物で、どんな知恵を持っているか、どんな構成要素で社会が
成り立っているのかをしり。人を使うことに関するケーススタディをたくさん勉強する。
優れた小説を読み、歴史を学び、社会を知る。

リーダーがどのような場面でどう人間を扱ってきたかがわかって類推やカテゴライズ
できる。

・信のない言葉では人を動かせない。

部下には上司の本気度を見抜く力がある。

信念や誠実さがあるかないかは不思議と伝わる。

・信用すれば信じてもらえ、疑えば誰からも信用されない。

部下を信頼する方が結局得をする。

実績をだしたら信頼するではなく、信頼するから実績が出る。

・間違った判断の根元には感情がある。

何か物事を決めるときは感情をベースにしてはいけない。
数字・ファクト・ロジックで正しいと思うことを嫌われようと文句を言われようと
きちんと主張すべきである。

・一人で行う判断には質的な限界がある。

優秀なリーダーでも管理できるのは10人が限度。

何もしないで部下を見守る勇気。

いい人材がみつからないのはみつけようとしないからである。

・少数にするから精鋭が生まれる。

少数精鋭とは優秀な人を少数集めることではない。

・組織内のルールはシンプルなほどよい。

国家の法令を簡単にすると不正は起こりにくい。

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