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戦略の本質 堀紘一

戦略は一つのところにとどまることはない。どんどん変わって
いくのが戦略の本質である。戦略というのはパターンごとに
決まった正解があるものではなく、相手により、状況により
毎回、毎回、違った答えを探し求めるものである。
その瞬間には正解だったかもしれない戦略は、次の瞬間には
もう時代遅れになっている。それくらいダイナミックに変化する
ものである。逆にリーダーシップの本質は、2000年以上前も
現在も大きく変わってはいない。

戦略というのは勝負事ならどんなものでも必要になる。
勝ち負けを競うものには全て戦略がついてまわる。
勝ち負けというのはエラー、自滅で決まる。
相手との勝負に勝つために何が必要かというと、勝ちに
いくなということだ。勝ちにいくと必ずスキができる。そのスキ
を突かれて自滅するパターンが多い。
勝負事というのは、いかに自分の有利な状況をつくるかに
かかっている。勝ちを急がずジワジワと時間をかけて相手が
自滅するパターンをつくることができればまず負けない。
負けないということは最後は勝つということだ。
それが戦略の王道である。

戦略は相手あっての相対的なものである。
勝負事では、相手の弱みを徹底的に研究して、いかに弱い
ところ、苦手なところを突いていくかが重要になる。
戦略というのは相手あってこその話で、相手がいなければ
戦略は成り立たない。相手の出方を読まずに立てた戦略
は戦略とは名ばかりの机上の空論に過ぎない。
どんな場面でも唯一絶対の答えがあるわけではない。
相手の出方を読まなければ勝てないし、相手もこちらの
出方を読んでいるから有効な戦略が次も有効という保証
はどこにもない。

ここがリーダーシップとは根本的に違う。リーダーシップは
普遍的、絶対的なルールがある。人をどう束ねるかという
ことは時代によらず、個別ケースに左右されないという
共通点がある。組織を率いるリーダーは必ずしも戦略の
プロである必要はない。リーダーは人を動かすリーダー
シップを熟知しておく必要があるが、戦略は軍師・参謀に
任せても構わない。この2つは求められる役割は根本的
に違う。

戦略は相手あってのものだから状況に応じて打つべき手
は変わる。戦略は局面においてどんどん変わっていく。
その意味では大東亜戦争は格好の研究材料になる。

戦略は相手あってのものだから、どんなときでも通用する
戦略はない。誰が相手で、次はどんな手を打ってくるか
先読みすることで、自分たちの戦略が決まる。戦う相手
状況によって戦略のパターンを変えなければまず勝てない。
一度うまくいったからといって、いつも同じ勝ちパターンで
勝てると思うのが間違いで、相手にこちらの動きを読まれて
いたら、それに応じた手を打ってくるから勝ち率はどんどん
下がっていく。

実際に戦略を実行するときは、より具体的な戦術に落とし込み
更に現場で戦闘行為を遂行することが求められる。
戦略が上位概念、戦術が注意概念、戦闘が下位の概念である。

大東亜戦争を例に挙げると、戦略は米国が日本向けの鉄くずの
輸出を止める。そして原油の輸出も止める。そうすれば日本は
軍を動かせない。日本の戦略は資源が尽きる前に米国に戦争を
仕掛けるというものだ。戦術は真珠湾攻撃、フィリピンの米国陸軍
と空軍を攻撃する。戦闘行為はアクションそのもの。具体的に
真珠湾停泊中の艦船をどう攻撃するのか。

大きな戦略を決定し、それを具体化して戦術レベルに落とし込み
それに基づいて戦闘行為を遂行する。まず方針(戦略)を決定し
その方針を実現するための計画(戦術)を立て、実際に行動(戦闘)
をする。天下統一した秀吉と家康二人の違いは秀吉は戦術家だった。
家康は戦略家だった。家康は負けない戦いしかしなかった。

戦略の立て方が根本的に変わったのは技術革新のみならず、
情報革命によるところが大きい。

業界トップと2位以下の戦い方は異なる。
トップは360度全方位で守りを固める。2位以下は一点突破で
一箇所穴を開ける。

企業が成長する原材料はお金である。

BtoBは安定した品質を期日内に納入するのが基本戦略。
BtoCは品質が良くて期日内に納入しても売れなければ何も
値打ちがない。消費者は気まぐれである。

シェアをリベートなどお金で買いにいく方法は一時的に効果
は見込めるが基本的には長続きしない。半年ぐらいで元へ
戻ってしまう。気がついたら両社とも利益率が落ちてボロボロ
になっている。本気でシェアを増やしたければイノベーション
を起こしてユーザーにメリットをもたらすことを考えなければ
ならない。

顧客の意見を聞いてもイノベーションは起こせない。
破壊的イノベーションは異業種からやってくる。

飛び地戦略は典型的な負け戦。
兵力を分散しているだけで、一箇所に集中しなければ何十万
いても分散しているから散発的な戦いしかできない。
攻めの戦略の王道はロールアウトである。
点ではなく面を広げるロールアウト。自分の持っている技術や
販売チャンネルなど、強みのあるところから新しい分野に展開
していく。飛び地作戦は点を攻略するだけだから攻めは速いが
守りは弱い。補給線を絶たれてしまうと、たちまち飛び地は孤立
する。ロールアウト作戦は面で広がっているから、時間がかかる
が守りは強い。失敗したら押し出したカーペットをもう一度くるくる
と巻いて、自分の一番強いところに戻ってくればいい。
スピードの時代でもジワジワと攻める方が確実。

戦略を立てるうえで極めて重要な部分を占めるのが情報である。
相手のことがわからなければ、こちらも戦略を立てようなないし、
相手の戦略を先読みできれば戦いを有利に運ぶことができる。

会社の分け方は3つある。商品で分けるか、地域で分けるか
機能で分けるかである。商品はテレビならテレビ、家電なら家電
などに分ける。機能は研究開発、製造、販売などである。
人物金で配分が一番難しいのが人である。
人は一旦配置すると時間が経つほどその分野に詳しくなるため
新しい分野に再配置しようとすると、それまでの知識や経験が
役に立たなくなる恐れがある。

戦略とは相手との対話である。
あくまで想像上の対話なので相手の本音はわからない。
わからないながらも、おそらくこう出るはずだと想像を巡らせる
のが戦略を立てるということだ。

戦略を立てるときは、さまざまな想定の下に、相手の出方を
シミュレーションして、最善と思える策を選ぶことになるが、
相手がこちらの想定通りに行動するという保証はどこにもない。
相手が毎回ベストな解を選ぶはずだと想定して作戦を練って
いく。

戦略を練るには社内外の情報を集めなければならない。
本当に価値のある情報はネットには出てこない。
本当に価値のある情報が欲しければ、自分で現場に足を
運んで集める必要がある。ユーザーの声、ネットや一般の
アンケートでは表面的なことしかわからない。
だから、質問して答えが返ってきたら、そこに上乗せして
突っ込んで質問していくような形でなければ本当の答えに
たどり着けない。いくつも質問を重ねてようやく本当の答え
が見えてくる。多くはそこまで突っ込まない中途半端な情報
で判断するから、的外れの結論になる。
本当に価値のある情報はそうたやすくは手に入らない。

価値ある情報は目に付くところに転がっていない。
いろいろな人に質問しながら、探り当てていく作業が必要だ。
そうやって探り当てた情報をもとにこれから先の戦略を考える。

戦略を立てるためのの5つの力。

➀観察力

戦略を立てるベースとなるのは観察力である。
すぐれたビジネスパーソンは観察力がある。
日頃から他人のことを注意深く見ていれば、その人の心の中
や次の行動が予測できるようになる。

➁鎖のようにつなげて考える連鎖思考力

AならばB、BならばC、CならばDというように数珠繋ぎに
考えを深めていく力である。自分がこうすれば相手はこう
出るだろう。相手がこう出たときは、自分はこうする。
こういうふうに思考の鎖を延長しながら深堀していく。

③答えに迫るための質問力

相手の本音を引き出す質問力。
価値ある情報を手に入れるには、よい質問をして、表面
的には見えにくい本当の答えを聞き出さなければならない。
質問をする⇒相手が答える⇒それを受けて突っ込んだ質問
をする⇒相手が答えるというプロセスを通じて正解に近づく。

④相手の行動を読む想像力

戦略というのは相手との読み合いであり、騙し合いである。
自分の戦い方を考えているだけではダメで、相手の出方を
読む力が欠かせない。それが想像力である。
相手の立場に立って、こちらがこう出たらきっとこうなるはず
だと想像する。相手の考えや行動をありありと思い描ける
ようになれば、それを裏切る手を考えることができる。

⑤相手の意表を突く創造力

クリエイティビティの創造力である。

戦略を立てるための5つの力はそれぞれトレーニングで
鍛えることができる。戦略立案能力はこれらを鍛えて高める。
観察力は全ての能力のベースである。スポーツをする筋力
のようなもの。観察力と想像力をセットで鍛える。
そしてイメージを数珠繋ぎに膨らませれば連鎖思考力を
高めることができる。創造力は鍛えにくい。
質問力は鍛えられる。質問力と連鎖思考力で正解に迫る。

対話を楽しめる人は強い。
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