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学校では教えてくれない地政学の授業 茂木誠

1945年の敗戦のショックで日本人は戦略的思考を失ってしまった。
戦略(ストラテジー)と戦術(タクティクス)とは対になる言葉である。
あの島を奪うにはどれだけの兵力と武器が必要で、どこからどこから攻めるか
現場の部隊長が考える個々の作戦が戦術です。これに対して戦争に勝つため
には、どこの国と同盟関係を結び、どのような産業を興し、どうやって情報を集め
国際世論アピールして味方を増やすかといった政治・外交・経済・思想も含めた
長期的、大局的な作戦を練るのが戦略である。

地政学とは国家間の対立を地理的条件で説明をする。
いろいろな外交政策や場合によって戦争っていうことにつながることを
理論化する学問である。

教科書の歴史は善と悪があり、正義は勝つという歴史観である。
これを進歩史観という。地政学は国際紛争を国と国の縄張り争い生存競争と
見る。教科書通りに学んだ人ほど世界の常識からずれていく。
地政学とはリアリズム的な見方のひとつである。
理想主義だと平和になっているはずだが、そうなると今の世界を説明すること
はできない。

世界の見方には理想主義とリアリズム(現実主義)がある。
リアリズムは国家間の生存競争として国際関係を説明する。
地政学はリアリズムのひとつである。地理的条件から外交防衛政策を考える。

アメリカは地政学的には島である。
大陸というの1個だけでユーラシア大陸だけである。
ユーラシア大陸を世界島とも言う。
アメリカは周辺国どこからも干渉されないから島ということになる。
この地理的条件からアメリカの外交方針が生まれる。

島にこもるのがモンロー主義、積極的に外へ出ていくのがウィルソン主義。
モンロー主義は大陸のゴタゴタに巻き込まれたくない。兵力にゆとりがあるから
積極的に海外へ派兵して世界の警察官をやる。これが国際貢献戦術ウィルソン主義。

民主党は福祉国家、国際協調主義。
共和党は自助努力を求め、一国主義。
共和党支持者は白人、イギリスから渡ってきた人
民主党は移民、白人のあとから来た移民で19世紀以降の新しい移民。イタリア系、ユダヤ系
ヒスパニック(スペイン語を喋る人)、あとは中国系。

アメリカの中国進出を日本が脅かしたことが、日米戦争の原因となった。
過去も現在も日米関係は常に中国問題である。

アメリカにとって中国は常に市場・投資先である。

アメリカの金融資本・国務省・民主党が親中派、軍需産業・国防総省・共和党が対中強硬派。

中国にとって最大の脅威は遊牧民やロシア帝国、北方のランドパワーだった。
地政学は大陸国家ランドパワーと海洋国家シーパワーのせめぎあいとして世界を見る。
中国はランドパワー。海の戦いより陸の戦いをしてきた国である。

19世紀には、海からシーパワーのイギリス、日本に攻め込まれ、清王朝は崩壊した。
初めてシーパワー勢力が中国を襲ってきた。背後からランドパワーのロシアが迫り、
海からは日本、イギリスなどのシーパワーが迫ってくる。更に国内では漢族が独立運動
を起こしてボロボロだった。

20世紀前半には、ソヴィエト・ロシアと組む共産党と、米英と組む国民党と内戦を続け
共産党が勝利した。

トウ小平がシーパワーの国家戦略を立て、中国軍は長期計画に基づいて行動している。
ランドパワーは陸軍重視、農業重視だった。これを改革開放路線によりシーパワーへ傾いて
いく。ソ連崩壊で北の脅威がなくなった。北に備えていたエネルギーを南へ向けられるという
ことで海洋進出してきた。

中国の海洋進出を抑えるには、➀軍事的空白をつくらないこと➁北方の脅威ロシアを育てること。

ランドパワーが無理に海洋進出すると、かつてのドイツのように失敗する。

半島国家の朝鮮は、常に大陸の中国の動向に翻弄されてきた。
隣国の中国の王朝が時々代わるため、いままでやっていたことを全部否定して新しい王朝へ
乗り換えるという手のひら返しをしてきた。中国で新しい王朝ができると朝鮮でも王朝の交代
が起きる。

中国からの侵略を防ぐためには、中国の王朝と一体化するしかなかった。
モンゴルという敵と一体化することで自分たちの身を守った。

モンゴル支配の反動から、朝鮮は朱子学を採用し、小中華思想を持つようになったが経済は
停滞した。朱子学は儒学の一派で基本的にはランドパワーの思想である。
農業が正しく、商工業は間違っている。劣っているという商業蔑視の思想である。
文明人を中華という。中華が文明で周りの民族は夷狄である。
国が小さいから小中華ということである。漢文は中華文明の文字であり、ハングルのような
発音記号のような文字は恥ずかしいと考えた。明が清に滅ぼされ、明の思想は我々が
受け継いだ。つまり世界唯一の文明国朝鮮と考えた。

当時、日本はシーパワーなので商工業が盛んだった。江戸時代は貨幣経済で大阪は銀
江戸は金が流通しており、藩札もあった。世界最初の先物市場は大阪の米市場であった。
ほとんど西ヨーロッパと同レベルで経済が発展した。

近代朝鮮史はランドパワー派(事大党/親中派)VSシーパワー派(開花派/親日派)の抗争の歴史。

日清戦争と日露戦争で日本が勝利した結果、朝鮮は初めてシーパワー側に取り込まれた。

日本の敗戦後は、ランドパワー派が北朝鮮、シーパワー派が韓国を建国し、朝鮮戦争を起こした。

冷戦終結後、台頭する中国に韓国が急接近する一方、北朝鮮は中国を警戒し、核開発を進めている。

ロシアはモンゴル帝国を継承したランドパワー国家。

国土が広大すぎるロシアは、アジアとヨーロッパ、二正面作戦に対応できない。

清朝から沿海州を奪って日本海へ進出。日本から千島列島を奪って太平洋進出を図った。

シベリアの人口減少が続くロシアにとって、隣国中国の人口圧力は重大な脅威である。
日本との協力が必要。

ウクライナ紛争で欧米と対立するロシア。日本にとっては北方領土問題解決のチャンス。

ロシアにとってウクライナは穀倉地帯。クリミア半島には黒海艦隊の軍港があるから
手放せない。

アメリカはウクライナをロシアから切り離し、NATOに加盟させようと画策してきた。

ウクライナ人自身が、東の親ロシア派(ランドパワー派)と西の親欧米派(シーパワー派)
に分裂しているのが、ウクライナ紛争の最大の要因。

米露関係の悪化で中露が接近すると、ユーラシアにランドパワー同盟が生まれる危険
がある。

欧州移民問題は、中東の植民地支配の負の遺産。

ソ連の支援で社会主義化を進めたアラブ諸国は、経済的に破綻し、欧州の移民を
生み出した。

欧州諸国は労働者不足で移民を受け入れたものの、景気後退で移民の2世、3世が
職を失った。

移民は制限できるが、難民は受け入れ義務が生じる。そして両者は区別できない。

ヨーロッパは半島だが、イギリスは島である。

イギリスはヨーロッパ統一を恐れ、各国が常に争うように仕向けてきた。(オフショア・バランシング)

イギリスの軍事力は、植民地拡大に使われてきたが、第二次大戦後の植民地独立で
全てを失った。

EU結成の真の目的はドイツ封じ込めだったが、経済的にドイツに仕切られている。

ドイツが主導するEUへの反発、難民受け入れへの抵抗が、イギリスのEU離脱に
走らせた。

イラクとシリアは、本来は同じアラブ人で、オスマン帝国の一部だった。

イギリスとフランスがサイクス・ピコ協定を結んでオスマン帝国を解体した。
イラクとシリアの国境線はこのとき引かれた。これは満州国と同じだ。
満州人が中国より独立したという形をとった。

第二次大戦後、イラクとシリアで革命が起こり、親ロシア派(ソ連派)のフセインと
アサドが政権を握った。

アメリカは湾岸戦争、イラク戦争でフセインを打倒し、アラブの春でアサドを揺さぶった
が、アサドはロシアの支援で持ちこたえた。米国が親ロシア派だからけしからんという話。

混乱に乗じてイスラム過激派ISが台頭した。
サイクス・ピコ協定の打破、貧富の格差、つまりアッラーの前に万人平等であるから
分配せよという話。コーランに書かれた時代のイスラムがもっとも美しく純粋である
というのがイスラム原理主義である。

国境線の引き直しと、各民族、宗派への大幅な自治権の付与が紛争解決への道。
オスマン帝国は自治権の付与によって400年平和に統治した。

イランはロシアの南下を阻止する防波堤として、また産油国として米・英の支配を
受けてきた。

イランのナショナリズムは、イスラム教シーア派の思想と結びつき、イラン革命を
引き起こした。

アメリカは、サウジなどスンニ派アラブ諸国を支援してイランに敵対させた。

イランはアメリカに対抗して核武装を進めてきた。

スンニ派武装組織ISという共通の敵が現れたため、アメリカはイランに急接近し
制裁を解除した。国内にシーア派を抱えるサウジアラビアはイランの台頭を警戒。
アメリカとの関係も悪化している。

多民族・多宗教世界だったインドをイギリスが占領し、宗教対立を煽って分割統治
した。

イギリスは植民地インド防衛のため、アフガニスタンとチベットをロシアに対する防波堤
とした。

独立後、イスラム教国パキスタンは、ヒンドゥーの大国インドに対抗してアメリカ、中国と
結んだ。

中国のチベット併合、ダライ・ラマ14世のインド亡命で、中印関係が悪化。インドは
ソ連と同盟し、ソ連崩壊後のインドはアメリカに急接近している。

日本軍はインド独立を支援した。歴史問題や国連改革問題で日本とインドは協力できる。


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