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AI時代の新・地政学 宮家邦彦

人類国家間の戦いは陸戦に始まり、次に陸と海の時代を経て
20世紀後半には部隊が空へと進化し、今やサイバー領域と
宇宙空間までに戦闘領域を拡大しつつある。そして今注目
されるのがAI(人工知能)である。AIは日本においては専ら
経済活動への応用、諸外国でも軍事、戦術面での活用が
取り沙汰されるのがせいぜいである。しかしAIは軍事面での
人間の関与を低下させ、国家間の地理的な距離を変質させる
という点で、地政学上・戦略論上ゲームチェンジャーとなりえる
要素である。

伝統的地政学とはある民族やある国家の地理的状況や歴史
的経緯に注目し、当該国家、民族、関連地域への脅威および
その対処方法を考える学問である。しかし、特定の国家が有
する地理的、歴史的状況はそれぞれ大きく異なる。
安全保障上の利害関係に関しては全世界共通の傾向や法則
はそもそも存在しない。今後はIT革命で従来の陸海空に加えて
サイバー領域、宇宙空間がますますクローズアップされる。
地政学における地理的距離の意味は相対的に低下し
AI革命が地政学の基本セオリーに変わってくる。

中東の地政学は比較的単純だった。同地域は基本的に陸続き
で強力なシーパワーは存在しない。そこで自然の要塞を持ち、
人口と領土と経済力、軍事力に秀でたランドパワーが覇権を
競ってきた。過去数千年間で地政学に大きな変化はない。
ローマ、ペルシャ、オスマンなどお帝国。現在もエジプト
イラン、トルコが覇を唱えている。ところが最近の情報通信処理
AI技術の飛躍的進展は伝統的地政学が示す優位、劣位の環境
を逆転しつつある。従来の強者が従来の弱者に敗れる可能性が
出てきた。サイバー戦の世界では防衛より攻撃の方が遥かに
安上りである。特に攻撃ソフトを扱う闇市場では入手コストが
大幅に下落している。AI技術による米中の力関係の変化は
日本の安全保障に直結する重大な問題だ。日本もAI軍事応用
を本気で始める必要がある。

中国のAI技術革新は目覚ましい。しかも、その多くは中国国内
の社会管理や言論統制など独裁政権を維持するために活用
されている。個人のプライバシーを保護することなく、10億人もの
ビッグデータを活用できる中国は管理体制を完成させれば
次のターゲットは潜在的な敵性国家である日本となるだろう。

①AIが国家軍事戦略を変えるということは、AIが核兵器に代わり
戦略兵器になりえる。戦略兵器とはそれだけで敵の戦意を喪失
させ自らの勝利を保証する兵器である。②AI兵器が敵の戦意を
喪失させるとは、核兵器を使わず、AI兵器だけで敵国の大量破壊
が可能になるということだろう。③現在の核兵器は使いにくい兵器
となりつつあるが、AI兵器は従来のタブーだった大量破壊を容易に
かつAIだけの判断で実行し得る④これを阻止するには敵のAIを
減殺する対AI軍事技術を実用化していくしかない。

日本のなすべきは戦後、空想的平和主義からの脱却。AI技術の
軍事応用に関する研究者の養成、AI技術の軍事技術応用研究
への予算配分。対AI兵器技術の重点的な研究開発などが挙げられる。

いまの日本は国家としての大戦略を欠いている。大戦略を立案
するには、20~30年後の世界の国際政治・軍事戦略環境に
ついて冷徹な見通し・シナリオを持つ必要がある。歴史の大きな
流れを掴んでいれば大戦略の立案は容易になる。
戦略的な思考をするためには日々のマイナーな事象ではなく
今後20~30年後に起こる歴史的大局の原因・前兆となる
メジャーな事象を直感力で見出し、過去から将来への歴史の
流れを正しく見極めることが不可欠だ。

歴史の大局が発生するためには、それに至る一連の流れが
必ずある。その流れを左右するのが歴史のドライバーという
概念だ。国家の大戦略立案に資する歴史的大局観とは
過去の事実の中から国際情勢を左右する要因である
ドライバーを直感的に抽出し、国際情勢を左右するほどで
ないニュースをエピソード。大きな歴史とは無関係な事象を
トリビアという。エピソードやトリビアを極力排除し、過去を
検証して初めて持てる未来の感覚なのだ。

何がドライバーなのか、それ以外のエピソード、トリビアなのか
自問することである。歴史を学び、常に過去と照合する癖を
つける。知ったかぶりは厳禁、知的正しさこそ武器になる。
筆者は現在のドライバーは欧州ではロシアのクリミア侵攻。
中東では米軍の撤退。東アジアでは中国公船による尖閣
領海への侵入だ。ロシアの侵攻でポスト冷戦が終わり、米軍
の撤退でイラクとシリアが破綻国家化し、中国が東シナ海の
現状を変えた。いずれも地域情勢を左右する力がある。

力の真空状態は基本的に最強の部外者が最大の分け前
を得る。最大強者が動かない場合は弱い部外者でも分け前に
与れることがある。部外者が介入しない場合には破綻国家に
なるか、新たな独裁者が生まれる。米軍撤退後の南シナ海
米軍撤退後のイラク。日独敗戦による米中ロの大国化などが
例である。

中国人とアラブ人の共通性。①世界は自分中心に回っている
と考える②自分の家族・部族以外の他人は信用しない③誇り
高くメンツが潰れることを何よりも恐れる④外国からの援助
は感謝すべきものではなくさせてやっているもの⑤都合が
悪くなると自分はさておき他人の陰謀に責任転嫁する。
実はこれは中国人だけではなく発展途上国の国民が共通
して持つ劣等感の裏返しなのである。

国家戦略には4つのポイントがある。
①敵を一つに絞る②正しい同盟国を選ぶ③負ける戦争を
戦わない④勝てる戦争をできれば戦わずに勝つ。

元外交官の著者の高い見識は勉強になります。
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