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日本人として知っておきたい世界激変の行方 中西輝政

アンチグローバリストの怒りがトランプを押し上げたとされるが、同時に従来の
グローバリズムの推進勢力が、オールド・グローバリストとネオ・グローバリストへと
2つに分裂し、三者の思惑がそれぞれの思惑で動き、三すくみでせめぎあっている。

グローバリズムとは、80年代の米英の経済的な苦境と日独の台頭を受けて、いま
一度アングロサクソンの覇権を取り戻すためにつくられた神話にすぎない。

➀オールド・グローバリズム

これまで世界経済と政治のグローバル化を主導してきた大手金融機関や投資家
それを取り巻くメディア、先進諸国の既成政党。このままグローバリズムの潮流を
推し進めていけば民主主義やリベラルな国際秩序の脅威になるようなテロや保護主義
極右排外勢力を生み出していくことを強く懸念し始めている。

➁アンチ・グローバリズム

金融エスタブリッシュメントが法外な富を手にする反面、職を失い、薄給を強いられる人々
と、その代弁者になろうとする勢力である。バーニーサンダースを支持した人々。
トランプの見せかけだけの反格差の訴えに共鳴した人たち。

③ネオ・グローバリズム

格差などグローバリズムの弊害が深刻化する不安や、国際政治の中露の挑戦が明らか
になるなかで、オールドグローバリストは体制維持のために、金融規制や中露への制裁
抑止などの手段で冷戦後の国際秩序の再調整を試みようとしていた。
それに対して、いままでのグローバルゲームを終わらせるな、俺たちにもっと儲けさせよ。
世界などどうなっても構わない。一層強くグローバル化推進を主張している勢力。
新興のヘッジファンド、IT業界関係者、ネオコンの残党。
儲かりさえすればあとは知るかというニヒリズム。

アンチグローバリズムの潮流にネオグローバリズとが便乗した。
オールドグローバリストがしぶしぶグローバル化の矛盾に対応するために金融規制など
諸規制をなんとしても押し返し、粉砕したかったため、アンチグローバリストの政治勢力を
勝たせるべく、莫大な資金とコミットメントを投じた。

アメリカの東アジア外交において重要な鍵をを握っているのはニューヨークである。
この地はオールドグローバリズムの牙城であった。ニューヨーク経済界ではユダヤ系に
次いでアジア系とりわけ中国系の経済人のプレゼンスが高く。大手メディアだけでなく
国連など国際機関、シンクタンクなど少なからぬ影響力がある。

CFRに代表されるグローバリズム・エスタブリッシュメントはこれまで、アメリカの政策
の議論と方向付けを行ない、主としてオールド・グローバリズムの金融資本とともに
たびたびワシントンの政権中枢と一体となって動いてきた。

オールドグローバリズムのエスタブリッシュメントの人々が中国脅威論や対中警戒論
を唱えだしたのは、彼らの間で覇権国アメリカを守れという一抹な国家観、あるいは
アングロサクソンのエスタブリッシュメントの自覚があった。しかし、ネオグローバリスト
にはこういった国家意識は感じられない。

トランプ周辺もしくは本人がTPPはアメリカの労働者の雇用を奪うからとの理由で
反対したが、チャイナビジネスに早くから携わってきたトランプとその人脈が
もしかすると中国抜きのTPPに何の価値があるのか、それならAIIBに入った方が
アメリカの国益になると考えている可能性もないとはいえない。

トランプは季題の戦略家であるとともに、究極の現実主義者、ニヒリストであることを
象徴的に示すものであった。

トランプ政権の対中批判は、あくまでアメリカの雇用を奪う、人民元安を狙った中国
の為替操作だけを問題にし、民主主義の思想や主義主張、あるいは戦略的な脅威論
から生まれたわけではない。したがっていつ何時対中宥和に転じるかわからない。

トランプ政権のアメリカとは共通の利益と日本の自立で向き合うべき。
まず共通の利益にしっかり軸足を置いて、日米協調を維持していく。

をいまほど日本が一極として立つことが死活的に重要になってきた時期は明治開国以来
なかった。日本が今後20年のもっとも重要な目標それは何を置いても自立の二文字である。

北方領土問題で日本がロシアに対して繰り返し要求し、日露間で合意した法と正義の立場を
貫かず、歴史事実と従来の日本の政権が維持してきた主張すら蔑ろにすることの問題は政治的
失策という以上に、我が国の歴史とアイデンティティを喪失することにほかならない。
南シナ海における中国による人工島建設という無法に対して、安倍首相は自身が国際社会の場
や中国に繰り返し、法の支配の下で紛争を平和的に解決することが重要だと主張している。
また尖閣列島で中国と鋭く対立している。少しでも譲歩ととられる姿勢を見られれば中国は隙を
突いてくる。欧米諸国だけでなく、広い国際社会でプーチンは世界の悪役と見られている。

日露接近では中国は牽制できない。
ロシアは中国の南シナ海人工島建設を支持し、南シナ海で中露海軍の合同軍事演習をしている。

日本は危うい北方領土の交渉をするでのはなく、当面は大幅な防衛力増強と情報インテリジェンス
能力、サイバー能力の飛躍的整備、憲法9条の改正という三つの柱で国家の足元を固め、日本が
一国として立つ力を確保してから交渉するべきである。

建国の父であるジョージ・ワシントンの考え、第二次対戦まで米国を支配した主流の思想は、アメリカ
は自由と民主主義の理念を何より大切にするがゆえに海外との紛争に関与してはいけない。
民主主義は孤立主義、不介入主義でなければならないという考え方である。
アメリカは孤立主義だけで生きていける国であり、本来、体外関与する必要がない国である。

アメリカは世界に関わらなければ、アメリカ自身の安全と生存が脅かされることにつながるという
議論がある。その例として真珠湾が常に持ち出されてきた。

アメリカの外交は介入⇒幻滅⇒理想主義の高揚⇒介入⇒幻滅というプロセスを延々と繰り返している。

アメリカの外交は介入と不介入との間を絶えず振り子のように揺れ、そのたび世論を巻き込んで国家の
進路を大きく変えてきた。その要因は独特の民意にある。民意の振れ幅が大きいゆえに政治、外交上の
振る舞いが180度変わってしまう。

パックスアメリカーナの推移3つの指標。1つ目はアメリカ経済の力強い回復が再び世界を引っ張って
いくかどうかである。第二の指標はテロの大波をアメリカは阻止することができるか。そして今後も
パックスアメリカーナの存続を期待できるかである。

国家というものの本質から考えて、他国の防衛に死力を尽くす国などどこにもない。

ジョージ・ケナンは民主主義や人権という抽象的な価値観を掲げて冷戦終了後もいっそう世界に
介入しようとするアメリカの姿勢を強く否定した。

いまや世界に対する孤立主義、不介入路線へのアメリカ外交の転換に備え、一極として立つ日本を
目指して、我々はいまこそ強靭な思考と独立の気概を取り戻さなければならない。

米国のエスタブリッシュメントでグローバリズムの旗手であるCFR(外交問題評議会)が発行する
フォーリンアフィアーズでも16年には格差を問題視する特集を組んでいる。
格差に対する人々の怒りが今後の世界秩序を決める。

ドイツのメルケルは緊縮財政を要求し、EUはギリシャの国民投票や総選挙の結果を全て跳ね返している。
このことが何より象徴しているのは、グローバルエコノミーは各国の民主主義を覆そうとする存在であり
民主主義の敵となりうる。

次の世界秩序とは何か。民主主義を押し殺すのか、グローバルエコノミーが一歩引くのか。

新自由主義を唱えたハイエクやフリードマンらには、信仰が基本にあった。
彼らはユダヤ・キリスト教的な西欧思想の持ち主で、唯一無二の絶対神がこの世に存在する
と篤く信じている。この思想の根幹には人知を超えた予定調和の機能があるという信念があり
だからこそ、人類共通の理想を考えるような大きな思想も出てくる。

グローバリズムをやるのは、アメリカが世界の覇権を取り戻すためだ。
グローバリゼーションを金融中心でやれば絶対に我々が勝つ。
そのために世界の垣根を取り壊し、日本やドイツといった製造業中心の経済大国に規制緩和
や民営化、金融ビックバンを無理強いする。我々にはそれだけの国際政治力がある。
FRBにも影響力があるノーベル賞受賞の経済学者の談。

グローバリゼーションはアングロサクソン・グローバリズムであり、ただのグローバリズムではない。
イギリスあるいはアメリカの法制度、規範意識、市場概念、経済文明、人間観に関わる特定の
キリスト教的カルチャー、さらに両国の長い歴史と伝統といったものが、グローバリゼーションの
大きな根本精神になっている。

西欧各国のオピニオンリーダーを取り込み、ヨーロッパ統合に賛成するメディアを育成する。
手とり足とりアメリカがお世話してスタートさせたのがヨーロッパ統合運動である。
全ては冷戦戦略だったのであり、冷戦が終了した現在はヨーロッパ統合の動機はない。
ドイツを羽交い締めするためにより深い統合、より緊密な統合という逆張りを行った。

グローバルエコノミーには2010年代に入った現在、もはやこれ以上は進めない天井が
到来している。主権国家のサバイバル能力、バイタリティ(生命力)は大変なものがある。
国家主権が崩壊の淵に立たされ、国家が成り立たなくなったときには、国家というものは
必ずグローバル・エコノミーの発展を抑制する方向に動かざる負えない。

イギリスのヨーロッパで占める位置はドイツ・フランスと同程度の一流国にとどまらない。
イギリスの存在はヨーロッパ安定の要である。イギリスがいなければヨーロッパはまとまらない。
経済的にイギリスはドイツの風下にあり、文化伝統ではフランスの風下である。
だが安全保障・軍事・外交においては、特に国連中心に動くとき、米国と特別なコネクションを
持ち、陰に陽にアメリカを動かす力を持つイギリスはヨーロッパには欠かせられない。
そんなイギリスがEUから離脱すれば、ヨーロッパ全体の政治力、安全保障力、グローバルな
外交力は大きく後退する。プーチンのロシアと対抗するには、アメリカとの同盟が必須である。

NATOは徹頭徹尾アメリカが中心の同盟体制である。
本質は米英二国間同盟を核とし、その周りに仏独など大陸諸国を引きつけてアメリカにつないでいる。
米英は血の同盟であり、インテリジェンスでも緊密な関係にある。
CIA・NSAもイギリスの協力なくして世界管理はできない。中国、チベット、南シナ海、ロシア、北朝鮮
アメリカのグローバルな監視機構は暗号解読、電波傍受も含めてイギリスがあって初めて成り立つ。

EUは徹頭徹尾アメリカの覇権を支えるためのものである。NATOの付属品であり、アメリカのための
国際組織である。

2016年6月中露は相互の核心的利益を死守すべく結束した。
相互に核心的利益を相互に支持することに合意。
核心的利益とはロシアのはクリミア併合、ウクライナ問題、ロシアの一体性である。
中国のは台湾、チベット、新疆ウイグル自治区、南シナ海、尖閣諸島、国家主権、
共産党体制の維持である。

プーチンにとってのアジア戦略の要はアジアからアメリカを追い出すことである。
ロシアが中国に接近して日本を翻弄するのはひとえにアメリカに対抗するためである。
アメリカの覇権に対抗しなければロシアの生きる道はないと考えている。
ロシアも中国もアジアからアメリカを追い出す戦略は共通である。
だからロシアは安倍政権が飛びつきそうな話を持ちかけてくる。

中露の巧妙な外交に引きずられる形でアジア各国が対中傾斜を強めている。
日本では日米豪印と並べて中国の海洋進出を抑止するパートナー国家と位置づけて
いるが、インドは自国の経済発展という優先課題がある。インドという国と底流にある
のは、ある種の精神主義である。彼らにとってアメリカは物質主義の国であり、経済
外交ではアメリカを利用し尽くせばいいと、内心軽蔑の対象として一段低く見ている。
アメリカに従属している日本を冷めた目で見ている。

南シナ海問題で東南アジア各国が対中包囲網を築いていると思っていたのが、いつしか
形成が逆転して、気が付くと我々の側が逆に包囲されている構図にもなりうる。

アメリカにとっての究極の国益とは、覇権国家として世界政治と経済を主導する
ドル基軸通貨体制の維持にほかならない。

中露同盟ともいえる関係が深化していくなか、日本にとってもう一つ注意しなければ
ならないのがドイツである。ドイツの野心に猜疑心を持ち。同時にクリミア問題や
シリア内戦でも反ロシアの急先鋒であるイギリスが欧州大陸の問題に口出し
しなくなるというのは独露にとって共通の利益である。ドイツから見てロシアは
野蛮人である。だが彼らとの友誼はドライな戦略思考に基づく同盟、協力、協調
こそがドイツの命綱になる。

中露接近について、ドイツという補助線を引くと事情はガラリと変わる。
ヨーロッパの最新軍事技術が中国へ流れればアジアの軍事バランスは一変する。
中露同盟の動きを注視しつつ、中国とドイツをいかに引き離すか。ドイツと中国
ドイツとロシアの連携を視野にいれて外交を構想しなければならない。

国際社会のなかで生き残るためには、大きな底流を早く見つける。しっかり準備
して、できるだけゆっくり行動する。交渉事は粘り強く主張する。世界において
謙譲の美徳など通用しない。大きなものが動くところでは、あるところで潮目を
みて潔く譲歩する。

日米関係で言うと、日本では国防総省の発言に基づいて議論されることが多いが
それはワシントンの一部局の発言にすぎない。アメリカ国内での国防総省の影響力
は日本では考えられないほど小さい。

熾烈な生存競争に基づく現実主義がベースにあり、価値観外交などという寝言が
通じるのはワシントンの官僚や議会共和党の一部観念派だけである。

アメリカを知るには、アメリカの世論、メディア、金融界を含めた経済界など、広く
アメリカの全体をとらえる必要がある。もちろんニューヨークだけでなく、シカゴや
ロサンゼルス、アメリカの田舎の草の根世論も押さえておくことである。
そのうえでアメリカを見ると、やはり大きな決定権を握るのは価値観に左右されない
ドライなニューヨークの現実主義なのである。

CFRの議論の中身は将来予測のよい指標になる。

国際政治の基本秩序は国際金融が大枠を決めてきた。
アメリカにとって一番大事な国策の最優先事項はドル基軸体制をいかに守るかである。
金融の本質は現実主義と両張りである。日本は安保上の同盟国であるが、エルドラド(黄金卿)
あるいは金のなる木として中国も捨てがたい。どっちか一つを選ぶとしたら金のなる木を選ぶのが
アメリカ人である。

日本人がヨーロッパを見る際は、それぞれの国の国民感情を知ることが重要である。
オランダは反独、デンマークは更にドイツ嫌い、スウェーデンはその中間、ノルウェーは
イギリス大好き。

世界の大きな攪乱要因は中国の経済的混乱のリスクである。
中国を見るときに大事なのはどれほどの混乱が起きようと、周辺世界が中国のことを
無視したり、捨ておくことができる弱い存在になることは金輪際ないということである。
中国の最大の問題は公的部門、国有企業の非効率と不良債権である。

世界情勢の長期予測のターゲットイヤーは2030年である。

日本は二つの過ちにより2周遅れの国になっている。
一つが平和憲法論。もう一つは世界情勢の変化に全く対応していない。
今の日本はギリギリの局面になったら、おそらく事態の圧力に負ける。
自前の戦略や気概を持たなければ、いくら核を持って、憲法を改正しても
自分から事態を切り開いていく力がないからだ。もしそこでアメリカが
手を引けば日本は終わりである。

日本の針路をめぐる戦いの最大の激戦場は国内である。
戦後への執着と冷戦後のアメリカ一極時代への固執による日本の二周回遅れ
をいかに正すかである。

日本人が情報を見るとき3つの間違いやすいことがある。

➀情報に触れたとき、それが新しい見方が古い見方がこだわることである。古い
  とみられることに根拠なく恐れて、新奇なものに惹かれる弊害が日本のリーダーにある。

➁多くの人がそういっているということだけに意味もなく根拠に考えること。

③我が国にとって都合の悪いことを口にするなである。国家として判断を誤る大きな要因である。

日本のインテリのレベルが、いまだ十分近代的でないことでもある。

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