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危機感のない日本の危機 大石久和

日本のGDPの世界シェアは現在6%を切るレベルまで低下した。95年頃
には18%を占める水準にあった。日本はこの20年で世界的な地位を
大きく低下させた。我々は何かを間違っていたのであるが、政治もマスコミ
を全く危機感がない。

この20年全く経済成長をしていない。経済成長しないと全く税収が伸びず
税収と連動して評価できる指標は経済成長率しか存在しえない。
国民の総収入GDPがふえなければ税収は伸びない。ところが全ての政策
を経済成長に向けなければならないのに、日本には全く危機意識がない。

まず挙げられるのが新自由主義経済学による日本破壊である。
新自由主義経済学は財政再建至上主義と極めて親和性の高い考え方だ。
この経済学はインフレ時のインフレ対策のための経済学だったのにデフレ
の日本に適用してしまったのだから、何もかも狂ってしまった。
規制は官僚バッシングの材料に使われていたが、政治や利益集団による
利益誘導の汚染を防いできた規制や行政機構の仕組みが破壊された。
これが軽井沢のバス事故に象徴される結果となって出てきた。

ミルトン・フリードマンは財政支出による景気刺激策を無意味だと考え
金利を通して景気を抑制したり、刺激したりすべきだと考えていた。
企業の唯一の役割は株主のために利益をあげることであると主張。
極めて狭い領域に企業を押し込んだ考え方だ。

国家を個人や企業と同一視し、財政破綻を個人と企業の破産と混同
している点に問題がある。管理通貨制度のもと、通貨発行当局が政府内
にある以上、円建てで発行される日本国債が償還不能陥ることはない。
国債とは政府の借金であり、政府の借金とは国民の資産なのである。
財政均衡主義は経済の不均衡を拡大させる。不況時に増税し、好況時
に減税をするからである。

リスク挑戦を妨げる企業の統治改革。
株主指向の経営改革。不況時に時価会計の導入。BS評価と資金回収。
正規従業員の削減(イノベーション力の低下)リスク管理体制の強化
(株主代表訴訟)、執行役員の導入(現場での種まきができなくなる)
金融証券取引法の登場(過剰な内部統制、改善能力の低下)
経営者の説明責任の強要。取締役員任期の縮小。
様々なリスク挑戦を失わせる制度が導入された。

我が国民がその持ち味を生かすための諸制度が、世界標準ではない
という理由で、無残にも改訂されていき、我が国の企業や従業員の
能力を引き出すことができないアメリカ型の諸環境が整備された。
アメリカ人と日本人では感性も思考回路も違う。価値観の集大成で
ある経済が日米で違うのはあたりまえの話である。経済は人間の行動
の集積によってその動きは決まる。消費も投資も産業の発展も
すべてその背後で家計の個人、企業という人間集団、政府の人々の
選択があり、多くの人間の選択の結果の総合として経済は動いていく。

経済や政治制度はあくまで社会の土台のうえに乗っており、その土台
は歴史条件や、その国の文化や、更には人々の価値観とは切り離せ
ない。日本人は悲観的で不安に弱い、それは慎重で責任感が強く
規律正しい。だから日本人は明確化された責任感にたじろぐ。
だから競争すればいい、実績主義だと個人に迫っても力がでない。

国を外敵から守るために装備を準備し、国民をその任務につかせる。
各国はそのために多大な費用と労力を使っている。いざ戦いが起これば
命をかけて従軍する覚悟を持つことは辛く、しんどいことである。
しかしどこの国もそれを行っている。日本は平和憲法という言葉を盾に
そうした努力をきちんと行ってこなかった。

日本はインフラ整備を怠ってきた。日本は世界各国との比較で過去20年
公共投資半減させた。逆にイギリスは3倍、アメリカは2倍など増やして
いる。公的固定資本=インフラストックの蓄積が欧州と比べて相当な貧弱
な水準になっている。例えば自動車専用道路の整備は貧弱であり、ドイツ
やアメリカの半分。大型コンテナ船を接岸できるバース横浜のみだ。
日本は地震国であり、橋梁などを設計して施工すると費用がかかる。
地震がなく平原のフランスとドイツに比べて費用も工期もかかるのは当然
である。道路、ダム、堤防、空港、港湾など世界各国の首脳は重視している。
日本は公共事業の削減を続けることでデフレをさらに加速させた。

日本語が壊れ始めている。いみのない言葉を羅列させ。概念移入の伴
わない三文字略語が氾濫している。人は母語でこそ深い思索ができる。
マスコミは事実と真実を取り違えている。事実は客観的に見て本当で
あるさまであり、真実は主観者の心情である。新聞は無駄な公共事業
という報道するが、それは事実ではなく、主観者の心情を表したものである。

小選挙区制度が政治力のない人間を増やした。
中選挙区時代は議員の秘書をして修行をして、秘書同士の競争があり
秘書は政治力つまり才能、技術、人脈、経験、影響力、資金力を持っている
必要がある。しかし小選挙区だと相手の候補より票がとれるかだけに絞られる。
中選挙区なら複数候補を出して競争させることができる。小選挙区だと風で
議席が決まってしまう。日本人には中選挙区が合っている。

日本全国地籍の未確定地域が多い。全国で52%。東京だと23%。大阪
10%。これでは権利関係がはっきりせず開発など行えない。
また外国人による土地所有も把握できないのである。

官僚叩きで日本は弱体化している。
日本は先進国で公務員の数が最も少ない。給与もカットされ、人件費は
削減される。有能な人材は来なくなり、研究職も助手が少なくて研究活動
に支障をきたしている。これでは日本を発展させる政策を立案させる人材
もいなくなり、科学技術も低下する。行政サービスも維持できるか怪しい。

日本のあらゆる面で制度疲労が起きている。しかも日本全体を弱体化
させる方向へ動いている。誤った経済思想、事実に基づかない批判、
リーダーの劣化。社会の中枢で判断する人間がどこかで間違っている。
見たくない現実ですが真剣に向き合わないと後世代に大きなツケをまわす
ことになりかねないと思った本です。
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